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【Shooto2023#07】山内渉とフライ級王座決定戦、新井丈─02─「この試合が俺のベストバウトになる」

【写真】新井は修斗のルールを変え、そして歴史も変えてしまうのか(C)MMAPLANET

19日(日)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されるShooto2023#07のメインで、山内渉と空位の同フライ級王座を争う新井丈のインタビュー後編。
text by Shojiro Kameike

意識を失いながら安芸柊斗をKOした同日――山内渉がヤックル真吾をKOし、フライ級タイトルマッチの相手として新井を指名した。そんな両者による王座決定戦に至るまでの新井の想定に、彼のMMA観がよく表れている。相手の強さも、階級差も覚悟のうえだからこそ、この試合に新井が目指すヒーロー像が詰まっている。

<新井丈インタビューPart.1はコチラ


――安芸戦と同日に、今回の対戦相手である山内選手がヤックル真吾選手をKOしたあと、タイトルマッチの相手として新井選手を指名していました。そのアピールは聞こえていましたか。

「聞こえていました。ちょうど入場口の裏側――後楽園ホールで控室から階段を上がってきた瞬間ですね。自分の試合前に会場の空気感も知りたくて。そうしたら俺の名前を出していたので、ちょっと気が散っちゃいましたね(苦笑)」

――ご自身の試合に向けて集中力を高めている時の出来事で。

「まぁ、そこは気持ちを切り替えましたけど……。そういえば、俺の名前を出しているのを聞いていたのに――名前が分からなくなって」

――というと?

「もともと試合後に、フライ級の誰かに喧嘩を売ろうとは決めていたんですよ。でも当日のフライ級戦で誰が勝っていたのか覚えていなくて、マイクを持ちながらセコンドに『今日のフライ級戦は誰が勝ったんですか?』と訊いていました。すると『山内渉が勝った』ということだったので、『じゃあ山内君やろうよ』と言ったんです」

――意識が飛んだ試合の直後ですから、それも仕方ないかもしれません。

「当日は山内×ヤックル戦と、関口祐冬×内藤頌貴の2試合があったので、盛り上がって勝ったほうに喧嘩を売ろうと思っていました」

――試合前の時点で新井選手としては、誰が勝ち上がってほしいと思っていましたか。

「理想は山内君が圧倒的なKO勝利で上がってくることでしたね。俺は関口君に勝っていて、一方の内藤選手は大事な試合を落とすタイプだから。この試合はフィニッシュせず、どっちもどっちの試合をして終わってほしいと思っていました」

――それで山内選手が圧倒的なKO勝利を収めれば、必然とフライ級王座決定戦の相手は山内選手になりますね。

「そうです。4人の中で、山内君だけ抜き出ることになる。そのあとに俺がKOでストロー級王座を防衛したら――俺と山内君が対戦するって、観ている側も分かりやすいじゃないですか。そういう理想は試合前から考えていました」

――結果、新井選手の理想通りの展開となりました。改めて、フライ級のベルトを賭けて争う山内選手の印象を教えてください。

「一発の強さは、今まで自分が戦ってきたファイターの中でもナンバーワンでしょうね。あと、ここ3~4戦で試合の中での成長具合が凄まじいというか。やっぱり試合の中でしか掴めないものって、あると思うんですよ。それを俺は9連敗しても掴めなかった――2~3連勝したぐらいで、ようやく戦い方が分かってきて自分のファイトスタイルが確立されてきました。でも山内君はまだキャリアが6戦で、そのうち3~4試合で掴んできていますよね」

――確かに山内選手は戦い方を身につけながら、ここ2試合は仕留め方もプラスされています。何をどうしたら相手を仕留めることができるのか。ヤックル戦では立ち上がり際にパンチで倒すなど……そう考えると、新井選手にとっては関口戦よりも噛み合う相手ではないでしょうか。

「そうですね。俺の周りでも、みんなが楽しみにしていますよ。心配もされるしね」

――新井選手がKO負けを喫するのではないか、と。

「山内君はパンチ力が強いことって、みんな分かっていますから。『さすがのジョーも山内君もパンチを食らったら危ないよ』と言われます」

――もともと山内選手のパンチ力が強いうえ、今回はストロー級とフライ級の差も表れてくるかもしれません。

「そこで自分の気持ちが試されるんじゃないですか? 俺の気持ちが弱くなることはないし、相手もそこで引くようなタイプではないと思うんですよ。俺もいつもよりダメージは受けると思います。ダウンするかもしれないし、もしかしたら俺が下がることもあるかもしれない。でも、それらは全て想定のうえで――覚悟して戦うので。だから相手の良いところも俺の良いところも全部出て、この試合が新井丈のベストバウトになると考えています」

――新井丈のベストバウト!

「相手の良いところも全て引き出したうえで自分が勝つ。そうすると俺を応援してくれている人だけでなく、相手の応援団の感情も引き出せると思うんですよ」

――ただ、そうした戦いの末に自分が倒れるリスクも背負うことになります。

「それはもう、MMAを始めた時に腹を括っていますから。そういうものだと思ってMMAを続けています。最近は一発をもらうことを怖がる選手が多すぎるんじゃないですか。自分にとっては山内君が強いとか、今度こそ俺が危ないとか――そんな意見をネガティブには捉えていなくて。『そこで俺が勝ったら、お客さんはどれぐらい盛り上がるんだろうか』と、全てポジティブな想像しかしていないですね。

今回は修斗初の同時二階級制覇、新井丈が両肩にベルトを掛けた姿をお見せします。そのために自分の体がボロボロになることは、覚悟のうえです。それも含めて、ハラハラしながら俺の試合を見届けてください」

■視聴方法(予定)
11月19日(日)
午後6時00分~ ABEMA格闘チャンネル
             
■Shooto2023#07対戦カード

<修斗世界フライ級王座決定戦/5分5R>
山内渉(日本)
新井丈(日本)

<フェザー級/5分3R>
オーディン(日本)
宇野薫(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
藤野恵実(日本)
杉本恵(日本)

<インフィニティリーグ2023女子ストロー級/5分2R>
吉成はるか(日本)
エンゼル☆志穂(日本)

<インフィニティリーグ2023フェザー級/5分2R>
竹原魁晟(日本)
浜松ヤマト(日本)

<バンタム級/5分3R>
ライダーHIRO(日本)
川北晏生(日本)

<バンタム級/5分2R>
江口諒(日本)
シモン・スズキ(日本)

<フライ級/5分2R>
大竹陽(日本)
杉本静弥(日本)

<ライト級/5分2R>
エフェヴィガ雄志(日本)
後藤陽駆(日本)

<バンタム級/5分2R>
Jセロウ若林(日本)
中野剛貴(日本)

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