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【ONE Battle Ground02】草原の法の番人ネルグイ、ONE初陣へ「機会があれば極真の蹴りを」

【写真】粗いが、パワーと戦意が同等でないとこの粗さを凌駕することは困難だ(C)ONE

13日(金・現地時間)、ONE「Battle Ground02」が放送される。

7月30日にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで収録された今大会で草原の法の番人ことオトゴンバートル・ネルグイが、ラフル・ラジュを相手にONE本戦デビュー戦を戦っている。

ネルグイといえば2019年10月に東京で開催されたONE Warrior Seriesで長田拓也をギロチンで斬って落としたパワー・ストライカーだ。その後、コロナパンデミックによりモンゴル国内大会への出場がなくなり、ウォリアーシリーズの開催も滞っているままだ。

何より母国で警察のスペシャルフォースの任務に就くネルグイは、国の方針により同僚との接触以外を禁じられMMAの練習自体が許されない時間を過ごしてきた。中国と並びアジアンMMAの新しいパワーハウスから、既にキャリア11年目を迎えるファイターが満を持してアジアの最高峰で戦う──その経緯を尋ねた。


──2019年10月に日本で行われたONE Warrior Seriesで長田拓也選手に大勝して以来の実戦復帰が、ONE本戦デビュー戦となります。今の気持ちを教えてください。

「あの試合が終わって、またすぐにウォリアーシリーズで戦いたいと思っていたけど、コロナ禍の問題もあり試合が組まれなくなった。同時に僕はモンゴルで警察の特殊部隊の一員なのでMMAの練習もストップしていたんだ。警察の勤務を全うするためにね。そんななか今回はONEの本戦と契約できて、凄く嬉しいよ」

──2020年2月に母国のモンゴルFCでムングントスズ・ナンディンエルデンと対戦予定でしたが、大会自体が延期されてしまい、そのまま実戦だけでなく練習からも離れていたということですね。

「あの時は、しっかりとナンディンエルデンとの試合に向けて準備ができていた。それが1週間前にコロナで大会の延期が決まって、そのまま行われないままだった。当時はこの状況がこんなに長く続くことは、これっぽっちも思っていなかった。

その後、警察の上部からMMAへの試合に出ることばかりか、練習もしないようにとお達しがあった。感染を抑えるために、部隊以外の人間との接触を避けなければいけなくなり、その状態が1年以上続いていたんだ。

それがこの夏になって、ワクチン接種が進んだことで政府がコロナ対策方法を見直すことになり、僕も練習することが許されるようになった。それが殆ど、ONEからのオファーと同じタイミングで本当に良かったよ。7月5日にONEで戦えるという話がマネージャーからあり、練習を再開したんだ。

1カ月も準備期間はなかった。ただし、ウェイト・トレは続けていたので筋肉は多くなっている。もし、このオファー後もMMAの練習ができないようだったら、警察本部に嘆願書を出すつもりだった。ONEはMMAの世界で2番目から4番目に大きなプロモーションだし、このチャンスを生かすためにどのような努力もしただろうね」

──なるほど、それだけの想いがあったのですね。ところでネルグイ選手は決してMMAが盛んでなかったモンゴルで、どのようにしてMMAファイターの道を目指したのでしょか。

「2010年にMMAを戦い始めた。MMAのトーナメントが開かれて、警察の特殊部隊からも選手が派遣されることになり、僕が選ばれた。そしてジャダンバ・ナラントンガラグと戦ったんだ」

──MMAデビュー戦がジャダンバだったのですね!! 

「もうジャダンバはK-1のスター選手だった。でも、警察署長は僕が勝てると思ってトーナメントに送り込んだ。結果は思ったようにはいかなかったよ」

──その時は、どのような格闘技歴があったのですか。

強烈無比なオーバーハンドだが、実にニータップに移行できる

「極真空手、キックボクシング、コンバットサンボだよ。デビュー戦前にMMAを始めたばかりのチームで練習するようになった」

──ジャダンバも極真出身ですよね。

「ジャダンバは既にレジェンドだったよ。対して僕はまだ23歳の若造だった」

──デビュー後は2011年にMMAを戦ったものの、それから2018年まで6年10カ月ものブランクがあり、その2018年には米国で4試合を戦い3勝1分です。

「モンゴルにはMMAの大会もそうだし、関係している人間も少ない。僕自身、2014年から2016年の2年間は国連の治安維持軍の一員として南スーダンに駐在していたんだ。帰国後、すぐにでも試合をしたかったけど、モンゴルでは大会数が本当に限られていて。それでも試合は何度か組まれたのに相手のケガなどで結局、戦えないままだった」

──それがいきなり米国で1年に4試合も戦うというのは、どのような環境の変化があったのでしょうか。

「2017年に今のマネージャーが米国からモンゴルに戻ってきて出会ったからなんだ。彼が米国での試合を持ってきてくれて、Tachiパレスとドラゴンハウスでという大会で戦い、ドラゴンハウスではライト級王者になることができた。そのマネージャーがモンゴルFCを主宰するようになり、ようやくモンゴルでも戦うことができるようになったんだ。

それにMMAの試合がなかった相手もコンバットサンボでも世界3位になり、キックでも何度もトーナメントで優勝しているから実戦から離れていたというわけではなかったんだ」

──MMA以外の格闘技の試合で戦ってきたわけですね。

「一番多くの試合に出ていたのは、極真空手のトーナメントだよ。何度もモンゴル国内の王者になり、アジア選手権では2位になっている。極真の試合は海外も含め、相当な数のトーナメントに出てきたよ」

──極真の経験はMMAで生きていますか。

「極真の中段突きと下段蹴りで、相当に鍛えられてきたよ。多くの蹴り技を見につているし、蹴りには自信があるよ」

──ところでONEデビュー戦は凄く大切な試合になりますね。

「初戦は絶対的に重要になってくる。ファンは退屈な試合を求めていないから、エキサイティングな試合をして相手をKOする。米国で試合をしていた時代から、ファンに存在を知ってもらうために、常にフィニッシュを狙って戦ってきたんだ。あの時同じようにKOを狙って戦うよ。機会があれば、極真の蹴りを見せてKOするつもりだ。押忍!!」

■視聴方法(予定)
8月13日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時30分~ONE Super App

■ONE Battle Ground02対戦カード

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ジャン・リーポン(中国)
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)

<ストロー級(※61.2キロ)/5分3R>
アレックス・シウバ(ブラジル)
ミャオ・リータオ(中国)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
トーマス・ナルモ(ノルウェー)
アラン・ンガラニ(香港)

<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
エコ・ロニ・サプトラ(インドネシア)
リュウ・パンシュアイ(中国)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
オトゴンバートル・ネルグイ(モンゴル)
ラフル・ラジュ(シンガポール)

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