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【Bu et Sports de combat】ベトナムのMMA─02─リンフォン伝承者の型破りなMMA普及(?)方法

Lien Phon MMA【写真】シンガード、エルボーパットをつけたジョニー主催の未公認MMA大会。キッズMMAも行われており、安全面には配慮もなされていた模様だ (C)Lien Phong

ベトナムMMA界を考察するうえで、現状MMAが認められていない要因の一つにリン・フォンを伝承されたジョニー・トゥリ・ウェンという存在がある。

ベトナムにはヴィエボォダオ=英語名ボビナム、越武道と呼ばれる土着武術かつ、もっとと普及しているコンバットスポーツが存在している

ベトナムにはヴィエボォダオ=英語名ボビナム、越武道と呼ばれる土着武術かつ、もっとと普及しているコンバットスポーツが存在している

資本主義社会でもなかなか見られない規模のジム=リン・フォンを2012年に開いた彼は、政府の目の届かないところでベトナムにMMAを持ち込もうとトライしていた……。

説得力ある言葉を持つ一方て、型破りなジョニーのMMA普及方法は、この国のMMAにどのような影響を与えるのか。そして3月20日のONEホーチミン大会第2弾でMMAが組まれることはあるのか?!

<ジョニー・トゥリ・ウェン インタビューPart.01はコチラから>


──それにしても、これだけのジムをホーチミンに建てるには、相当な財力がないと難しいかと。

「米国に住んでいる時、私はスタントマンだった。そしてベトナムに戻ってきて、運よくこの国を代表するアクション俳優になれたんだ。アハハハ。そして2012年にこのジムをオープンした。ただし、マーシャルアーツを指導してもビジネスにはならない。アハハハハ」

──MMAが認められていない国に、これだけのジムを創り、需要はあるのでしょうか。

「私はジムで、何度もMMAを開いてきた」

──えっ?

「ベトナム政府が今もMMAを認めない理由の一つは、私だろう。アハハハハ。2012年、ジムを開いた半年後に最初の大会を行った。安全面はしっかりと考えたうえで、まずは初期UFCのようなスタイル✖スタイルの試合を組んだ。スタイル✖スタイルをやることで、MMAに何が必要か理解が早くなる」

──なるほどぉ!! その通りかもしれないですね。

「それから半年に1回のペースで大会を開いた。大会の規模が大きくなり、ケージはイメージが良くないからリングを使用するようにしたんだ。試合はアマチュアでも、チケットは60万ドン(約2千8百円)だ。決して安くない。アハハハハ。

そうやってイベントを開いていると、ボクシングとキックを週替わりで放送している番組から、ムエタイファイターとリン・フォンの選手のフリースタイルの試合を組もうという話になったんだ」

──ではテレビでMMAが?

「そう、中継された。リン・フォンの選手が当然のようにテイクダウンして腕十字で勝った。それから無届けだろうが、ホーチミンでイベントを開くことは難しくなった」

──う~ん、裏技でMMAの試合を決行したようなモノですしね。

「ただし、地方都市の行政は大会開催を認めてくれたよ」

──それって袖の下を握らせるということでは……?

「アハハハハ。どうだろうね、その質問には答えないよ。選手も集まり、あとは試合を待つだけという時に政府から正式に『MMAを開いてはいけない』という通達が来た。1年半前の話だ。アハハハハハ」

──アハハハじゃないですよ(笑)。

「それからもキックの大会で、エキシビションだと言って、真剣勝負のMMAを2試合組んだこともあるんだ。それが……最後。私の力ではどうにもならなくなった。あとはONEチャンピオンシップに任せるよ。アハハハハ。この国の政府はシンプルであり、複雑なんだ。我慢強くペーパーワークと格闘すれば、どうにかなる。でも、私はそういうことは苦手だ。アハハハ。だから、これからはONEの役割だ。

──ジョニーさんは本当に愉快な人ですね(苦笑)。

「ただしMMAが認められるようになれば、経験を積むことによってベトナムは、他の国に引けをとらなくなるだろう。そのためにアマチュアから段階を踏む必要がある。リン・フォンにはウォリアーシリーズに出ているドゥラン・クォンロックという選手がいる。他の選手もマレーシアやタイでアマの試合をさせてきた。

ただし、そのために遠征費が必要な状況では選手は育たない。国内でアマ大会、プロのローカルショーが必要だ。ファイターとして生きているのに、ファイトがない状況を何とかしていかなければならない」

──それがジョニーさんのゴールと言えるのでしょうか。

「私にゴールは必要ない。ゴールを話すのは、『今がハッピーじゃない』と言っているみたいだ。私は楽しみなことはなんでもやっていく。そして、楽しい場所にいる。楽しい場所に居続けるって、楽なことじゃないんだよ。アハハハハハハハ」

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