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【DEEP108】上迫博仁と対戦、北岡悟「世の中はどうなっても良いから僕の試合はやってほしい」

【写真】計量後にはちょっとしたフラットな時間が北岡にも訪れる──という印象を勝手ながら持っておりインタビューを敢行(C)MMAPLANET

明日10日(日)、東京都文京区のTDCホールで開催されるDEEP108 IMPACTで北岡悟が上迫博仁と戦う。

昨年はDEEP2連敗。3年以上勝ち星から遠ざかっている北岡から、試合前の取材で心境を聞きだすことは非常に難しい。それも彼の格闘家としての矜持ということは十分に理解しつつ、一瞬のエアポケットともいえる瞬間──計量直後に北岡の話を訊いた。


──北岡選手、計量を終えたタイミングでインタビューをお願いします。

「……。答えられる限りのことは、答えましょう(笑)」

──計量を終えて、今の気持ちを教えてください。

「いや、特にないですよね。グフフ」

──ホッとしないですか。

「いや、当たり前のことだから。まぁ、去年の2回よりも上手くやっていると思います」

──それは減量がということですか。それとも仕上がり事態が、ですか。

「両方かな」

──つまり去年の2試合では問題があったと。

「あの時はどうだったかとか、あの時は失敗したとかいうのは嫌なんですけど。昨年の2回より、今回は良いです」

──肌の感じが良いように見えます。

「本当かよ!!(笑)」

──いや、本当に。こけていてもカサカサの場合と、艶がある場合とあって。

「おお、そういうことですか。まぁ、それなりに反省とか学習はしているので。ハイ」

──では、試合を明日に控えて。改めてどのような心境でこの試合に臨んでいますか。

「特に言いたくないですよね、それは」

──じゃあ、いつのタイミングで聞いたらエェねんってなるわけですよ。このところ、試合後に話を聞けないではないですか。

「試合後は話せないですよね。勝っていないから。まぁ敗者は語る資格がないので。僕はずぅっと負け続けているから、語る資格がないと思っている。だから、今回はそういうフェーズでやっている感じですよね」

──北岡選手がどういう考えであることは重々理解しているつもりなので……。だから、試合後に話を聞ける機会を与えてくれよってなるわけですよ。本当は記者として、こんな中立でない意見は言ってはいけないのですが。

「あぁ、ありがとうございます」

──そんななか、昨日、安倍元総理が凶弾に倒れるという事件がありました。これは東日本大震災の時も同じだったのですが、「俺はずっとこれをやって生きてきたけど、こんな時にMMAの原稿なんて書いて良いのか」って思ってしまうんですよ。

「あぁ……元首相が亡くりましたよね。逆ですね、僕の場合は。世の中はどうなっても良いから僕の試合はやってほしいと思っちゃいます。それこそ、震災の時もそうでした。DEEPの試合が決まっていて、僕は世の中がどうなっても良いから試合があってくれって思っていました。

昨日に関しては、試合が無くなることはないと思っていました。ただ、世の中がどうなろうが僕は試合がしたいなと思っています」

──こういう状況だから、格闘技で明るくなって欲しいという選手側の意見もあります。

「言っている人いましたね。そういうこと。身の程を知れよって。グフフフフ」

──そう言った選手も本心でしょうし。でも、北岡選手からそういう言葉が出てくると違うなってなりますよね。自分なんかは、世の中がどうなるのかって考えてしまう気質なんです。

「いや、家族がある人は心配になって当然ですよ。でも、僕は家族がいないから。グフフフフ。だから、僕が試合をすることと、そこは関係ないですよね。ご存知だと思うけど、コロナの時も練習していましたし。結膜炎になっても練習して、奥さん、彼女、その時のオンナが皆、結膜炎になるっていうパンデミックを練習仲間で起こしたこともありますしね」

──それは威張って言うことではないです。でも、何が起ころうが関係ないと。

「ただ、僕って地元が奈良じゃないですか。そして実家が比較的、〇〇的なんです。僕は東京に来た20年間、ニュートラルであり続けたいんですけど。だから事件が奈良で起こったので、そこでちょっと思うことはありました。今回の選挙は珍しく実家から期日前選挙で〇〇に投票してって連絡があって。親には『時間があれば』って言う風に答えたとかあったから。そこだけですね」

──北岡選手が実家の選挙ネタを話してくれたので、私もイーブンにしないと申し訳ないですね……。実はもう30年以上昔に、ちょっと故意の暴力で友人にケガをさせてしまったことがあって。その相手の家が〇〇で。以来、自分でなく実家に長い間選挙前になると連絡があって、『あんたは本当に厄介なことをしてくれた』と母に言われたことがありますよ。

「おお、おおおお。それも伏字で書いていください(笑)。でも、試合の前日に世の中に何が起ころうが気にしていられないですよ。それより自分のことで精いっぱいだから。それじゃダメだって、自分ことだけ考えていては──とも思っていますよ。

ジムのヤツらが、自分のことで精いっぱいなので。全体を俯瞰できたほうが自分のためになるとも思ったりしますし」

──それというと松嶋こよみ選手のセコンドでシンガポールに来ている時に、今回の試合について話を聞こうかと思ったのですが、『ここにはセコンドで来ているので、自分の試合の話はしません』という反応がありそうで、尋ねられなくて。

「アハハハハハ。スイマセン。気を遣ってもらって。でも、時間があったら話していましたよ。それにタケ大宮司を使って、自分の練習をしていたので」

──その松嶋選手の勝利で、何か影響はありましたか。

「あまり関係ないです。でも嬉しいですよ、力にはなるけど──それはそれ、これはこれなんで。ただケガがなかったから、僕のスパーリング相手を毎週してくれたので。そうでなくても、彼の試合前も相手はオーソドックスなのに、サウスポーの僕の相手をしてくれていて。その辺も思うところはあるんですけど……うん、試合後に言いましょう。試合後に言えるようにしましょう。ハイ」

──宜しくお願いします。では北岡選手は世の中がどうであろうが──と思っていますが、そんな北岡選手を応援し続けてくれている人たちに最後に一言、お願いします。

「世の中のことは気にせず。僕の試合のことを気にしてくれている変態の皆さん、いつもありがとうございます──ですかね(笑)」

■視聴方法(予定)
7月10日(日)
午後2時30分~SPWN PPV
午後2時30分~ニコニコ生放送

■DEEP108計量結果
<DEEPライト級選手権試合/5分3R>
[王者] 大原樹理:70.3キロ
[挑戦者] 石塚雄馬:70.3キロ

<ライト級/5分3R>
北岡悟:70.6キロ
上迫博仁:70.25キロ

<フェザー級/5分3R>
中村大介:66.3キロ
ユータ&ロック:65.6キロ

<バンタム級/5分2R>
渡部修斗:61.6キロ
内山拓真:61.6キロ

<フライ級/5分2R>
本田良介:57.1キロ
杉山廣平:56.95キロ

<女子ストロー級/5分2R>
ケイト・ロータス:52.3キロ
ARAMI:52.25キロ

<メガトン級/5分2R>
赤沢幸典:119.9キロ
アンディコング:96.4キロ

<バンタム級/5分2R>
雅駿介:61.7キロ
海飛:61.6キロ

<フライ級/5分2R>
原虎徹:57.0キロ
風我:57.1キロ

<バンタム級/5分2R>
山本有人:61.55キロ
濱口奏琉:60.95キロ

<ライト級/5分2R>
泉武志:70.8キロ
野村駿太:70.75キロ

<フェザー級/5分2R>
劉獅:66.1キロ
鷹辰:66.0キロ

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