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【2017~2018】岡見勇信─02─「次の試合で終わるという覚悟は持ち続けています」

Yushin Okami【写真】悠然と笑みをたたえながら、今回のインタビューのようなシビアな話ができる。岡見勇信の大きさだ (C) MMAPLANET

9人のファイター達が語る2017年と2018年、岡見勇信の足跡と一里塚─第2弾。

昨年9月に奇跡のようなUFC復帰が成った岡見だが、それまでの期間、想いが成就するかどうか何の保証もない不安定な時をどのような気持ちで過ごしてきたのか。

「UFCにとらわれ過ぎると厳しい」と言う岡見の言葉は、世界最高峰を目指す選手たちの参考になるはずだ。

そしてUFCに戻ったことが、何も幸福の絶頂でないことを岡見は十分に理解していた。

<岡見勇信インタビューPart.01はコチラから>


──今の日本のMMA界、実はUFCで世界のトップになるという意志を持っている選手より、RIZINに出て有名になりたいと本心から思える選手の方が幸せだと思えます。

「その方が幸せというのは分かります。UFCという頭がないほうが……」

──2番目に好きな人と結婚するという表現が適切かどうかは分からないですが、UFCがダメでRIZINという気持ちでいる選手と比較すると、RIZINが一番という選手の精神的な充実は相当上ではないかと。

「2番目に好きな人と結婚……なるほど、ですね。いやそういう気持ちだと純粋に思っている選手に勝てないですよね。RIZINのリングに上がって、心底幸せな顔をしている選手は強いですよね」

──相思相愛は強い。ただし、今トップを目指している選手はUFCもRIZINもどちらも頭にあることが少なくないと思います。

「ここからピークを迎える選手たちもUFCはどういう戦績で、どういうタイミングで契約できるか基準がなくて、そこに向かって戦うのは厳しい部分はあるはずです」

──そういう選手はどのような気持ちで、MMAを続けて充実した人生を送ることができるのか。そこで今回の取材では岡見選手がUFCと再契約が成る以前は、MMAと対しての気の持ち方を尋ねたかったのです。

「僕の場合はUFCを経験していました。UFCという最高峰の最高具合を知っていました。だから揺らぐことなく、UFCでもう一度戦いたいと思っていましたね。ただし、自分の思考の全てがUFCになってしまうと、厳しいです。

だから僕はWSOFに出ている時は、WSOFでチャンピオになること。そこで自分を証明することを第一に考えていました。色々な交渉事があるし、運もある。そこから先は天命だと思い、自分を証明することに集中していましたね。

だから今、UFCを目指して日本で戦っている選手は自分が出ているイベントで自分を証明する。無責任かもしれないけど、そうしたうえでその先に訪れることを待つしかない」

──その根底にこのスポーツが好きだからというような感情はありましたか。

「僕の場合は自分ありきです。さっきから言っていますけど、自己証明の場なので常に自分と向き合っています。どのような舞台でも、それが証明できれば満足できるし、達成感を持つことができる。

もちろん強い選手に勝たないといけないという気持ちが分かりますが、UFCにとらわれ過ぎるのはでなくて今、戦っているイベントの1試合、一つの試合でしっかりと自分を証明することを考えていました」

──そうすることで岡見選手は奇跡のような天命が待ち受けていたのですね。

「本当にそうですね。一つだけいえるのは戦い続けていないと、今回の契約はなかったということです。その間、相当に試行錯誤はしていました。階級を落としたのも、そうですし。一つ一つの試合で自分を変えていかないといけないというのは、毎日考えていて。その先に、こういう道があった。

でも、UFCに戻ったからそれでハッピーなのか。もちろん、戻れたことは嬉しいですけど、次の試合でぼろ負けして『ハイ、リリース』っていう事態も有り得ることですからね」

──今日のインタビューで岡見選手の口から「実はリリースされました」という言葉が聞かれたらどうしようという不安がなかったとは言えないです。

「アッハハハハ。でも、そういう場所なんですよ。UFCっていうのはそういう場です。だから戻ることができて嬉しいですけど、その厳しい環境は誰よりも知っているつもりです。もう、与えられた道なので全てを出し尽くすしかない」

──自分を証明するということが、UFCでも続くということですね。そしてUFCと契約してなお、どれだけコンスタントに試合ができるのかという問題もあります。

「全てにおいて甘い世界ではないです。契約はありますが、次の試合で終わるという覚悟は持ち続けています。それより先のことは考えていないです」

<この項、続く>

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