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【Pancrase281】5.85キロ・オーバーを乗り越えて勝利、マモル<01>「70キロも想定内」

mamoru【写真】「顔だけだったら負けたみたいですよね」と笑顔のマモル。この人のMMAこそ、ザッツ一芸MMA。他に真似ができない戦いだ(C)MMAPLANET

2日(日)に東京都江東区のディファ有明で開催されたPancrase281で、ルイス・ベタオ・ノゲイラをスプリット判定で下したマモル。

前日の計量結果が、2度目の時点で5.85キロ・オーバーという信じられない結果に終わった。そのような相手と戦い、初回にダウンを喫しながら逆転勝利──この勝利の裏には、MMAに関しては最先端の思考と数々の修羅場を乗り越えてきたベテランが、鋭い洞察力と経験に裏付けされた戦術が存在した。

MMAシュルレアリスト=マモルがこの試合に挑んだ理由、そして勝因とは。


──体重大幅オーバーのベタオに勝利、おめでとうございます。今回の試合、断るという選択はなかったのですか。

「もちろん、ありました。特に追い込みをしてくれているフィジカルトーレーナーの(大宮司)岳さんからは、『やるな』とハッキリ、言われもしました。

ホント、こんなしみったれた話をしたくはないのですが、試合をしないと保証される額は満額ではないですし、仕事って考えると──やっぱり受けるという判断になりました。

それに少なからず応援してくれる人たちが、楽しみにしてくれているわけですし。そこも踏まえてやっぱりやろうと」

──再計量の5.85キロ・オーバーというのは、もうあり得ない数字ですが、4時間という再計量までの時間にベタオが耐えられなくなった。実質は1.45キロオーバーでリカバリーに入ったと考えられる数字でした。

「気付いた時には、もう水分を摂り始めていました。そうしたら、2Lのペットボルを2本ぐらい飲んでいたって聞いて(笑)。もう、どうしようかなって(苦笑)。ルール上は自分の勝ち以外はノーコンテストになるってことだし……やらない選択肢はあったのですが、ここまで来て戦わないのは……という気持ちでした。

ただ、この体重差で私が戦ってしまったことで、日本のMMAというスポーツに悪影響を及ぼしてしまうんじゃないかと心配しています」

──う~ん、ホントに体重を落としたマモル選手には何の罪もないはずなのに。どこか、体重を落としていても、いなくてもリカバリー分は変わらないという気持ちはありましたか。

「あれぐらいは戻せるとは思っていました。私はフライ級でも小さいほうなので、これまでも大きな相手と戦ってきましたし。その分、良いコンディションで試合に挑めています。もう若くないので、無理な減量をしてもう1階級落とすとかできないですし。今、できることを考えて戦っていますからね。

いってみれば、最初の計量オーバー分、そして相手が再計量で落とし切れなくて、勝ち以外はノーコンテストという変則的な試合になる……そういうこともあるだろうという気持ちで、対戦相手が変更された時からいました。それを想定していたので」

──なるほど。それだけ体重オーバーが横行しているということですね。

「それにさっきも言ったように、相手がパスしていても試合当日には70キロぐらいまでリカバリーしている。バカでかいヤツと戦わないといけないという覚悟でいました。70キロぐらいまで戻して来るのも想定内だったんです。

そうやって考えると、確かに不安なことはありましたが、収入面も含め、仲間がチケットを買って楽しみにしてくれている点も含めて、戦うという選択に強く傾いていったんです」

──男前ですねぇ。ただし、1Rに右フックを受けてダウンをした時にはヒヤッとしました。マモル選手がパンチを被弾してダウンというシーンは記憶になかったので。

「きっと……多分、初めてですよ」

──そうですよね。

「私の場合、パンチはもらわない。特にMMAの薄いグローブでアゴに貰うことはないです。だから頭を下げ気味に戦い、バッティングを貰って皮膚が弱っているから、すぐにカットはするんですけどね(苦笑)」

──あそこは左で下がったところ右が当たりました。

「こめかみぐらいだったと思います。あれがアゴ先だったら、脳みそが揺れて危なかったでしょうね。頭にパンチが当たるとグローブが薄いから衝撃が強くてダウンはするけど、フラッシュで効いてはいなかったです。すぐに『アッ、俺ダウンした』って分かっていたので。だからすぐに組みにいったんです」

フラッシュダウンのあとのギロチンも、既にベタオのパワーの無さを見切っていたマモル(C)MMAPLANET

フラッシュダウンのあとのギロチンも、既にベタオのパワーの無さを見切っていたマモル(C)MMAPLANET

──そこにギロチンが待っていました。

「あっ、そこも最初に組んだ時に『減量がきつくてフラフラだな』って思っていたので。減量でヘロヘロになっても、一晩で戻してメチャクチャ元気になる。それが外国人選手のイメージだったから、アイツも凄い力なんだろうって予想していたんです。でも、そうじゃなかった。

『コイツ、減量が辛かったんだ。落とせなかったけど、ギリギリまでやったんだなっ』って思って」

──2R、3Rとどんどんスタミナもロスしていましたね。

「そう、1Rにそういう風に思ったから、パンチを貰ってダウンもしたので捨てるわけじゃないですけど、2Rと3R勝負だって頭を切り替えました。ユニファイドだと、フラッシュなら10-9。あれで2つ差がつくことはないって。そこまでボコボコにされていないし、2Rと3Rで弱ってくるだろうって。組み技もそこまで怖さを感じなかったので」

<この項、続く>

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