【FOX11】見逃せないライト級ランカーの潰し合い
【写真】四者四様の強さがオクタゴンで交錯する。セラーニ×バルボーサ、ドスアンジョス×ヌルマゴメドフ戦は見逃せない (C)MMAPLANET&GONGKAKUTOGI
19日(土・現地時間)、フロリダ州オーランドのアムウェイ・センターで開催されるUFC FOX 11「Werdum vs Browne」。メインは大会名にある通り、ファブリシオ・ヴェウドゥム×トラヴィス・ブラウン戦が組まれている。
次期世界ヘビー級王座挑戦権が掛かったメインに加え、今回はFOX大会ということもありプレリミ、メインファイトとPPVイベント級の好カードが目白押しだ。特にライト級に注目の試合が集まっている。16日(水・同)よりTUFシーズン19の放送が始まっているが、次期シリーズのコーチがライト級世界王者アンソニー・ペティスとギルバート・メレンデスに決まっており、これから8カ月、ライト級はタイトル戦線が停滞することになる。
逆にいえばこの8カ月の間にしっかり勝ち続けることで、世界王座挑戦に近づくことになる。そんなライト級戦線、5位と7位の対戦=ハファエル・ドスアンジョス×カビブ・ヌルマゴメドフをプレリミに押し退け、メインカードで組まれたのが8位と11位の対戦=ドナルド・セラーニ×エジソン・バルボーサ戦だ。ともにムエタイをバッググラウンドとしたファイター、何よりフィニッシュ能力の高さを買われての登用といえる。
セラーニはハファエル・ドスアンジョスに敗れてから、ここ2試合は三角絞め、ハイキックと完全に試合をコントロールしたうえでインパクトの強いフィニッシュを見せている。一方、バルボーサは3連勝中でパンチ、ローでKOが2試合、前回のダニー・カスティーリョ戦はKO負け直前からの大逆転勝利でセラーニ同様、記憶に残る試合を続けてきた。
同じ打撃系だが、ボックスのみならセラーニが上。ただし、ショートディスタンスでの打撃の交換は、この試合ではそれほど見られないだろう。無類の打ち合い好き、殴り合って勝利してきたセラーニは、反面、打たれモロさも顕如になってきて以来、自らのタイミングで一方的に攻めては、間合いを外して相手を削るスタイルに戦い方を変えてきた。
その一方で、蹴りの威力ではバルボーサが一枚上手だ。かつての完全ムエタイスタイルから、ガードをやや下げてフットワークを駆使するようになってなお、ローの威力は驚異的。その右ローを餌に、左ジャブや右ストレートで相手の意識を反らせ、回転系の回し蹴りも持っているバルボーサ。近距離の殴り合いではガードが疎かになる嫌いもあるが、今のセラーニは無暗な打ち合いは望まないはず。近距離になった場合は、攻める方のレスリング、そしてヒザ蹴りなど総合力の勝負となってきそうだ。
ランキング的にはセラーニ×バルボーサを上回るドスアンジョス×ヌルマゴメドフ、MMA王国とMMA帝国を代表するライト級ファイターの試合も総合力の戦いとなる。UFCで5勝0敗、通算戦績は21連勝と驚異的な記録を残すヌルマゴメドフ。見ている者に痛さが伝わるパンチ力、その拳の大きさもライト級を超越している。決して綺麗な打撃ではない。パンチが当たる箇所も、普通なら骨折が怖い親指の付け根ということもある。それだけに対戦相手は、ヌルマゴメドフのパンチが見えない。打ち方、ヒットポイントが通常と違うために、その軌道が読み難いヌルマゴメドフのパンチをさらに見え辛くしているのが、組みの強さだ。
殴っては組み、組んでは殴る。例えKOに至らなくても、そんな動きを3R続けることができる。そんなヌルマゴメドフと対するドスアンジョスも、このところ5連勝で確実にランクを上げてきた。柔術黒帯でありながら、正確な打撃を武器にしていたドスアンジョスはテイクダウンという武器を手にして、強さに安定感が加わった。打撃を散らしてテイクダウンを奪う──という判定勝ちできる戦い方で、安定した成績を残す。
ただし、北米MMAの常識とは違うところで戦うのがヌルマゴメドフだ。強い戦闘意欲と高い戦闘能力を誇る相手にドスアンジョスが攻勢にでるには、判定勝ちできる戦いでは難しい。そこで活路を見出したいのが、ムエタイだ。首相撲とダブルレッグという能動的な動きで、ムエタイ+レスリングの融合を見せてきたドスアンジョスだが、今回はケージに詰められた状態や、パンチからボディロックなどを狙われた際に、イヴォルブMMAで身につけたムエタイを使いたい。
ヌルマゴメドフは振り回す打撃から、距離を詰めて組んでくる。この瞬間、径が一番小さな打撃がヒジとヒザだ。特にヒジ打ちはまだ、ヌルマゴメドフも免疫はないはず。ヌルマゴメドフの勢いに一刺し、そんなヒジの醍醐味が見られることを期待したい。同じくプレリミで組まれたホルヘ・マスヴィダル×パット・ヒーリー、元ストライクフォース崖っぷちのライト級トップファイターの対戦も非常に気になる一戦だ。
■ UFC FOX11 対戦カード
<ヘビー級/5分5R>
ファブリシオ・ヴェウドゥム(ブラジル/2位)
トラヴィス・ブラウン(米国/3位)
<女子バンタム級/5分3R>
ミーシャ・テイト(米国/3位)
リズ・カモーシェ(米国/7位)
<ライト級/5分3R>
ドナルド・セラーニ(米国/8位)
エジソン・バルボーサ(ブラジル/11位)
<ミドル級/5分3R>
ブラッド・タヴァレス(米国/13位)
ヨエル・ロメロ(キューバ/14位)
<ライト級/5分3R>
ハファエル・ドスアンジョス(ブラジル/5位)
カビブ・ヌルマゴメドフ(ロシア/7位)
<ウェルター級/5分3R>
チアゴ・アウベス(ブラジル)
セス・バジンスキー(米国)
<ライト級/5分3R>
ホルヘ・マスヴィダル(米国)
パット・ヒーリー(米国)
<フェザー級/5分3R>
エステファン・パーヤン(米国)
アレックス・ホワイト(米国)
<ミドル級/5分3R>
カイオ・マガリャエス(ブラジル)
ルーク・ザクリッチ(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ジョーダン・メイン(カナダ)
ヘルナーニ・ペルペチュオ(ブラジル)
<フライ級/5分3R>
ダスティン・オーティズ(米国/14位)
レイ・ボーグ(米国)
<フェザー級/5分3R>
ミルサッド・ベキッチ(米国)
チャス・スケリー(米国)
<ヘビー級/5分3R>
デリック・ルイス(米国)
ジャック・メイ(米国)