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【ONE TNT04】フォラヤン戦へ、離日前日の青木真也─01─「エディ・アルバレスでどうだっていう話も」

【写真】シンガポールへ向かう前日にいつも通りのグラップリングスパーリング──も、若干の心持の違いは伝わってきた (C)MMAPLANET

29日(木・現地時間)に開催されるONE119:ONE TNT04でエドゥアルド・フォラヤンと対戦する青木真也。

当初の予定ではセイジ・ノースカットと戦うことが決まっていたが、COVID19の治療後の後遺症により欠場となり、フォラヤンと3度目の対戦が決まった。

ノースカット戦の期待が高くファンからは落胆の声も聞かれたが、青木自身は対戦相手が代わろが精神的にも起伏はない──なぜ、そのような信条の持ち主になったのか等を日本を発つ前日、ロータス世田谷での練習前に青木に尋ねた。


──明日、シンガポールへ向かうということですが、色々と試合前からあったエドゥアルド・フォラヤン戦です。

「コンディションとかはスロー調整で無理なくやれているんで、悪くない気がします」

──北米基準というところでセイジ・ノースカット戦は楽しみだったのですが、ここでフォラヤン。もちろん、青木選手がもう『相手が代わるから、試合をしない』という選択はないことは十分に分かっているのですが……。

「ノーと言う文化がありますよね。そこは僕はあんまりないから」

──ノーとは言わなくても、気持ちの浮き沈みというのはなかったですか。

「それも正直言って、あまりないんですよ。なんで、そうなるのか自分でも分からないです」

──ノースカットが欠場、対戦相手はフォラヤンという風に同時に連絡があったのでしょうか。

「『セージ、欠場です。コロナのようです。実は秋山選手もケガをしていて欠場で、フォラヤンとやってくれという話ですが、断りますよね』というテンションだったんですけど、
僕としては『やる、やる』というだけで」

──結果的にタイナネスの名前がカードから消えていましたが、その日に出場予定だったローウェン・タイナネスやピーター・バウシュトでも『やる、やる』ですか。

「ハイ、変わりません。戦うことに関しては、変わりないです。その『やらない』という選択を最近の若い子はするじゃないですか? こういうことを言うと嫌がられるけど、皆断るじゃないですか。それって分かりやすくて、終わりを意識していないからです。永遠に続くと思っている。

右肩上がりで続くと思っているから、断るんです。あみだくじで当たりになるよう、はずれは引きたくないという風でいるから断る」

──キャリアが永遠ではない。終焉が近づいている。だから1戦、1戦を大切にして『ノー』という判断もあるかと思うのですが。

「終わりの意識が、そんなレベルじゃないです。明日できなくなる……この良い状態で明日はできなくなるかもという意識が明確にあるんです。それってどういうことなのかって色々な本とか読んでいると、限度が分かることが学問だという一文に辿り着いたんです。限りがあることを知るのが学問、つまり終わりがあるということじゃないですか。

終わりがあることを知るのが学問だし、有名な言葉では葉隠れの『武士道とは死ぬことと見つけたり』みたいな。これって戦時下で特攻隊に向かわせるために、死ぬことを厭わないという間違った使い方がされていますけど、本来は明日何があっても良いように悔いなく生きようということで」

──だからこそ、コイツとやっておきたいから急遽代わった相手とはやりたくないという選手もいるかと思います。

「僕が変わっているんですかね……」

──結果論としてエディ・アルバレスが出てきたオク・レユンなら、同じトリロジーの第3戦でも青木✖アルバレスIIIが見たいという声があっても然りですし。

「僕はフォラヤンでも、アルバレスでもイエスです。実際にラカイ勢から陽性が出たかなんかで、フォラヤンが難しければエディ・アルバレスでどうだっていう話も来ました」

──やはり、そういう話もあったのですね。

「ハイ。『ならエディとやります』と返答したけど、『やはりフォラヤンになりました』という風で」

──それだけのやり取りを感情の起伏なくできるというのは、やはり青木選手は普通じゃないです。

「やっぱり僕が変わっているんだ(笑)。まぁ、僕はアルバレスでOKだったけど、フォラヤンになったということはアルバレスが『ノー』だったと解釈しています。オク・レユンだったら、特別な対策をやらないで戦って圧勝ちできると踏んだんでしょうね」

──青木選手と戦うには、また違った準備が必要だと。

「僕はそう思いました。触らせない練習とグラウンドの練習が必要になるだろうなって」

──エディ・アルバレスがそういう判断だったとしても、十分に理解できます。

「僕は誰とでも戦う、試合を受けるという感覚が普通だと思っていたので」

──とにかく、その試合でゲインがどれだけあるのか。得がどれだけあるのかは選手も考えるところだと。

「そういうことしていると、得していますか?」

──そこでプロモーションとWIN WINなら得がありますが、自分だけがWINの試合をしていると、それは結局得になるのかは微妙かと思います。

「ですよね! そうやって得はしていない選手はたくさん見てきましたよ。そういう渡り歩き方をしようとした選手を見てきたけど、決して得していないと思いますよ。チャンピオンシップしか嫌だとか、そんなの自分に都合よく戦おうとしているのが透けて見えるから。そうなると、俺は価値がつかいと思います」

──「負けた時に後悔したくない」という気持ちは理解できますけど、コロナ禍では目の前のチャンスに飛びつくべきだと思っています。先日も澤田龍人選手が、去年の10月に勝った相手ミャオ・リータオと戦って負けた。イベントを助けたファイトで、ただ負けた試合よりロスは少ないかと。

「まぁ勝たないと、得も損もないですけどね。ベルトコンベアで流れたわけで。こういう言い方が正しいかは分からないけど、澤田龍人もプロレスラーになった。プロの競技者ではなくて、プロのファイターになったんですよ。仕事だからやりますよって」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
4月29日(木・日本時間)
午前9時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■ ONE TNT04 対戦カード

<ONE世界ライトヘビー級(※102.01キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]オンラ・ンサン(米国)
[挑戦者] ヴィタリー・ビクダシュ(ロシア)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エディ・アルバレス(米国)
オク・レユン(韓国)

<ヘビー級(※120.2キロ) 5分3R>
ウマウ・ログログ・ケニ(セネガル)
キリル・グリシェンコ(ベラルーシ)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
青木真也(日本)

<ムエタイ女子ストロー級/3分3R>
ジャッキー・ブンタン(米国)
エカテリーナ・ヴァンダリエヴァ(ベラルーシ)

<60.6キロ契約/5分3R>
コルビー・ノースカット(米国)
コートニー・マーチン(豪州)

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