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【Shooto 30th Anniv.T01】山本健斗デリカットと対戦する阪本洋平─01─「ベルトが欲しいのは修斗だった」

Yohei Sakamoto【写真】いよいよ阪本洋平が想像ではなく、真の評価の遡上にのることとなる(C)MMAPLANET

27日(日)に東京都文京区の後楽園ホールで開催されるプロ修斗公式戦「Shooto 30th Anniv.T01」に現Grachanフェザー級チャンピオン阪本洋平が初参戦し、山本健斗デリカットと対戦する。

J-MMA界の超異端児が、ついにその実力を測ることができる場に出てきた。最後の敗北が2008年11月──以来、10年以上に渡り無敗を誇っている。とはいっても、その過去10年の戦績は11戦10勝1分、年一ファイターで練習に自分を追い込み続け、目標は髙谷裕之1人という阪本がなぜ修斗参戦を決めたのかを尋ねた。


──あれだけ戦いたいと熱望していた髙谷裕之選手との試合を諦め、修斗参戦という方向になったのでしょうか。

「それはぁ……どこまで話して良いのか……。パンクラスで上位ランカーと対戦という話もいただいていたのですが、その選手の事情で流れ、9月に僕はグラチャンで原井徹選手に勝って。そうしたら、その選手がパンクラスで負けたりとかして、僕は何でもタイミングで決めるんですが、これはパンクラスさんには縁がないなと。

パンクラスで1位とか2位になれば、髙谷選手とも戦えるかなと思っていたのですが……。色々な人に相談して可能性としてかなり低いと感じたとき、パンクラスにも修斗にも良い選手がいるのですが、ベルトが欲しいのは修斗だったんです。

何でか分からないですけど、物欲がない僕なのに修斗の世界のベルトだけは欲しいんです」

──階級は違えど川尻選手が巻いていたベルトでもあります。

「僕の本音として、川尻さんが巻いていたとかは関係ないです(苦笑)。そういうことではないのですが、歴史なのかパンクラスが世界標準ってことでスポーツ化しているからなのか……でも、修斗の世界のベルトを獲ったら髙谷さんとの試合だってあるかもって思っています。

修斗で無敗でいたら。で、大尊伸光を通して斎藤裕とできないかって聞いてもらったんです」

──いきなり世界王者と(笑)。

「斎藤裕は世界王者でも、スーパーチャンピオンではないので。それでも……修斗は僕のことなんて興味なんて持ってもらえないかと思っていたのですが、坂本さんと話す機会を貰って……タイトル戦に近い上位ランカーと戦わせてもらえるという流れになったんです」

──そして山本健斗デリカット選手に決まったと。

「あの選手はハイリスク・ノーリターンの試合を受ける顔をしていますからね。練習したこともあるけど、そうなるやろなって思っていたら、やっぱりそうなりました。

髙谷選手とはやりたいですが、1人を指名してずっと戦えない状況が続いても埒が明かない。でも、勝っていったらやれると思っています」

──そうなるとグラチャンの時のように『試合は年に1回で良いよ』と阪本選手の要望に応えてもらえる状況ではなく、タイトルを目指すなら試合間隔も短くなると思います。その辺りについてはどう考えていますか。

「それはやります。唯一修斗の環太平洋ではなくて、世界のベルトだけは興味があるので。興味がないから、試合をしないだけだったので。実は髙谷さんとの試合は難しいと思った時、もう辞めたろうかなって思ったこともあったんです。

でも僕、10年ぐらい負けていないし、試合で追いつめられたことないんですよ。練習で自分を追い込むばっかりで。相手に追いつめられたり、相手が強いと思ったことがなかったので、これでは格闘技をやっている意味がないなって。

人間は追いつめられた時に本性、素が出ると思うんです。格闘家は試合を見たら、性格や生き方が分かります。それなのにほとんど圧勝ばっかりして、ピンチも経験していないまま辞めると、自分がどんな奴か分からんままなんですよ。コイツに触れたら、一歩先は闇かもしれない。虫みたいに殺されるかもしれないけど、実際にやると勝てるかもしれない。

そういう時って、人間は素が出て自分について考えることができると思うんです。そんな試合も経験しないで、辞めたら格闘技をやってきた意味がないと思うんです。

僕が尊敬しているのは沖縄のキックボクサーMr.神風(※故人)とボクサーの中真光石なんです。20歳ぐらいの時に試合を見て、それまで見てきた格闘技は茶番で、あの人たちは本物って思ったんです。何でそう感じたのか、きっとあの人たちは普段から自分の弱さと向き合っている。そういう雰囲気があって……僕はあの2人のようになりたいんです」

──だから試合で追い込まれたいと。

「練習でも強くなるとかでなく、きつくない練習はしたくないです。自分の弱さがでないような練習はいらない。毎日、自分に負けながら、そこだけを考えてやっているのに試合では1割ぐらいの力しか出していない。最近になって、2割か3割ぐらいの力で圧勝して……そんなんやったら……あの2人のようになれない。試合で追いつめられないと、そういう風になれない。

そんな気持ちで試合をするのに、ベルトが掛かっている方が面白いので。だから修斗に出ようと思ったんです」

<この項、続く

■Shooto対戦カード

<修斗環太平洋バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]祖根寿麻(日本)
[挑戦者]岡田遼(日本)

<フライ級/5分3R>
前田吉郎(日本)
清水清隆(日本)

<フェザー級/5分3R>
斎藤裕(日本)
マーカス・ヘルド(ドイツ)

<フェザー級/5分3R>
山本健斗デリカット(日本)
阪本洋平(日本)

<バンタム級/5分3R>
魚井フルスイング(日本)
藤井伸樹(日本)

<ライト級/5分3R>
川名雄生(日本)
岡野結城(日本)

<フェザー級/5分3R>
仲山貴志(日本)
青井人(日本)

<ストロー級/5分3R>
黒澤亮平(日本)
児玉勇也(日本)

<バンタム級/5分3R>
金物屋の秀(日本)
齋藤翼(日本)

<女子バンタム級/5分2R>
セラ(ニュージーランド)
キ・ウォンビン(韓国)

<ストロー級/5分2R>
牧ケ谷篤(日本)
田上こゆる(日本)

<トライアウトルール女子50キロ契約/3分2R>
杉本恵(日本)
木越めぐみ(日本)

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