【UFC MACAO】漆谷康宏インタビュー(01)「見る世界が変わった」
【写真】8カ月ぶり2度目のUFC出場となる漆谷康宏。自身でUFCに戦うようになり、その舞台をより深く考えるようになったという(C)MMAPLANET
当初、9月1日の「UFC151」に出場が決まっていたものの、大会そのものがキャンセルとなった漆谷康宏。11月10日のUFC MACAO「Franklin vs Le」へのスライド出場となり、ジョン・リネケルと対戦する。デビュー11年、36歳のベテランがUFC出場によって気づき、変化したこととは。現在の練習環境などを含め、内面の変化に迫る。
UFCにとって初めての中国・マカオ大会開催に際し、UFC.COM×UFCモバイル×スポーツナビ×MMAPLANETのコラボレーションが実現した。『UFC MACAO』特別企画――第5弾は漆谷康宏インタビュー(前編)をお送りします。
――漆谷選手は9月大会に出場が決まっていながら、大会そのものがキャンセルとなり、マカオ大会にスライドする形での出場になりました。試合まで約1カ月ですが、今の練習の状況はいかがですか。
「ちょっとずつ練習内容やメニューを上げている段階です。練習場所としてはTRIBE TOKYO MMA(TTM)、和術慧舟會HEARTS、RIKIXが主ですね」
――MMAの練習としてはTTMとHEARTSでの練習がメインだと思うのですが、そこでの練習ではどのようなことを意識しているのでしょうか。
「すべてのジムのプロ練に参加したことがあるわけではないし、あくまで自分が知っている範囲では、その2つが最も北米MMAを意識して練習している場所だと思います。具体的にはケージレスリングやシチュエーションスパーリング。
今年の春にアメリカで練習した時、どの練習場所でも代表・トレーナーは選手に交じらずに練習を仕切っていたのですが、TTMの場合は長南(亮)が完全にトレーナーとして練習を仕切っていて、まさにアメリカ式です」
――漆谷選手は長南選手と同世代で、キャリアもあまり変わりませんが、トレーナーとしての指示や練習内容に意見することはないのですか。
「それはないですね。僕以外もそうだと思いますけど、長南がやっている練習に参加することが目的なので、自分も一選手として練習に参加させてもらっています」
――スパーリング相手も豊富だと思いますが、どのようなメンバーとスパーリングすることが多いですか。
「TTMは軽量級と重量級が分かれて練習していて、軽量級であれば誰とでもスパーリングします。HEARTSは一番重い選手でもライト級なので、来ている選手全員と万遍なく練習します」
【写真】この日は元WECファイター、大沢ケンジ率いる和術慧舟會HEARTSの少数精鋭プロ練習に参加した (C) MMAPLANET
――3月に豪州でUFCデビュー、春にアメリカでの練習も経験して、漆谷選手の格闘技や練習に対して考え方に変化は?
「ガラリと変わりました。見る世界が変わったというか。とにかく今のままやっていても、通用しないんだなということを強く思いました。自分が選手としてUFCの舞台に立って、よりUFCの試合を意識して見るようになったんですけど、やっぱり日本の選手とは、選手としてのレベルや練習に対する意識が違うと思います」
――UFCに出て、初めて気付けたわけですね。
「はい。もし僕もUFCに出ないまま、日本で試合をしていたら『自分だったらUFCでも通用するだろうな』という目で、(UFCを)見ていたと思います。でも、それは考えが甘いというよりも、未知のものを見ているから分かってないということなんですよ。
例えば個々の技術力だけを比べれば、日本人もアメリカ人にひけをとらない、むしろ勝っていると思います。実際にアメリカで練習した時は打撃だけ、寝技だけのスパーリングで、そこまで差があるとは感じませんでした。
でもそれがフィジカル、戦略、ケージ……色んな要素が加わった“MMA”の“試合”になると、差が出てしまう。だから今、自分がUFCで勝つために取り組んでいるのは、その差を埋めるということですね」
(この項続く)