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【2014WJJC】吉岡大 「自分なりに満足できる部分はある」

2014.06.19

Dai Yoshioka vs Paulo Miyao

【写真】ライトフェザー級ベスト8、パウロ・ミヤオを相手に攻めることはできないが、ベリンボロを決めさせることもなった (C)MMAPLANET

1 日(日・現地時間)に幕を閉じたワールド柔術チャンピオンシップ。世界の頂点が争われたトーナメントには黒帯の部にも多くの日本人柔術家が出場した。

表彰台獲得よりも、現実的には2日目に残るという目標を多くの日本人参加選手が持っていたなか、その目標を達成できたのは僅か3名。ベスト8が3人というのが2014年ワールド柔術チャンピオンシップに出場した日本勢、男子黒帯の結果だった。

そのベスト8の一人、吉岡大はほぼワールド一本に目標をしぼって柔術家生活を送っている。ライトフェザー級準々決勝でパウロ・ミヤオと戦い、ポイント0-0、アドバン4-1で敗れた吉岡。来年からはIBJJF(国際ブラジリアン柔術連盟)主催大会での結果によるポイント制でワールド出場枠が決まるため、ワールド出場は彼のスタイルだと最後になる可能性もある。大会終了直後、今大会の結果とこれからを尋ねた。

──来年からポイント制が導入され、現在の吉岡選手の試合出場実績を顧みると、今回が最後のワールド出場になるのではないかという見方ができました。

「ワールドには毎年出てきましたし、昨年の大会を終えた時から、今年のワールドを目標に練習をしてきたのでポイント制度導入云々により出場資格が変わるとか関係なく、今大会には出るつもりでした。そのために1年間、練習してきたので。ただ、今後のことは考え中です。自分は減量であったり、メンタルの部分であったり、コンスタントに試合に出るというタイプではないですからね。

ある程度の期間を置いて、練習で練り上げてきたものを試す場が試合だと思っています。1度戦うと、次の試合は1年ほど機会を置く、先にしたいのは変わりないです。そう考えると、ワールドは出らなくなりますね。だからどうするかは思案中です」

──では、決してこのワールドが最後ということはないわけですね。

「それは今日の試合を終えて考えようと思っていました。最初からこれが最後というつもりはなかったです。今日の試合で、もし自分が不甲斐ない試合をしてしまえば、最後にしようかとは思っていましたが……。ただ、それなりの練習の成果は今回の3試合で出せたかと。自分なりに満足できる部分があるので、もうちょっと続けてみようかと今は思っています」

──2日目に残れたことで、満足できる部分もある?

「2日目に残ったことは正直、恐怖でしかなかったです。自分との戦いでした。結果、何もできなかったんですけど……。それは試合をして次元が違うと、開始数10秒で体で分かったので凌ぐので精一杯でした」

──それでもアドバン以外、ポイントを与えることはなかったです。凌ぎ切れたことに関しての自己評価は?

「唯一、そこだけです。何度も心が折れそうになりましたが、何とか自分に負けずに頑張り通すことができた。それが僕にとっての最大の収穫です」

──2回戦で当たった山田悦弘選手は練習仲間だそうですね。

「週に2度、練習しています。一番、戦いたくない相手でした。普段一緒に練習している山田さんのイメージを払しょくすることに重きを置いて、全くの別人だと言い聞かせて試合をしました」

──試合が終了した直後の2人の様子は、非常に印象に残っています。

Yoshioka & Yamada【写真】ワールドで日本人対決が行われることは珍しくない。階級が同じだと練習相手と戦うことも……。敗れた山田選手も2回戦での吉岡戦、互いに初戦をクリアして戦うことになったのはポジティブに捉えて欲しい(C)MMAPLANET

「互いに感極まるものがありました……。かなりエモーショナルになってしまいましたね。山田さんとの試合で、山田さんの気持ちが伝わって来たので、それを受け止めて勇気に変えることができました」

──吉岡選手自身、病院の仕事の方も辞めて打ち込んできたと伺っています。

「それは柔術のためだけじゃなくて、色んな事情があったんですけどね(苦笑)。そうですね、練習に集中できる環境にはあります。今のこの環境は人生で最高のハッピーな時間なので、貯金が尽きるまで楽しみたいです」

──日本で下の世代に胸を貸すという試合には、やはり出る気にはなれないですか。

「……。僕は今、誰と戦っても負ける可能性があるし、若い選手の方が勢いがあって、海外でも結果を残せると思います。僕自身としては、この時間をもう少し楽しみたいので、海外のトーナメントで当たるようなことがあれば戦わざるを得ないですが、国内でというのは……。ただ、誰と戦っても僕の中でのテーマは変わりません。それは対戦相手云々ではないので」

──ワールドの出場資格が変わることで、今後はその海外で戦う時期、出場トーナメントも変わって来そうですね。

「ワールドの次にレベルの高いトーナメントに出ることが一番、実現性が高いと今のところは考えています。すぐにパウロ・ミヤオ選手と戦っても、結局何もできないままやられてしまいます。やはりスパンを置いて次の試合に臨みたい。何か自分ができることを見つけて、練り上げてから試合をしないと意味がないと思うので。もう少し時間を置いて……ですからパン柔術とか、それ以降の大会に。それぐらい僕は時間が欲しいです」

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