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【Pancrase260】39歳近藤有己、石川を39秒KO。「強いて言うなら一生懸命やる、ですね(笑)」

Yuki Kondo【写真】キャリア95戦目の試合を39秒で秒殺KOをした近藤有己。8年振りの3連勝となった(C)TAKUMI NAKAMURA

10日(日)東京都江東区のディファ有明で開催されたPancrase260。第9試合では近藤有己が石川英司を僅か39秒でKOし、39歳& キャリア18年目のベテランが存在感をしました。そして、試合後に近藤へのインタビューを行うと、ウェルター級王座への挑戦を目標に掲げる発言が聞かれた。

<ミドル級/5分3R>
近藤有己(日本)
Def.1R0分39秒 by KO
石川英司(日本)

今回が3度目の対戦となる近藤と石川。初対決は2001年2月、近藤が首相撲からのヒザ蹴りで石川を鼻骨骨折に追い込んでTKO勝利、翌年の2度目の対戦でも近藤が判定勝利ながら石川を返り討ちにしている。約12年6カ月ぶりの対戦は、ここまで2戦2勝の近藤が、今一度強さを見せつけた。サウスポーの両者、近藤が距離を測りながら左ローを蹴る。石川もプレッシャーを掛けつつ左ストレート、近藤はそこに右フックを狙う。一旦、距離が離れ、石川が右フックで飛び込むと、近藤が右フックのカウンター一閃。これで石川が前のめりに崩れ落ちる。

思わず現ルールでは反則のサッカーボールキック(旧ルールでは有効)を蹴ってしまう近藤だったが、これは空振りに。石川は亀の状態になったまま動かず、近藤が追撃のパンチを落としたところでレフェリーが試合を止めた。

試合後、空振りながら近藤が反則のサッカーボールキックを蹴ったこと、また石川陣営からダウンした場面でバッティングがあったのでは?という抗議もあったため、レフェリー陣がデカゴン内で協議に。結果、近藤の右フックは石川の顎を打ち抜いており、サッカーボールキックも空振りだったため裁定は覆らず、KO勝利が告げられた。

【写真】右フックをカウンターで打ち込み、石川をマットに沈めた(C)TAKUMI NAKAMURA

【写真】右フックをカウンターで打ち込み、石川をマットに沈めた(C)TAKUMI NAKAMURA

デカゴン初陣を鮮やかなカウンターによる秒殺KO勝利で飾った近藤。一時は黒星が先行する時期もあったが、2013年以降の戦績は4勝1敗1分と好調をキープ、今年は3戦3勝(2KO)と勢いに乗っている。試合後の近藤に話を聞くと「今日はものすごく集中していた。どうやってKOしたか覚えていなくて、右の拳が痛いんで右のパンチで倒したんだろうなと思う」と、フィニッシュの右フックは体が勝手に反応した一発だったという。また同大会のメインイベントで新王者が生まれたパンクラス・ウェルター級王座を次なる目標に掲げた。

――フィニッシュは見事な右のカウンターでしたね。

「実はあんまり試合のこと覚えてないんですよ。右の拳がちょっと痛くてパンチを当てた感覚があるので、右のパンチで倒したんだろうなと思いました」

――そうだったのですね。試合写真を見返すとフィニッシュの前にも右フックを打っていたので、てっきり狙っていたパンチだと思っていました。

「全然狙ってないです。勝手に体が動いたパンチです」

――短期決着はイメージしていましたか。

「していなかったですね。もっと競った試合になると思っていたので。自分でもこういう結果になって驚いています。サッカーボールキックを蹴ったのも体が先に動いてたんですよ。もし当たっていたら反則負けだったので、当たらなくてよかったです(苦笑)」

――なるほど。試合内容を覚えていないくらい興奮していたのですか。

「それが僕の癖なんじゃないですかね。『今だ!』って思うと夢中になるんで。それだけ試合に集中できていたのかもしれません」

――例えば練習で体が動いていたとか、コンディションが良かったというのはありますか。

「夏は好きな季節なので、いい練習が出来たんだと思います。特に意識していたことはなくて……強いて言うなら一生懸命やる、ですね(笑)」

――今回はデカゴン・ケージで初めての試合でしたが、ケージで戦った感触はいかがですか。

「試合ではケージに触れることがなかったんですけど、今日は早めに会場に入っていつもより長めにチェックしました。その時にケージはいいなと思いましたね」

――ケージという空間が近藤選手の集中力を高めたということは?

「あぁ……それもあるかもしれませんね」

――近藤選手は今年3戦3勝2KOと好調です。今、近藤選手は目標をどこにおいていますか。

「やっぱりタイトルに絡んでいきたいですよね。ランキング的にタイトル挑戦のチャンスがないこともないので、それに向かって頑張りたいと思います」

――今日のメインイベントは近藤選手と同じウェルター級の王座決定戦でしたが、試合はご覧になっていましたか。

「はい。控室にあるモニターで見ていました。これからまた頑張って、自分もタイトルマッチが組まれるところに行きたいです」

――近藤選手とは一人のランカーとして、タイトルに挑むという意識なのでしょうか。

「もちろん」

――3月の横浜文化体育館大会の試合後には「振り返ったらリングよりもケージの試合の方が多かったとなるくらいケージで試合をやりたい」というコメントもありました。これからケージでやりたいこと、やってみたいことはありますか。

「今日は出せなかったですけど、ヒジはやりたいです。今の時代はこのルールが一番理に適っていると思うので、このルールで自分がどう戦うのか。それを追求したいと思います」

■ Pancrase 260 結果

<ミドル級/3分3R>
荒井勇二(日本)
Def.2R1分21秒 by RNC
エディ・ジョシュア(米国)

<フェザー級/3分3R>
飯嶋貴幸(日本)
Def.2R0分12秒 by KO
杉山和史(日本)

<バンタム級/3分3R>
亮AKB(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 29-28
統好(日本)

<スーパーフライ級/3分3R>
小川徹(日本)
Def.2-1: 29-28, 29-28, 28-29
鮎田直人(日本)

<KOPウェルター級王座決定戦/5分3R>
レッツ豪太(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 29-28
村山暁洋(日本)

<ミドル級/3分3R>
一慶(日本)
Def.2R1分01秒 by KO
大山峻護(日本)

<ミドル級/3分3R>
近藤有己(日本)
Def.1R0分39秒 by KO
石川英司(日本)

<ライト級/5分3R>
アキラ(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
太田駿平(日本)

<フェザー級/5分3R>
ガイ・デルモ(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
鹿又智成(日本)

<ライト級/3分3R>
児山佳宏(日本)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
伊藤崇文(日本)

<スーパーフライ級/3分3R>
北郷祐介(日本)
Def.3-0: 29-28, 29-28, 29-28
曹竜也(日本)

<ライト級/3分3R>
網潤太郎(日本)
Def.3R2分28秒 by TKO
原昭仁(日本)

<フェザー級/3分3R>
松岡嵩志(日本)
Def.2-1: 29-28,29-28,28-29
TAG(日本)

<第20回ネオブラッドTウェルター級決勝/3分3R>
佐藤天(日本)
Def.1R2分51秒 by KO
林源平(日本)

<第20回ネオブラッドTライト級決勝/3分3R>
アンドリュー・ロバート(米国)
Def.3-0: 30-27, 30-27, 30-27
泰斗(日本)

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