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【Interview】サウロ・ヒベイロ(02)「MMAで目指すモノは成功だけ」

University of Jiu Jitsu

【写真】サンディエゴのMMA会場として有名なヴァレービューカジノ・センターにほど近いロケーションにあるユニバーシティ・オブ・ジウジツの外見(C)MMAPLANET

ホイラー・グレイシーのインタビューに続き、現在発売中のFight&Life Vol36に掲載中の「Fight&Life 格闘紀行=サンディエゴ編」に登場する格闘家インタビューの第2弾サウロ・ヒベイロ編パート2をお届けしたい。

MMAとも関わりの深いサウロだが、柔術とMMAを明確に分けていることが分かった。彼の想う柔術を広める努力を続けるサウロのMMAとの付き合い方を尋ねた。

<サウロ・ヒベイロ インタビュー、Part 01はコチラから>

――米国でサウロの想う柔術が広まれば、世界に広がるという想いがあったということでしょうか。

「そうだね。米国でまず基盤を作るべきだと思った。そして、BJ・ペンに続き、我々のお教えを受けるラファエル・ロバトJrが世界チャンピオンになった。我々はマーシャルアーチストとして、人々に柔術のもつ性格を伝えたい。家族、忠誠心、尊敬心、規律、心構え、これを理解してもらえないと、私は柔術を指導できない。人間が生きていくうえで、家族を大切に想い、人々に対してこれらの気持ちを持たないでどうする?  一方で、MMAというのはハスラーが必要だ。敏腕でやり手、ときには詐欺師まがいのやり取りをすることもある。それがビジネスだ。

なぜか、MMAの住民たちが目指すものは成功だけだからなんだ。それが栄誉であり、金銭的なものだろう。ただし、マーシャルアーチストとしての成功は、それぞれ違う。マーシャルアーツとは、心の平穏を意味する。マーシャルアーツをどのように生かすかは、その人次第だ。家族、忠誠心、尊敬心、規律、心構えがあって、名誉、栄光を掴むことができる。日本人なら、本当にこの意味合いが理解できるだろう」

――う~ん、それは何ともいえませんが……。

「古き良き日本を理解している人には、分かってもらえるはずだ。今の日本人が実行していなくても、言葉の意味は分かるだろう。でも、実行することが重要なんだ。もちろん、もう武士道なんて精神は日本社会にも残っていないことは容易に想像がつくよ。

だからこそ、私はそんな精神性を柔術を通して伝えていきたい。残していきたいんだ。MMAは別モノだ。私はディエゴ・サンチェスが好きだ。そして、彼は柔術を愛している。彼が柔術を愛しているなら、私も彼が愛しているMMAを愛する。だから一緒に世界戦に向けて戦った。そんな風にMMAと関係していけることは楽しいよ。でも、私はMMAの人間じゃない。ただ、よりMMAで活躍するために何が必要かは分かっている」

――サウロが伝えたい柔術、伝えることを可能にするのは、環境が大切です。サウロは金儲けのために米国に移ってきたのではないと言いますが、食べていけないと柔術を広めることもできません。

「柔術のアカデミーは、どこだろうが成功できる。しっかりとしたパートナーがいればね。パートナーがビジネスに優秀であることは欠かせないが、その人物が柔術を敬い、愛してくれないと何も始まらない。1年後に利益をあげたい、5年後に利益をあげたい。重要だが、それだけなら車を売っていればいい。

ジムを持つということは、社会に貢献できる場を人々と共有するということだ。そのことを忘れて、柔術を教えることを商いとし、ビジネスとして成功しても何にもならない。エリオ・グレイシーの教えも意味がなくなってしまう。90年前、エリオが誰も知らない柔術を指導するためにアカデミーを創った時、ビジネスだけを考えて始めたわけがない。柔術を広めたくて、指導するようになったんだ。

チャンピオンを育てて、お金になると思うかい? チャンピオンはMMAで戦いたくなって、ジムを離れるよ。いつだって、隣の芝は青く見えるものなんだ。柔術アカデミーを健全に運営するには、経営は柔術を愛する優秀な人間に任せて、私たちは柔術の指導に専念すべきだ。柔術の有るべき姿を汚さない経営者、ビジネス・パートナーは最高に力になってくれる。

私はマーシャルアーチストだ。ビジネスマンじゃない。ビジネスは畑違い、白帯もいいところなんだ(笑)。自分の能力にあった仕事を見つけなければならない。私が自信を持っているのは畳の上で柔術を指導する事。柔術を追求していくことだ」

――サウロの柔術は、現在どれぐらい世界に広まっているのですか。

「今現在でヒベイロ柔術は、世界中で40以上の支部がある。でもことを急いてはいない。時間を掛けて、じっくりと取り組んでいる。ただ道場を開く場所があって、ビジネスができる条件が揃っているだけで、支部は作らないし、一緒にやっていくつもりもない。みな、10年も一緒にやっている連中ばかりだ。私のことを信じてくれる、ついてきてくれる人々を私は信じている。

きっと私のやり方は、金儲けを考えるとベストシステムではないだろう。私たちは商売人じゃないからね。私たちはマーシャルアーチストだ。最高の指導者を世界に送り出している。この部分だけは、絶対に約束できるよ」

(この項続く)

<Bio>
Saulo Ribeiro
1974年7月2日、ブラジル・マナウス出身。
1997年~2000年ブラジリアン柔術世界選手権優勝
2000年&2003年ADCC世界サブミッションレスリング選手権88キロ優勝
MMA戦績5勝1敗

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