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【Shooto2023#06】キム・ミンスと対戦、進化版=岩﨑大河─02─「ヒジとヒザを重点的に鍛えようと」

【写真】プロ修斗出場は昨年7月から1年2カ月振り。どのように進化したMMAファイター岩﨑大河の姿が見られるか(C)MMAPLANET

24日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto#06で、キム・ミンスと対戦する岩﨑大河のインタビュー後編。
Text by Shojiro Kameike

MMAに専念するうえで、岩﨑が強化するのはレスリングとグラップリングだった。ストライカーである岩﨑にとっては当然ともいえるが、MMAの試合から離れていた期間に組みの展開の視点も変わってきたという。結果、辿り着いたのは立ち上がるエスケープとヒジ打ち――10カ月ぶりのMMAで、進化した岩﨑大河を見せつける。

<岩﨑大河インタビューPart.01はコチラから>


――グラップリング面を強化するために、何か新しいことに取り組み始めたのですか。

「何かを始めたというわけではないのですが、佐藤将光さんのFightBaseで練習しているコクエイ・マックスさんという英国人ファイターが凄いんです。ネクサスでもジェイク・ウィルキンスに一本勝ちしている選手で。そのコクエイさんが技オタクというか、グラップリングに関する知識と技術が凄いです。

有名なグラップラーや柔術家の方も『こんなの日本で教えられるのはコクエイさんぐらいだよ!』と言うぐらいなんですよ。今は週1~2回コクエイさんと組んでいます。特にグラウンドで上からでも下からでも攻めることができる。あるいはすぐに立つことができるという、グラップリングの基礎を教わっていますね」

――現在の岩﨑選手に、倒されてもすぐに立ち上がる技術が備われば強いでしょう。

「ひと口に『立ち上がる』と言っても、大きく2つあると思います。ひとつは瞬発的な立ち上がり方――パッと相手のクラッチを切って立ち上がること。もう一つは技術的な立ち上がり方で、立ち上がりにくい時にテクニックを使って立ち上がる。今はその2つとも学んでいます」

――スプロールで力を使いすぎるよりは、自ら尻もちを着いてスイープするか、すぐに立ち上がるほうが直後の展開に繋げやすい場合もありますよね。

「そうなんです。たとえば堀口恭司選手と扇久保博正選手の試合で、堀口選手が組まれるとすぐに尻もちを着いて立ち上がるか、スイッチしていました。ああいう試合を視ていると、別に尻もちを着くことが必ずしも悪いことではないと思ったんです。

レスリングをやっていて『スプロールしろ。尻もちを着くな。すぐに立て』というのは重要だと思います。でも、それができない時にどうするかを考えないといけない。いかにして疲労せずにスタンドに戻せるか――頑張っても疲労して、自分が動けなくなったら意味はないので」

――そこで迎える次のキム・ウンス戦について、まずは対戦相手の印象を教えてください。

「馬力のある、力強い選手ですよね。どんどんパンチで来て、組んで倒すというスタイルで。自分としてもMMAは約10カ月ぶりになりますが、その間に自分が積み上げてきたものを発表できると思っています」

――これまでの岩﨑選手といえば、スタンドでは距離を取る――言い方を変えれば、距離を取りすぎてしまうことがあったように思います。

「そうですね。はい、分かります」

――それだけ距離を取るのは、きっと綺麗で鋭い蹴りを打てるためかもしれません。いわば長距離砲を持っているわけなので。しかし空道選手権で見せたように至近距離で殴り合うことと、テイクダウンされてもすぐに立ち上がる技術が備わったら興味深いです。

「ありがとうございます。自分もMMAの試合をしていない間、余裕を持って他の選手の試合を視ることができるようになりました。これは自分の感覚ですが、僕は他の選手と比べて手足が短いです。そしてパンチのスキルも、そんなに高くない選手でした。そこでトレーナーである大道塾吉祥寺支部の飯村健一支部長とお話して、ヒジとヒザを重点的に鍛えようと決めました」

――なるほど。ヒジとヒザがあれば、より至近距離の攻防が強くなりますね。

「はい。だから最近は特にヒジとヒザを教わっています。ちょうどそんな時に――先日、平良達郎選手がUFCで戦った大会があるじゃないですか」

――今年7月のUFC290ですね。

「あの大会はメインカードが全て凄い試合で、感動しました。MMAの深さを知ることができたといいますか。今のMMAには接近戦だけではなく、超接近戦がありますよね。本当は組みに行きたい距離なのに、行けない。あるいは組んでも切られてしまう。それはなぜかといえば、ヒジがあるから入ることができなくて。

パントージャ×モレノは最初、パントージャ選手は全然組むことができませんでした。モレノ選手のヒジが当たっていましたからね。それでも終盤は組みに行って勝利したパントージャ選手も凄いですけど」

――UFC誕生から30年経ってなお、現在でもオクタゴンは急速に進化し続けています。その姿を、余裕を持って視られるようになったのは大きいかと思います。

「MMAの最先端は、間違いなくUFCじゃないですか。メインカードになると、もうお互いジムの威信を賭けた戦いになっていて。ストリックランドとアデサニャの試合(UFC293)も感動しました。

今日も練習に向かう移動中、ずっと視ていたんですよ。最近またUFCで使われる距離感が、少し変わってきたと思います。あれだけの至近距離なのに殴って組むだけでなく、蹴りながら相手の組みも切ってしまう。本当に……凄いとしか言いようがなくて」

――確かに。あれだけの至近距離でローをカットするのではなく、蹴り足をすくい上げるなど……よく見えているんだなぁと驚きます。あとはパンチのディフェンスもパーリングが増えてきていて、UFCはトップファイターが達人の域に達してきているという。

「ボクシングやレスリング、柔術だけではなく、またムエタイの技術も高まってきているように思いますね。お互いに手と足で触れるぐらいの距離――これまでなら組みに行っていたような距離で打撃を繰り出すことが多い。すると圧の掛け方も変わってきます。

今までの僕は、相手がボクシングをやってきたら後ろに下がって蹴ることが中心でした。でも、そこで一歩踏み込んでヒジを打てば良いという感覚が身についてからは、とても調子が良いんですよ。もちろんスパーリングでは本気でヒジを入れるわけにはいかないのですが、それでも練習の中で『ここでヒジを打てばいいんだ』という感覚が備わってきています。とにかく今は早く試合がしたいですね」

■ Shooto2023#06対戦カード

<フライ級/5分3R>
石井逸人(日本)
堀内佑馬(日本)

<ミドル級/5分3R>
岩﨑大河(日本)
キム・ウンス(韓国)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
藤野恵実(日本)
宝珠山桃花(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
杉本恵(日本)
エンゼル☆志穂(日本)

<インフィニティリーグ2023フェザー級/5分2R>
上原平(日本)
磯部鉄心(日本)

<フライ級/5分3R>
内田タケル(日本)
大竹陽(日本)

<バンタム級/5分2R>
平川智也(日本)
ライダーHIRO(日本)

<フェザー級/5分2R>
児山佳宏(日本)
メイヘム和也(日本)

<バンタム級/5分2R>
谷井翔太(日本)
杉野光星(日本)

<新人王決定Tフライ級2回戦/5分2R>
大石航輔(日本)
神里昭吾(日本)

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