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【ONE163】ヌルマゴ軍団の精鋭、青木真也と対戦=イザガクマエフ─01─「喧嘩なんてしたことがない」

【写真】喧嘩の経験なし、MMAファイターになろうとも思っていなかった。そんな意外な事実が知れた (C)MMAPLANET

19日(土・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE163「AKIMOTO VS PETCHTANONG」で、ザイード・イザガクマエフが青木真也と対戦する。

イスラム・マカチェフはUFC世界ライト級王座に就き、ウスマン・ヌルマゴメドフはBellator世界ライト級王座に挑戦する。そして、イザガクマエフのターゲットはONE世界ライト級のベルトだ。ダゲスタンのイーグル軍団、ヌルマゴメドフ・ソルジャーでも一、二位を争う強豪の格闘技的成り立ちを尋ねた。


──10日後の青木真也選手との試合を控えています。今の調子はいかがですか。

「そう試合は10日後だ。体も精神も、行動的にも完全に準備できている」

──今はタイにいるのですか。

「そうだ。今回はプーケットのタイガームエタイでキャンプを行った。シンガポールで戦うことを踏まえて、肉体的にもタイで試合の準備をすべきだと思ったんだ」

──ではカビブ・ヌルマゴメドフ達とはキャンプをしなかったのですね。

「いや、キャンプの前半はカビブや彼のレッスル・チームの全員と練習してきた。その後、タイに来て違うメンバーと試合に向けて第2段階となる練習を行った。時差は試合を戦ううえで大きな問題になってくるからね。

ONEで戦ったこれまでの2試合では、タイでのキャンプはしてこなかった。時差についてはシビアに考えていなかったけど、とても大切なことだと2試合目を戦った時に感じたんだよ。あの試合のデキには決して満足していないからね」

──なるほどぉ、ところで「強い」という評価以外に日本のファンはザイードのことを殆ど知りません。これまでの格闘技歴などを教えてもらっても良いですか。

「もちろんだ」

──まずコンバットスポーツとの出会いを教えてください。

「俺の格闘技歴は12歳の時の柔道から始まっている。それからサンボに転じ、そしてグラップリングを始めた。それが18歳までの俺のマーシャルアーツ歴だよ。そして18歳の時にアブドゥルマナップ・ヌルマゴメドフの下で練習するようになり、伝説的なコーチとサンボを戦うようになったんだ」

──ダゲスタンはレスリング、MMAファイターの多くのルーツがレスリングにある。そして一部で空手が盛んで、キックや散打を戦ってからMMAに転じるファイターもいる。サンボは軍隊格闘技でそれほど一般的でなく、それでもボエボエサンボ(コンバットサンボ)を経験してMMAにトランジットするというダゲスタン事情を聞いたことがあったのですが、ザイードは柔道出身なのですね。

「柔道はダゲスタンでも盛んだよ。オリンピック・チャンピオンも2人出ているしね。柔道はボクシングとレスリングと並んで、ダゲスタンで人気のあるスポーツなんだ。ただ俺からすると柔道はどうしても限定的な格闘技なので、打撃も使いたくてサンボに転向したんだ」

──つまりスポーツサンボではなく、コンバットサンボですね。

「そうだ、ボエボエサンボだ。スポーツサンボはやっていない」

──打撃を使いたいということは、ストリートでも腕っぷしの強さを発揮していたということですか。

「アハハハ。俺は子供の頃から喧嘩なんてしたことがないし。今だって、そうだよ。だから打撃を使いたいと思ったのは、ごくごく自然の流れで──より強くなりたいっていう本能に従っただけだと思っている」

──柔道やコンバットサンボでは、どのような記録を残しているのでしょうか。

「柔道はホントに大したことない。マハチカラの大会で2位、3位、4位になったぐらいで。ボエボエサンボはマハチカラ大会で優勝し、ロシア大会で優勝。それから世界大会でロシア代表として優勝した。今はMMAで戦うようになり、ボエボエサンボの時よりも心肺機能の強化をしたり、よりシリアスにトレーニングするようになった」

──コンバットサンボはジャケットを着たMMAとも言われますが、既にMMAで戦うことを考慮してそのステップとして始めたのですか。

「正直、将来MMAファイターになるなんてことは考えたこともなかった。世界大会で優勝した時に、MMAで戦わないかと誘われたんだ。それで始めただけで。でもMMAとボエボエサンボの違いは、試合時間とジャケットの有無だけだよ」

────コンバットサンボはトーナメント戦ですし、タフさは相当なモノでしょう。しかし優勝して得られるのはメダルで、世界のトップになると巨額の富が得られるMMAとは違います。

「そりゃあファイターなら、誰もがカビブ・ヌルマゴメドフのような成功を収めたいものだ。有名になれば入って来る額も違う。それこそが、俺が練習をする理由だよ」

──18歳でヌルマゴメドフ父の下で練習するようになったということですが、その18歳の時にプロMMAデビューをしています。つまりMMAはアブドゥルマナップの指導を受けて転向したのでしょうか。

「カビブと始めて会ったのは14歳か15歳のときだった。それから彼らのジムに行くこともあったけど、カビブはロシアや世界中を試合のために回っていた。それを見て、俺も同じようにやったみたいと思い、18歳の時からずっと彼らと行動を共にしてきたんだよ。MMAはアブドゥルマナップにしか学んでいない。でも、それで十分だ。全てが理解できた。結果、MMAを始めると5勝、6勝、7勝と順調に勝ち続け、そのまま続けようと思ったんだ。俺は常にアブドゥルマナップとカビブと一緒に戦ってきた」

<この項、続く

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午後7時00分~ PPV ABEMA格闘チャンネル

■ONE163対戦カード

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] 秋元皓貴(日本)
[挑戦者] ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)

<キックボクシング・ヘビー級ワールドGP決勝/3分3R>
ロマン・クリキア(ウクライナ)
イラジ・アジズプール(イラン)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
ザイード・イザガクマエフ(ロシア)

<ミドル級(※93.0キロ)/5分3R>
オンラ・ンサン(ミャンマー)
岡見勇信(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
平田樹(日本)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
クォン・ウォンイル(韓国)
マーク・アベラルド(ニュージーランド)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
若松佑弥(日本)
ウ・ソンフン(韓国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
アブラォン・アモリン(ブラジル)
アフメド・ウジタバ(パキスタン)

<ムエタイ・ストロー級/3分3R>
ルイ・ポテーリョ(ポルトガル)
朝陽PKセンチャイムエタイジム(日本)

<キック・ヘビー級/3分3R>
ブルーノ・シャベス(ブラジル)
アフメド・クリッチ(ボスニアヘルツェゴビナ)

<サブミッショングラップリング女子ストロー級(※56.7キロ)/12分1R>
ミレーナ・カオリ(日本)
ビアンカ・バシリオ(ブラジル)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ブルーノ・プッチ(ブラジル)
キリル・ゴロベッツ(ウクライナ)


2022年11月19日(土・現地時間)
シンガポール 
シンガポール・インドアスタジアム
ONE Fight Night04

■放送予定
10月1日(土・日本時間)
午前10時00分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE Fight Night04対戦カード

<ONE世界ウェルター級(※83.9キロ)選手権試合/5分5R>
[王者] キャムラン・アバソフ(キルギス)
[挑戦者]クリスチャン・リー(米国)

<ONE Super Seriesムエタイ世界フライ級選手権試合/3分5R>
[王者]ロッタン・シットムアンノン(タイ)
[挑戦者] ジョセフ・ラシリ(イタリア)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)
スティーブン・ローマン(フィリピン)

<ムエタイ・ウェルター級/3分3R>
コズモ・アレッシャンドリ(ブラジル)
フアン・セルバンテス(英国)

<バンタム級 (※65.8キロ)/5分3R>
ケビン・ベリンゴン(フィリピン)
キム・ジェウン(韓国)

<ムエタイ・フライ級/3分3R>
ジョナサン・ハガティー(英国)
ウラジミール・クズミン(ロシア)

<ウェルター級(※83.9キロ)/5分3R>
ラスラン・エミルベク(キルギス)
イシ・フィティケフ(豪州)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
ダニエラ・ケリー(米国)
マリア・モルチャノワ(ロシア)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
リアム・ノーラン(英国)
エディ・アバソロ(米国)

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