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【Special】月刊、青木真也のこの一番:3月─番外編─田中路教を考える「あんなことができる人はいない」

Nori【写真】孤独感という表現を青木真也は使った (C)MMAPLAET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ3月の一番、第3弾の堀江圭功×田中半蔵からの田中路教✖ウラジミール・レオンティブの一戦を語らおう。


──頑張っている20代の選手を応援したい。そういう意味で始まった青木アワードですが、田中選手はその対象にならない?

「田中さんに僕が何かをすることは……恐縮してしまうレベルの選手なので。田中さんはやっていることとか、目指していることは俺が触れるには恐れ多い感じがします。

田中さんのこの間の試合に触ると、凄い孤独感が出ていた。追い詰められている感じとか、周囲の期待とか応援も含めて……凄く切なくなってきて。ビザが取れるとハワイで練習するとかっていう話を耳にすると、割と胸が痛くなってしまうぐらいの案件なんですよ、僕にとって。

もう何も言えないですよ、凄くて」

──それは青木選手が田中選手を認めているということなのでしょうか。

「いやいや、認めるとかじゃなくて……。認めているとか、尊敬しているとかっていうことじゃなくて、良い言葉が見つからないです。田中さんに対する、僕が感じていることっていうのは。

僕にはできない。自分にはできないし、誰もがやりたい生き方、誰もが憧れることを実行しているので。本当に……なんだ……、だから青木アワードとかいって賞金渡して、話をする。そんなことは……俺は触れられないんですよ」

──それはそれで最高の誉め言葉ですね。一緒に練習もして、話もする関係なのに。

「いやホントに悪い意味なんて全くなくて、恐れ多い。尊敬していて、恐れ多くて、俺ごときが触れる案件じゃないわって思うんです。だから、心配……田中さんは」

──心配というのは?

「あれだけ追い込んで、追い詰められてやっているのが……。心配、そうですね……心配っていう表現ですね。あの追い込み方は、何が彼をそうさせるのかを知ることは興味深いですが……」

──追い込みもしていると思います。人間関係を凄く大切にする人間であっても、強くなるためには人間関係だって断ち切ることができるので。

「あぁ、だからあの孤独感が出ているのか」

──孤独感?

「ハイ。だから心配というか。こないだのパンクラスの試合は切なかったです。もっとできるのに。孤独感が見えた。僕も格闘技のなかでは、人のできないことや人の分からないことをやっている方だと思います。でも田中さんはより周囲に本当の田中路教を理解してくれる人はいないと思う。

応援してくれたり、理解しようとしてくれる人間はいても……本当に彼が悩んでいること、自傷行為を繰り返していることを分かっている人はいるのかって」

──自傷行為……。

「だってそうじゃないですか。自分を傷つけて、明日立ち上がる。そうやっていることを気づいている人や分かってくれる人は、本当は少ないはず。高島さん、田中さんのこと心配じゃないですか?」

──う~ん、私の場合は田中選手は区切りをつけているので、この状態は長くないと思っています。それは格闘技をいつまで続けるのかと言うことでなく、ずっと続けるのであれば今と違うスタンスで続けられるでしょうし。

「あぁ、そうですね。そのまま続けるなら、自分を守れるようになると。それなら良いです。そうだと良いですね。本当に自傷行為を繰り返しているし、あんなことができる人はいない。だから格好良い。田中さんが通用しなかったら、どの日本人が通用するんだってことですからね。田中さんはちょっと違うレベルです、今の日本だと」

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