【UFC110】旧PRIDEスター揃い踏み、負けられない一戦
21日(日・現地時間)、豪州シドニーのエイサー・アリーナで行なわれるUFC110「Nogueira vs Velasques」。失地回復を懸けてヴァンダレイ・シウバが、マイケル・ビスピンと対戦するが、そのヴァンダレイ以外にも、日本人ファンにはPRIDE時代から馴染みの大物ファイター、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、ミルコ・クロコップも出場する。PPVオープニングとメインイベント、UFC参戦以来の戦績で両者のランクには差がついてしまっているが、PRIDEを知る者なら洋の東西、半球の南北を問わず、オープニングからミルコ、セミにヴァンダレイ、メインにミノタウロと、三者の揃い踏みには往時の盛り上がりがデジャブのように感じるかもしれない。
【写真】ケイン・ベラスケスに勝利し、再びタイトル戦線でトップ浮上を狙うアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ (C) ZUFFA
メイン登場のミノタウロは、AKAの新鋭ケイン・ベラスケスと対戦する。この試合に勝てば、3月のフランク・ミアー×シェーン・カーウィンの暫定王者決定戦の勝者に優先権こそ譲るものの、世界ヘビー級王者ブロック・レスナーへの挑戦権を得ることになる大切な一戦となる。
あるいはレスナーの復帰が、さらに遅れることがあれば、暫定王座への挑戦権が回ってくることも考えられ、勝者と敗者では今後の進路の明暗がクッキリと浮かび上がる、絶対に負けられない試合だ。
キャリア40戦のミノタウロ(33勝5敗1分1NC=8試合のパウンド無しRINGS KOKルールを含める)と、この試合が8戦目というベラスケス。その経験値や知名度を考えると、ミノタウロ有利という声が高いが、ベラスケスは決してイージーな対戦相手ではない。
名門アリゾナ州立大レスリング部の出身で、2度のオールアメリカンに輝き、MMAキャリアの早期07年にはノーギ柔術世界大会で青帯ながらスーパーヘビー級と無差別級で優勝している。
現在は紫帯で、黒帯のミノタウロとは力が違うと言われればそれまでだが、ただし、所属するAKAでは今も柔術のトレーニングを続けており、同門のジョシュ・コスチェックは茶帯、マイク・スウィックに至っては青帯ながら、MMAにおいては十分に寝技を駆使している部類に入る。
【写真】ベラスケスがミノタウロからマウントを奪うことはないと予想されるも、トップキープからマウントで攻め続ける展開は十分に考えられる (C) MMAPLANET
レスリング+柔術の基礎を身につけているベラスケスは、ミノタウロから一本を奪う力はなくとも、トップをキープし、ミノタウロの下からの仕掛けを防ぐことは可能。つまり、3R=15分間を戦い抜けば、判定勝ちできる力はあるという見方ができる。
とはいっても、チーク・カンゴというWBCムエタイの世界ランカーでもある打撃のスペシャリストとの戦いでは、パンチを受け、あわやKO負けに追い込まれたこともあり、打撃&寝技の両局面でミノタウロに一日の長があることは覆しようのない事実。
そのミノタウロ、クートゥアー戦ではテイクダウンをされても、鮮やかなリバーサルを決めるなど、今もなお柔術マジシャン振りは健在。ベラスケスが、テイクダウンから寝技になった際、すぐに立ち上がるようなら打撃で、寝技に付き合うならリバーサルから逆にトップを狙うであろう。
注意すべきは、やはりリバーサルを読まれ、顔面にパウンドを落とされること。打たれ強さでは定評のあったミノタウロも、さすがにこれだけキャリアを重ねてくると、UFCデビュー戦となったヒース・ヒーリング戦、暫定王座決定戦で敗れたフランク・ミアー戦と、打たれ弱さを露呈してしまっている。
ベラスケスがトップキープし、コツコツとパウンドを落とす展開は、ミノタウロとしては避けたいだろう。そうなれば自ずと、ミノタウロが有利な態勢で試合を進めることとなり、勝利は堅いものとなる。
【写真】対戦相手が急遽アンソニー・ペロッシュに変更になったミルコ・クロコップ。この相手に敗れるようなことがあればリリースも考えられるが、絶対有利な試合で久しぶりに豪快なKO勝利が見たいところ (C) MMAPLANET
昨年6月のドイツ大会以来の出場となるミルコは、対戦相手がベン・ロズウェルから急遽アンソニー・ペロッシュに変更。ADCC2003のオセアニア代表に選出されるなど、豪州では組み技系トップだが、MMAではこれといった実績も残していない。ましてや本来はライトヘビー級の選手で、通常体重のままオクタゴンに上がることが予想される。この相手に万が一、敗れるようなことがあれば、ミルコの姿をUFCで見るのはこれが最後になるだろう。
いずれにしても、久しぶりに豪快なミルコのファイトが見られそうなペロッシュではある。
■UFC110対戦予定カード
<ヘビー級/5分3R>
ケイン・ベラスケス(米国)
アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)
マイケル・ビスピン(英国)
<ライト級/5分3R>
ジョー・スティーブンソン(米国)
ジョージ・ソティロパロス(豪州)
<ライトヘビー級/5分3R>
キース・ジャーディン(米国)
ライアン・ベイダー(米国)
<ヘビー級/5分3R>
ミルコ・クロコップ(クロアチア)
アンソニー・ペロッシュ(豪州)
<ライトヘビー級/5分3R>
ステファン・ボナー(米国)
クリストフ・ソジンスキー(カナダ)
<ウェルター級/5分3R>
クリス・ライトル(米国)
ブライアン・フォスター(米国)
<ミドル級/5分3R>
CB・ダラウェー(米国)
ゴラン・レジック(クロアチア)
<ライトヘビー級/5分3R>
イゴール・ポクライェク(クロアチア)
ジェームス・テフナ(ニュージーランド)