この星の格闘技を追いかける

【ONE FF46】タイのビッグマッチ参戦、小笠原瑛作「“EISAKU”という名前が世界に広がるチャンス」

【写真】取材日にはRIZINフェザー級王者になった鈴木千裕とのスパーリングを行った(C)TAKUMI NAKAMURA

22日(金・現地時間)タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 46にて、小笠原瑛作がチョーファー・トー・センティアンノーイと対戦する。
text by Takumi Nakamura

8月のONE Friday Fights 30ではヨッドウィッタヤ・ペッチョンプーを1R0分31秒でKOし、見事なONEデビューを飾った小笠原。ONE2戦目は3大王座戦が並ぶビッグイベントで組まれ、対戦相手もONE参戦前にロッタン・ジットムアンノンと激闘を繰り広げているチョーファーに決まった。ONE日本大大会への出場ではないが、小笠原は「自分の名前を海外のファンに知ってもらえるチャンス」と燃えている。


──8月のONEデビュー戦ではヨッドウィッタヤ・ペッチョンプーから見事なKO勝利を収めました。まずあの試合を振り返っていただけますか。

「初めてのMMAグローブということもあって、自分でもどういう展開になるか分からない状況だったのですが、タイミング良く右フックが入って、全てを分かる前に終わっちゃったところはありますね。ただ久しぶりの海外の試合でも冷静にできていたのかなと思いますし、MMAグローブの威力やONEの盛り上がりを肌で感じることができました」

──初めてMMAグローブのムエタイをやってみて、どんなことを感じましたか。

「練習ではパンチを当てない程度の対人練習をやっていたのですが、いつもとは距離感が違いましたね。通常のグローブだったらもう一歩踏み込まなきゃいけないところでも、MMAグローブだったらガードの間を抜けてきたり。そういった部分で練習での意識は変わりました。あと試合中はグローブが軽いなと思いましたし、KOした時のパンチも拳にガチン!と来る感じはありました」

──このキャリアでONEに参戦すること、海外で戦うことだったり、MMAグローブにチャレンジすることなど、ご自身ではどう捉えていますか。

「僕もキャリアが長くなって、失敗も挫折も経験している中で、積み重ねてきたことが自信になっています。そのうえでONEに挑戦しているので、このタイミングでONEに挑戦できて良かったのかなと思います」

――イベントとしてのONE Friday Fightsの盛り上がりも感じましたか。

「会場もデカいし、お客さんの盛り上がりもすごかったです。日本と海外のオーディエンスの声はちょっと違うし、前回の試合はKOで終わらせられたので、反応や反響の凄さを感じました」

──イベントの盛り上がりやファイトボーナスも含めて、選手たちの試合が激しくなるのも分かりますか。

「それはあるんじゃないですかね。特にタイの選手たちのギラつきは感じます。僕が以前出ていた頃のルンピニーやラジャの控室とONEルンピニーの控室は完全に雰囲気が違うんですよ。ギャンブルの対象として戦うムエタイ選手というよりも、有名人や人気者になりたいじゃないですけど、エンターテイナーとしての選手像みたいなものがタイの選手たちにも見えた感じです」

──ONEのムエタイはプロイベント化していますよね。

「日本のキック・ムエタイはギャンブルじゃないし、僕もプロの仕事としてやっていて、エンターテインメントとして見ているお客さんを意識した試合をする選手が多いと思うんですけど、タイの選手もそうなっているイメージですね。タイ人も勝つだけじゃダメ、ギャンブラーに好かれるだけじゃダメ、一般層に届く試合をやろうとしていると思います」

──そういった意味ではムエタイに挑戦するというよりも、ONEのムエタイに挑んでいる感覚なのでしょうか。

「そうですね。逆に言ったら、ルンピニー・ラジャのベルトはギャンブルも絡んでいる中でのムエタイで、だからこそ日本人がなかなか獲ることができなかったものです。それがある意味崩れているというのはおかしいですけど、日本人も勝てる可能性のある形に変わったんじゃないかなと思います」

──その一方で、MMAグローブ着用の3分3R&KOを狙う試合を求められても、それに対応できるタイ人選手の技術の高さを改めて感じます。

「あれだけ長い歴史のあるムエタイが強いというのは確かな事実だし、そこは間違いないと思います」

──では次戦についても聞かせてください。対戦相手のチョーファー選手はONEでの活躍もそうですが、ONE参戦前にロッタン・ジットムアンノンと2度対戦している激闘派です。

「本当にチョーファー選手は気持ちがある選手で、ONEに出る前から闘争心のある試合をする選手だったので、ある意味ONE向きの選手だと思っていましたね。ロッタンとも競い合うようにバチバチ打ち合って、蹴りあって、組んでもヒジを振ってきて…というようなタイプなので、かなり闘争心は強いと思います」

──倒されるリスクもある反面、倒すチャンスもある選手だと思いますが、今回はどんな試合をイメージしていますか。

「そうやってバチバチに来る選手なんで、もらったらヤバいですけど、守りの選手や逃げの選手じゃないので、僕が倒す可能性は高いと思います。確実に穴はあるので、そこをどう突いていくかという感じですね。倒すイメージは何パターンかできていますし、それプラス、自分がどこに気をつけるのかっていう部分も想定しています」

──今大会は3大タイトルマッチが組まれていて、ONE Friday Fightsでも史上最高レベルのビッグイベントです。その大会に出られることをどう感じていますか。

「元々、15日のONE Friday Fights 45でオファーが来ていて、そこで調整していたんですけど、ONEの方から『翌週にビッグマッチがあるんで、ぜひそっちの方に出てくれませんか?』という話になったので、前回の試合が評価されてONEに買われているのかなと思うし、そういった部分でも気持ちが盛り上がりますね」

──僕も最初にラインナップを見て「これで『ONE Friday Fights』なの!?」と思うくらい超豪華ですよね。

「チケットがなくなるかもしれないと言われていたので、日本から応援に来てくれる人にも早めにチケットを取ってもらったんです。飛行機を取ってもチケットがなくて会場に入れないのはヤバいですからね。実際にチケットがソールドアウトになったみたいで危なかったです(笑)」

──タワンチャイ×スーパーボンは日本でも話題になっていますが、タイではスーパースター同士の対戦として注目されていると思います。

「実はタワンチャイとはPK・センチャイで一緒に練習をしたことがあって、当時のタワンチャイは僕よりも身長が低いぐらいの年齢だったんですよ。その印象が残っているんですけど、今はタイのスーパースターですからね」

──そんなONEの舞台で小笠原選手はどんな目標を持って戦っていきたいですか。

「前回は30秒ちょっとで試合が終わっちゃって、ONEも僕の実力が分からない部分もあったと思うんですけど、今回はしっかりと自分の実力を見せて勝って、やっぱりベルトを獲りたいですよね。これだけ世界的に盛り上がっていて、勢いがある団体=ONEのベルトを獲るということは、自分が背負っているKNOCK OUTを大きくすることにもつながるだろうし、今自分はKNOCK OUTのフェザー級チャンピオンですけど、それに続いてONEのベルトも獲る。それが来年以降の目標です」

──立ち技格闘技は自分の目標をどこに置くか。それが選手によって違うと思いますが、小笠原選手はONEという舞台を選んで、実際にONEで戦って、今の自分が目指すべきものはONEのベルトだと感じましたか。

「そうですね。僕はずっと小さい頃からムエタイをやっているし、先生もタイ人の先生です。だからムエタイ・タイ人を倒さなかったら本物じゃないと思うし、客観的に見ても一番強いヤツらが集まっている舞台がONEじゃないですか。だからムエタイのトップが集まっているONEのベルトを獲る=最強だと思うんですよね。選手でやっている以上は強いヤツとやって、そこで勝って、ベルトを獲ることが本物だと思うし、僕は本物になりたいので、ONEのベルト獲りたいです」

──スケジュール的に日本大会への出場は難しいと思いますが、タイのビッグイベントに呼ばれることも大きな意味があると思います。

「もちろん日本大会もビッグイベントですが、これから海外で試合をしていくという部分では、ある意味、この大会に出て勝つことで、自分の名前合がより世界に広がるなというのはありますね。タイで大会を見にくる海外のオーディエンスも多いですし、海外のファンにも知ってもらえるビッグチャンスだと思っています」

──まさに“EISAKU”という名前を世界に発信するチャンスですね。

「日本だけで戦っていたら“EISAKU”という名前がタイや世界に広がるチャンスが少ないと思うんですけど、僕はONEで戦うことを選んだので、よりグローバルに世界に出ていきたいです」

■放送予定
12月22日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル(前半6試合)
午後9時30分~ PPV ONE official site (Englsih Page)

PR
PR

関連記事

Movie