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【ONE】青木真也<01>「成果が見たいなら、メレンデスに負けた時点で辞めているよ」

Shinya Aoki【写真】ロータスのキッズレスラーたちの練習を背景に (C)MMAPLANET

昨年11月にエドゥアルド・フォラヤンに敗れ、ONE世界ライト級王座を失った青木真也。あれから2カ月、いつも通り金曜日の午後になるとロータス世田谷で汗をかく彼の姿が確認できる。

UFCを頂点とした北米MMA界のヒエラルキーにも、日本格闘技界の経済圏にも身を置かない青木。そんな彼が1つの敗北で何か変わるわけもない──と思いつつ、あれから2カ月が過ぎ、一応に流れを見せるMMA界にあって、青木の姿勢、視線を確認したくなり話を訊いた。


──11月のフォラヤン戦の敗北から2カ月、その後の過ごし方として何か変化はありましたか。

「負けを受けて……何も変わらないです。ホント、何も変わらない(笑)。負けはしょうがないことだし。勝ち続けることは難しいこと……勝ち続けるという動作は慢心を生む動作。その慢心を生む動作というのが分かっているから、孤独に追い込む作業が必要になってきます。自分を追い込む作用が。

それが人間の器的に……僕の度量的に取り組み方として限界が来たので負けたということですよね。これで仕切り直し、イヴォルブもヘッドコーチを募集しているし、今後はどういう風に自分を追い込んでいくようにするのかは、チャトリ(シットヨートン・イヴォルブMMA代表)と相談する必要がありますね。

まぁまぁまぁ、これから始まっていくんじゃないですかってことですよね」

──あの試合は青木選手の負けパターンでした。

「そうですね。打撃でブッ飛ばされる。でも、そこの部分が分かっていてもここまでやってきたことだから、戦い方の根本を大きく変わらない」

──だから負ける時はよく似てくると。

「ハイ。そこも理解しています。少しでも良くなっていくように対処はしていきますが、大きな変化はこれからもないでしょう」

──自分の思い通りにいかない時に打撃を食らい、上手く戦えている時は打撃を被弾しない。

「それは全グラップラーに当てはまることです」

──ただし、打撃を受けた時の耐久力というものはそれぞれ違います。

「僕は打撃が怖いです。それも開き直りは有るんです。殴られても、死にはしなぇだろうっていうところまで感じていて。試合で死ぬわけじゃないし。そこはしょうがない……殴られるのはしょうがねぇかなっていうところまでは見えているので、まぁまぁまぁここからですよ」

──今さら、打撃で最高のストライカーに勝てるという風にはならないですしね。ただし、打撃を受けた時の気持ちのしぼみようがやはり大きい。

「そうですよ。打撃でコントロールできれば良いし、自分の嫌な攻撃を受けても変わらず戦えるなんて理想です。そうやって5Rを戦うことができるようになる、それは理想。理想はありますけど、そこと現実に隔たりがあるから競技人生を続いていける。

手の圧力があれば──と思って取り組んできましたよ。でも、結果的に同じように負ける。ただし、それはしょうがない。取り組んでいるんだし、避けているわけでもない。取り組んで負けたから、その取り組みは意味がないものじゃないし。取り組んでいることに価値がある」

──そこまで言い切りますか(笑)。

「ヘミングウェイが言うわけですよ。勝者には何もやるなって。それは過程が大切だと言っているわけで」

──成果が出ない時の言い訳になりませんか。

「そんなぁ、成果が見たいとか……成果が見たいなら辞めていますよ。でしょう?」

──う~ん……。

「成果が見たいなら、メレンデスに負けた時点で辞めているよ。でも、成果を残すために練習をする。そして、成果が出たら辞めている。ということは成果が出ることを目指しているけど、そのために続けることはない。そういうことなんですよ」

──なるほど。成果のみを求めていたら、負けたら辞めると言っているようなモノですしね。

「でも、負けて気は楽になっています。負けたことで気は楽になっている」

──つまり勝っている時は苦しかったと。

「意外と何か背負っていたんだなって」

──これまで色々あって戦い、勝ち、負けがある。そのなかで勝敗や勝負に対して、達観し過ぎると伝える側はしんどくなってきますね。

「そりゃぁ、負けたくないし。そうならないようにやっています。でも達観しないとやっていけないこともあります。達観しないと、首括っていますよ……。

だから達観している部分あるけど、でも欲はかいていますよ、まだ。まだ欲はかいている。やっぱり負けたままで終わりたくないです。それは相手云々ではなくて、自分自身が負けたままでは終わりたくない」

──それはこれから成長し、強くなっていきたいということに通じているのですか。

「成長はしたいし、まだこの生活をしたい」

──青木選手は他に比較できる日本人選手がいない。やるべきこともやっている。だからこそ結果が求められる存在です。青木選手にファイトマネーを支払っているのはONEです。そのONEは興行団体。つまりファンが青木選手の試合を見たい。チャトリが青木を手元に置いておきたいと思う選手でいなければならない。

「だからファンの前に成果を残す必要はあります」

──ONEでのポジションもベルトを失ったことで、そこを目指す、フォラヤンにリベンジするという姿勢がないと立ち位置が難しくないでしょうか。

「チャンピオンとか相手とか、どうでも良いです。こだわりはない」

──勝っているから青木真也の独特な世界観も、ファンが耳を傾ける。そして負けた時はどう言うのかと気になる。でも、実際には変わりないですね。

「あんまり格闘技ファンとか、格闘技界を当てにしていないから。別に俺は俺の仕事をやるだけなんで。試合して銭を貰うだけ。格闘技業界も日本の格闘技界も期待していない。全く期待していない。

言ってしまえば、青木真也を日本の格闘技界は使えないわけですよ。だから期待のしようがない。そうそう、RIZINを29日に見に行ったんですよ……」

この項、続く

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