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【Hero Legend】中国3万人の前で、祖根寿麻が戦ったぁ

2011.12.03

Hero Legendリアルタイムで追えなかったMMAイベントを後追いリポートするMMA SALON。今回は11月5日(土・現地時間)に中国で行われた「HERO LEDEND(英雄伝説)」に出場し、中国のトップMMAファイター=ヤン・ジェンピンと対戦した祖根寿麻(志村道場)が、PRIDE全盛期のような3万人の前で戦い、何を感じたのかをお伝えしたい。

【写真】PRIDE的な派手な演出。懐かしい会場の雰囲気が、中国で再現されている。ちなみにチャンシャーは人口650万人の大都市だ (C) Shimura Dojo

湖南省長沙市長沙賀龍体育店、フーナンの省都チャンシャー市にあるホアローン・スタジアムは体育館ではなく、5万人収容の競技場。今大会はリング使用で、キックとMMAの試合が行われ、3万人近い観客が集まった。巨大なスクリーンからファイターが登場するさまは、まさにPRIDEそのもの。ルールは5分×3Rで、祖根は本来バンタム級のファイターだが、今回は65キロマッチで出場した。

対戦相手のヤンは、AOW時代からMMAに上がっているファイター。戦績は5勝3敗1分、敗戦のうち一つは香港のLFCで日本の若林琢磨と戦い、寝技で蹴りを使い反則負けになったもの。

筋肉隆々、なかなかの二枚目で抜群の人気を誇るヤンだが、祖根陣営が立ち会えない計量でガッツポーズを見せていたものの、実のところは計量オーバー。後からそれを知った祖根サイドが抗議し、1ポイントペナルティが与えられた。


序盤は互いに間合いを計りながら、静かなスタートに。距離を詰めたヤンが首投げから、テイクダウンを奪い、バックに回り込むと、祖根が返して立ち上がる。動きが二転三転すると、湖南省のファンはグランドでも立ち上がって、大いに沸いた。

その後、体格で優るヤンがシングルレッグ、サバ折りでテイクダウンを決めるも、グラウンドでのブレイクが多く、ヤンのパウンド後にスタンドで再開になる展開が続く。祖根も1Rに一度、2Rにもサバ折りでトップを奪うが、ハーフを取ったヤンの肩ブリッジで態勢を返され、有効な攻めを見せることができない。

ガードからヒザ十字も狙ったが、ヤンはロープを掴んで足を引抜き、レフェリーも注意を与えない。そんな細かい部分も見られたが、優勢に試合を進めていたのは明らかにヤンの方。強烈な左フックを振るうヤンに対し、祖根も左ミドルをヒットさせるが、どうしても押し込まれ、組まれて倒されてしまう。

3Rに入ると、距離をとってポイントアウトに出たヤン。一気に近づくと、左フックや左ボディを打ち込み、サッとを距離をとる。なかなか追い込むことができない祖根は、ここでシングルからテイクダウン、バックを奪われそうになり万事休す。

Yang & Sone【写真】試合後に健闘を称えあう祖根とヤン(C) Shimura Dojo

そのままタイムアップとなり、ヤンが判定で祖根を下した。次戦はホームグランドHEATのケージのなかで、記念すべき20回大会=ディファ有明(17日・土)で、京都のGSPこと釜谷真(Team Touri)と対戦する祖根寿麻から、ヤン戦、中国で3万人を前でのファイトに関して、下記のようなコメントが届いている。

「中国の試合が決まり、初めて海外での試合だったのですごく気合いが入っていました。しかも、相手は中国の英雄ということで、試合の映像をチェックすると凄く人気もありカリスマ的な人を惹きつける選手だと思いました。

自分としては『かませ犬で、悪者だったら噛みついて食ってやる』って気持ちと、同時に65キロ契約だと、本来は60キロなのでフィジカルの差が出てしまうのではないかという不安もありました。

中国に着いて、空港でイベントのパネルがあって『こんな大きい大会に日本でもまだ実績のない自分が出ちゃっていいのか?』と、まず思ってしまった次第です。リハーサルの時に会場を訪れて、『こりゃ、やばい! 本当にこんな大きなイベントに呼んでもらった』ということに気づき、改めて英雄伝説の主催者の方、自分のマネージャーに感謝の気持ちでいっぱいになりました。

そして、日本で応援してくれている仲間の為にも、絶対に勝とうという気持ちになりました。試合は緊張していたのですが、入場の時3万人ぐらいのブーイングを耳にして、なぜか吹っ切れました。

試合内容は、やはりフィジカル負けがかなり出てしまいました。テイクダウンこそ出来たもののすぐリバーサルされたり、打撃も単発ばかりであまり手が出てなくテイクダウンも結構されたので、完敗でした。ただ、自信がついた部分もあります。3Rを戦えたスタミナ、自分のテイクダウンが通用するとかいろいろ収穫はありました。

次の試合は12月17日、HEAT 20で釜谷真選手と対戦が決まっているので、今回の海外での経験を生かしたいと思います。HEATにとって、20回目という節目のイベントで、また釜谷選手は、自分よりキャリアも上。食べちゃえばおいしいので絶対に勝ちます」

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