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【Gladiator026】MMA三戦目、木村柊也「対策をして試合でパフォーマンスを見せることが本当は得意」

【写真】取材時より9キロほど絞り、リカバリーは7キロほどを予定していると言う木村だった(C)MMAPLANET

本日5日(日)、豊中市の176BOXで開催されるGLADIATOR026。同大会で木村柊也が塩津良介と対戦する。
Text by Manabu Takashima

昨年12月のGladiator024での田口翔太戦でMMAデビュー、3月のGerachan68XBrave Figth31で2戦目=長男崇志戦と2試合連続初回KO勝ちを木村を修めている。合計試合タイムは驚異の1分58秒と、秒殺KO勝ちを飾っている。そんな木村は学生で全日本拳法総合選手権大会を2連覇した唯一の存在で、日拳史上最強の異名を持つ。

MMA三戦目に向け、まだ対戦相手が決まっていない状況でのインタビューで木村は調整&対策の大切さと、日拳のMMAでの生かし方、そして組み技の習得状況を話してくれた。既に一つの競技の頂点を極めた故の完成した格闘技観、木村柊也は半端なく只者でない感を醸し出している。


――プロ3戦目が5月5日のグラジエイターに出場する木村選手ですが、まだ対戦相手が決まっていないそうですね(※取材は4月4日に行われた)。

「相手が決まっていないので減量を始めることもできないですし、5月5日に戦うことは自分でも分かっているのですが、緊張感がないというのはあります。プロなので、もう少し早く相手が決まって欲しいです。プロだからこそ、2カ月や1カ月半をかけて相手の対策をして、その間の練習の成果をケージで出したいので。そういう部分で気持ちを入れるのが、大変だというのはあります」

――デビュー戦の時の準備期間は?

「ちょうど1カ月です。12月9日の試合で、11月9日にオファーがあり対戦相手も決まっていました。だから、すぐに減量を始めることもできました」

――対して3月のGrachanはライト級でしたが、それは対戦相手が決まらないということが影響していたのでしょうか。

「デビュー戦が終わって2日か3日後に、3月に試合ができることは決まっていました。それから他の試合が発表されても、自分は相手の候補すら名前は聞かされていなかったです。結局、試合の2週間前ぐらいに決まったのですが、ライト級というのが条件でした。

そこを自分が嫌うと、本当に対戦相手が見つからなくて試合ができないと思って受けました。今回も3月の試合後の1週間、10日後ぐらいに対戦相手込みでオファーはありました。自分も凄く嬉しくて『やります』と即答したのですが、その相手の選手がケガをしたみたいで……今、新しい対戦相手を探してもらっています」

――木村選手の評判の高さが、対戦相手が見つからないことに通じているのであれば、格闘競技の本質とは何かと考えてしまいます。

「自分は……そういう気持ちになったことがないので、分からないです。けど……それぞれがケージの中で自分の戦いを見せたいはずです。だから組みの選手は殴り合いをしたくなくて、自分とは戦いたくないとかあるのかと……」

――ならMMAでなく、グラップリングをしましょうよと言いたくなりませんか。

「いや、それはそういう風に思っているのかは分からないでので(笑)……う~ん、どういう気持ちでオファーを断るんですかね(苦笑)」

――と同時に日本拳法史上最強という肩書の持ち主です。いわば中村倫也級のルーキーだろうと。そうすると町道場でMMAを始めて2戦目や3戦目の選手に、木村選手と試合はさせられないと指導者が判断するのも致し方ないことかと。

「僕自身、プロ10戦ぐらいの人がどれぐらい強いのか見ていても分からないので、実際にケージの中に入って体感したいという気持ちはあります」

――押忍。ところで過去2試合では凄まじい勝ち方だけでなく、ヒヤッとする場面もありました。その辺り、どのように捉えていますか。

「自分としては、ヒヤッとすることはなかったです。決して殴られても殴り勝てば良いという考えではないですが、試合になると、視界が狭くなってしまって……デビュー戦の時はそうでしたね。

でも2戦目は慎重に行こうとして、インローから様子見をして『行けるな』と感じて仕留めに行きました」

――それが感覚で分かるものなのですか。

「そうですね。ある程度、分かりますね。20年やってきた日拳時代は向かい合った時に相手の距離、強さとか……苦手にしているところまで分かりました」

――危機察知能力もあるわけですね。木村選手がそのようになる試合をMMAでも早く見てみたい気もします(笑)。

「そういう強い人と戦う時こそ1カ月半、2カ月前のオファーが欲しいです。自分、相手の対策をして試合に出る……相手のことを知った上で、実戦でパフォーマンスを見せるのが本当は得意なんです。だから準備期間が欲しいというのはありますね」

――それが本当の木村柊也だと。

「そうですね、2週間前だと減量に集中しないといけないので。もっと準備期間があれば、もっと良いパフォーマンスを見せることができると思っています」

――「何が日拳最強だ。これはMMAだ」という感じの対戦相手が現れてほしいものです。

「それは僕も思っています。そして、そういう人を倒す自信もあります」

――おお!! ポイント制の日拳は、いえばずっと組みが続くことはなかったかと思います。そのなかでタイ人コーチとのミットや、首相撲……組みの打撃という練習をしていたことも気になります。

「ストライカーとしては、凄く良い練習になっています。テイクダウンを完全に切れなかった時、そこがヒジの距離だったりして。そこを知っているのと、知らないのでは全然違います。組みづらくなる技を教えてもらっています。そういう意味でも、凄く良い練習ができています」

――いわゆるゼロ距離。相手の組みへの対処で、日拳も一瞬の担ぎ技、崩し技はあったかと思います。その辺りの日拳の組みがMMAに生きることはありますか。

「あります。やりあっているなかで、一瞬力を抜くとか。そうやって相手を崩して、足を掛けるだとか。最後に決めるのは瞬発力。そういう部分で、凄く生きています」

――その日拳の瞬発力、持久力が大切なエレメントとなるMMAでいかに落とし込めるのか。楽しみです。

「戦っている時に100の状態を続けることは絶対に無理です。なので抜くところは抜く、その切り替えをしっかりとすることで5分間でも問題なく戦えます。パンチの当たらない距離で力をそんなに入れることもないですし、自分の距離に入った時だけ100パーセントの力で打ちます」

――そこがもう体に染みついているわけですね。

「そうですね。考えるのではなくて、その距離になった時に『当たる』という感覚で動いています」

――それはもう本能のようで、タイムラグがなくなりそうです。

「だからこそ自分の踏み込んで効かせる打撃を使い、相手が倒れなかった時は近い距離にいるのでムエタイの練習で身に着けた……あの距離でのミドル、ヒザ、ヒジを使えると思います」

――体の使い方は違うかと。

「ハイ。でも、戸惑うことは今のところはないです。基本は違うけど、やっていることは同じ。自分の持っているスタイルに、指導を受けたことを組み合わせるために調整をする。そのアジャストも自分の感覚です。

自分のスタイルがなくて、色々と教わったことを採り入れると試合で何をやれば良いのか分からなくなるはずです。まずは自分のスタイルを理解したうえで、色々と教えてもらう。だから自分の打撃に組み合わせる。そうでないと、教えてくれた人のスタイルになるだけです。自分のスタイルに、他に人のスタイルを嚙み砕いて採り入れる。それをずっとやっています」

――組み、寝技に関してはいかがですか。

「まずは基本です。打撃も足の位置、重心の位置という基本がなっていないと良いパンチは打てないです。現時点で組み技は基本通りにやっています。ここから自分のやりやすい動きが出てくるはずなので。そのために打ち込みをやって、スパーリングで確認しています。」

シングルやダブルに入られたときに、どう対応するか。何をやるかが決まっているので、それ以外の動きはしない。そうしていると自分でもなぜか分からないのですが、バランスが良くなっているように感じます」

――今日も原口伸選手のバックを正対していました。

「アレはたまたまです(笑)」

――ハハハハ。一つのスタイルを究めた強さが、本当に木村選手からは感じられます。では大阪でどのような試合をしたいのか、教えていただけますか。

「KOしか狙っていないです。判定は最初から考えていないので、試合が始まったら――相手の動きを研究して、一瞬にして落とす。それだけです。面白い試合をしていればチャンスが広がってくると思いますし、勝ち負けよりもまずは会場を沸かせる試合をしていきたいと思います」

■視聴方法(予定)
5月5日(日)
午後12時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■GLADIATOR026対戦カード

<バンタム級/5分3R>
竹本啓哉:61.7キロ→61.65キロ
デッチプール:60.6キロ

<フライ級/5分3R>
山上幹臣:56.65キロ
今井健斗:57.1キロ

<フェザー級/5分3R>
中川晧貴:65.85キロ
水野翔:66.1キロ

<68キロ契約/5分3R>
チハヤフル・ズッキーニョス:68.35キロ
パク・サンヒョン:68.25キロ

<PROGRESフォークスタイルグラップリング64.4キロ契約/5分2R>
上田祐起:64.4キロ
江木伸成:61.75キロ

<フェザー級/5分2R>
木村柊也:66.15キロ
塩津良介:64.95キロ

<バンタム級/5分2R>
南友之輔:61.4キロ
秋田良隆:61.25キロ

<フライ級/5分2R>
古賀珠楠:57.15キロ
田中義基:56.85キロ

<ライト級/5分2R>
磯嶋祥蔵:70.4キロ
都市弦介:70.25キロ

<フライ級/5分2R>
大月宣樹:60.65キロ
カーヴィ:60.55キロ

<バンタム級/5分2R>
ルキヤ:60.0キロ
小見山瞬:61.35キロ

<フライ級/5分1R>
伊藤琥大郎:56.4キロ
塩谷尚也:56.0キロ

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