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【PJJC2018】ライトフェザー級に出場する嶋田裕太─01─「初戦からギリギリの勝負になる」

Yuta Shimada【写真】やや遅れたが、嶋田の2018年が始まる(C)MMAPLANET

8日(木・現地時間)から11日(日・同)までカリフォルニア州アーヴァインのブレン・イベンツセンターでパン柔術IBJJFチャンピオンシップが開催される。

パンナム柔術時代から、ムンジアルに次ぐ規模の大会として知られるパン柔術には今年も6月を睨んだ強豪が参加する。

日本からも橋本知之、芝本幸司、大塚博昭明、そして岩崎正寛らと共に嶋田裕太がアダルト黒帯に出場する。試合出場は昨年9月のADCC以来、道着を着た最後の試合も9月のアジアとなる嶋田。

この間、負傷箇所の回復に努めコンペティション練習も3カ月控えていた。かつてないほど実戦から離れた嶋田にパン柔術前とその後について尋ねた。


──パン柔術選手権が近づいてきました。

「ハイ、8日の木曜日に成田を出てLAに向かいます」

──昨年9月のADCCサブミッション・レスリング世界選手権以来、実戦の場には姿を見せていなかった嶋田選手です。

「これまでそれほど大きなケガをしたことがなかったのですが、ADCC前にケガした場所が柔術をやるうえでしっかりと直したいと思った箇所だったので、昨年末まで強度の高い練習を控えていました。そこをかばうと、他の場所が悪くなるような感じだったので。

大学に入って、東京に出て来てからここ最近と比べると回数は少ないとはいえトライフォースの練習会などに参加させてもらうようになったので、コンペ・トレを3カ月も休んだのは5年、6年で初めてでした」

──体を治す目的があっても、不安はなかったですか。

「焦りはありました。11月から指導中に一般の会員さんとはスパーリングもするようになったのですが、焦りや練習ができないもどかしさはありました。

その反動か1月から練習に復帰すると、柔術をする喜びはこれまで感じないレベルで(笑)。ただし、休んだから良くなったのか、休んでしまったから落ちたのかは実際のところは分からないです。

休んだからこそ成長した部分はあるのは確かです。ただし、厳しい練習をしていなかったことで、失ったものがあるかもしれない。それはもう選択しなかったことなので、天秤をかけてもしょうがないのですが……」

──負傷する以前と比較すると、万全な体調で動けているのではないですか。

「う~ん、回復した部分は間違いなく動きの面でも良くなっています。今は以前より指導が増え、スケジュールもタイトになっているので、体をケアに関しては以前より気を配っています。それもあって、体の具合は本当に万全です」

──練習と同様に道着有りの試合がアジア選手権から5カ月以上が空きました。

「それは……今、尋ねられて気が付いたのですが、これだけ試合をしなかったのは初めてですね」

──それもあってのことか、出場はならなかったのですが2月にサンボの試合に出ようという話もありました。

「ハイ。サンボの試合に出ようかと思ったのですが、セミナーと重なって取りやめたんです。先ほども言ったように指導のスケジュールがタイトになったので、今後セミナーをさせてもらう機会が減って来ると思います。

そういう状況で、これまでお世話になってきたALAMAからセミナーの話をもらって……できるうちにやっておきたいという気持ちが、サンボに出ようという気持ちを上回りました」

──なぜ、そもそもサンボだったのでしょうか。

「これはサンボと真剣に向き合われている方には、お叱りを受けるかと思うのですが、やはり柔術でなくサンボだからです」

──というのは?

「これだけブランクが空いて、柔術で自分を試すことはできなかったです。サンボだと試合でも練習と割り切れるということなんです。ノーギ・グラップリングでも、そこまで割り切ることはできないというのが、本音になってしまいます。僕にとって柔術やノーギは結果が大切になり、練習試合にならないので」

──結果的にパン柔術がブランク空け初戦となりました。9人参加、トーナメント表を見ると2試合目となる準決勝がジョアオ・ミアオです。

vs Joao「ジョアオとは2回戦で当たるだろうと思っていたら、本当にそうなりました(笑)」

──ヨーロピアンと分散したのか、人数はそれほど多くないです。しかし、その欧州でジョアオに勝利して優勝したイアゴ・ジョルジの出場こそないですが、3位のパブロ・モントバーニとレネ・ロペスが反対の山に出ていますね。

「ハイ。人数はパンもヨーロピアンも今年から20Pを持っていないと出場できなくなったのが関係しているかと思います。そしてモントバーニとロペスが出るということで、自分はジョアオの山になると思っていたんです。

Lost Mantovaniロペスは去年のパンの初戦で当たって勝っています。モントバーニは2016年の茶帯ムンジアルで初戦で負けた相手(※2-11)です。今、彼は凄く好調なのでモントバーニとジョアオ、2人と戦いたいですね。

正直、ジョアオとはもう戦いたくないって冗談で言ったりしていましたが、去年のパンとムンジアルで負けた相手に今の自分がどんな風に戦うことができるのか。そこはしっかりと考えてやってきました。いずれにせよ、初戦の相手に勝たなければ何も始まりませんが……」

──初戦の相手はマニュエル・マシアスという選手です。

「これまで同じトーナメントにも出たことない選手だと思います。動画がオフィシャルに挙がっているのですが、2年前のパンナムで僕が負けた相手に勝っていました」

──えっ? じゃぁ全然安全パイではないということですね。

「20Pを持って出場してきているので、弱い選手というか安パイはいないです。でも、もう情報収集をして下さる方もいますし。普通に強い相手だし、初戦からギリギリの勝負になると思います。

その一方で、ここで表彰台に乗れないなら先はないとハッパも掛けられていますし、もう『こ〇せ』みたいな勢いで背中を押してもらっています(笑)。ここまでやってくれる人が僕にはいるので……絶対にそういう方たちのサポートを無駄にできないです」

<この項、続く

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