この星の格闘技を追いかける

【ONE91】和田竜光の前に立ちはだかる150センチの壁、グスタボ・バラルト「UFCはミステイクをした」

Balart【写真】会見には列席していなかったもののド派手な出で立ちと背の低さで、会見会場でひときわ目立っていたバラルトだった(C)MMAPLANET

12日(金・現地時間)、フィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE91「Roots of Honor」で和田竜光と対戦するグスタボ・バラルト。

キューバのロンドン五輪代表グレコローマンレスラーは、MMAを志すことで母国を離れ、米国に移り住んだ。そしてTitan FCで抜群の存在感を示すようになったバラルトは、UFCが活動を止めるフライ級ファイターにとって、世界の頂点となったONE参戦を果たした。

身長150センチ、対戦相手の和田とは文字通り頭一つの背が低いファイターに初インタビューを試みた。社会主義国家のアスリートならではの我々には想像ができない過去が語られた。


──バラルト選手のタイタンFCでの試合はUFC Fight Passで視聴させてもらってきました。試合に勝つ度にホゼ・トーレス、そしてジュアン・プエルタに挑戦を表明してきました。そして3月15日に現フライ級王者プエルタへの挑戦、そしてリベンジマッチが決まっていながら、キャンセルとなりONE出場となりました。

「ONEと契約したことと試合がキャンセルされたことは関係ないんだ。プエルタはマリファナを使用していたから、出場停止になった。まさにこれから試合をしようという時にだよ。それから1週間後かなONEからオファーがあってサインしたんだ。

こんな大きな舞台で戦う機会を得ることができて、とても嬉しい。しかもグランプリに出場できるなんて。ONEを代表するファイターになるつもりだ」

──金曜日に対戦する和田選手にはどのような印象を持っていますか。

「特に個人的に思うところはないよ。数多くある試合の1つで、1人の対戦相手でしかないから。この試合のためにしっかりと練習をしてきて、戦う準備はできているよ」

──ところでUFCがフライ級の活動を止めると発表した時はどのような気持ちになりましたか。

「特にショックではなかったよ。ONEで戦うことを考えていたから。そして、現実になって嬉しい限りだ。けれどもフライ級の活動をストップしたのはUFCにとって大きなミステイクになるだろうね」

──トーナメントにはそのUFCで11度の防衛戦を果たしたデメトリウス・ジョンソンも出場しています。

「DJと戦うことは本当に大きな意味を持っている。そして、これほど光栄なことはない。そのためにも日本人には負けないよ」

──五輪のグレコローマン・レスリングのキューバ代表から、MMAに転じたのはなぜしょうか。

「ずっとMMAを戦いたいと思っていたんだ」

──キューバでMMAは視聴できたのですか。

「いや、米国から送られてきたビデオでUFCを見ていたんだよ(笑)」

──そんなことは普通に行われているのでしょうか。

「以前はそうではなかった。でも、今は普通に行われているよ。ロンドン五輪後、UFCでフライ級の試合が始まり自分の体重でもMMAで戦えると思った。そしてMMAに転じようと決めたんだよ」

──しかし、キューバにはMMAもUFCも存在しないですよね。そして当時のキューバと米国の関係を考えると、簡単に米国に入国などできなかったのではないでしょうか。

「その通りだよ。キューバと米国の関係は悪い。僕はまずキューバからコロンビアに渡り、そこからパナマへ行った」

──なのでMMAデビュー戦はコロンビアで戦っているのですね。

「そうなんだよ。そしてパナマからコスタリカへ行き、最終的にメキシコから米国に入ることができたんだ。今はフロリダ州のマイアミに住んでいる。でも、今年になってようやくキューバを一度訪れることができたよ。

キューバ人のプロフェッショナル・ファイターは米国と母国を自由に行き来することができず、本当に苦労しているんだ」

──レスリング、ボクシング、柔道の強豪国でもあったのに……ですね。社会主義なので国内にスポーツのプロは存在せず、国家公務員として競技生活を行い、賞金大会で活躍しても、それは国家に吸い上げられるということを読んだことがあります。ただ、日本のプロ野球には亡命していないキューバ人選手も活躍しています。スポーツを通して、米国との関係が変わることはないでしょうか。オバマ政権の終盤に改善が見られたと思うのですが。

「まずベースボールに関しては、日本だけなんだ。国が米国の球団と契約することは認めない。そして日本のように活躍できる国があるのは野球と限られたスポーツだけで、ファイターはそんなことは許されない。今も無理なんだ」

──我々日本ジには想像がつかない環境なのですね。そのような状況でタイタンFCでの8試合を含め、レスリングを主武器に8勝1敗という戦績でONEにやってきました。バラルト選手は身長が150センチと本当に低いです。その背の低さを武器しているという評判です。

「ハハハハ。僕の最大の武器は背の低さじゃないよ。スピードだ。誰よりも速く動ける。だから金曜日の夜は日本のファンには申し訳ないけど、僕が勝つことになる。勝者は1人しかない、そういうスポーツだからね」

PR
PR

関連記事

Movie