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【FAW2024#02/TORAO32】格闘代理戦争振り返り。鶴屋怜「とにかく寝技を」&諸石一砂「必要な経験」

【写真】諸石がいる日本の時間は夜22時、鶴屋はATTの朝スパーリングの前にリモートで参加してくれた(C)SHOJIRO KAMEIKE

4年振りに再開したABEMAの格闘家発掘リアリティTVショー=格闘代理戦争-THE MAX-。3月15日に都内某所で実施された一回戦では、鶴屋怜の推薦選手として諸石一砂が出場した。
Text by Shojiro Kameike

試合では諸石がギレルメ・ナカガワにわずか40秒――腕十字を極められた。試合後、諸石は5月26日にアクロス福岡で開催される「TORAO32」でネイン・デイネッシュと対戦することが決まっている。格闘代理戦争への出場を経て、諸石は何を得たのか。現在、米国のATTで練習中の鶴屋怜とともに、格闘代理戦争の裏側も語ってくれた。


――現在ABEMAで放送中の『格闘代理戦争 -THE MAX-』について、鶴屋怜監督と諸石一砂選手に番組と1回戦の試合について振り返っていただきたいと思います。鶴屋監督と諸石選手の登場は1回戦が行われる第2話でしたが、出場が決まったのは直前だったのでしょうか。

鶴屋 直前ではないですね。自分の出演が決まったのが、他の人たちより遅かったというだけで。オファーを頂いたのは試合の2~3週間前だったと思います。そのタイミングでジムの中から誰が出られるかを父(鶴屋浩THE BLACKBELT JAPAN代表)と相談して。条件(フェザー級、25歳前後、プロ5戦以内)という条件の中で一砂君が出られるということで、一砂君が推薦選手に決まりました。

諸石 選んでもらった時はワクワクしました。プロではまだ2戦しか経験していないし、もともと格闘技のキャリアは浅いので、こういったメディアに出られるのは嬉しかったです。普通じゃ経験できないことだから、これはチャンスだと思っていました。

鶴屋 よく「エンタメだから、どうこう」と言われますけど、出る選手からすれば賞金も貰えるし。さらにRIZIN出場権も賭けられるという大きなチャンスだから、出るべきだと思いましたね。

――格闘代理戦争はドキュメンタリー番組であり、リアリティショーです。通常の試合の時と違って、煽る発言などは意識しましたか。

鶴屋 何となくそういう雰囲気は感じましたけど、制作サイドも僕の性格を分かってくれていたんじゃないですか。いつも自分は尖った発言をしていると思われているみたいだけど、本当に思っていることは言いますよ。でも別に思っていないことは――もう21歳なので、言って良いことと言っちゃダメなことは分かります(笑)。

――むしろ諸石選手のほうが煽るタイプでした。

諸石 アハハハ、そうかもしれないです。

鶴屋 試合をする選手は、みんなMMAのキャリアが同じくらいで。だけど自分の場合は監督側で、青木真也さんや秋山成勲さんは年齢もキャリアもずっと上ですからね。さすがに青木さんや秋山さんに噛みついていくことはできないです(苦笑)。

――唯一、平本蓮選手に対しては「口だけ」と発言していましたね。

鶴屋 そうですね(笑)。平本選手は年齢もそれほど離れているわけじゃないし、多少は言えるかなって思いました。

――諸石選手は過去2戦経験しているプロの試合と、格闘代理戦争の試合では意識が違った部分などはありましたか。

諸石 自分はガンガン行くファイトスタイルで、格闘代理戦争でも同じスタイルで戦いました。テレビの企画だと結構、自分をつくってしまう人もいると思うんですよ。でも僕はそういうことを気にせず、素の自分でいましたね。

――素の部分といえば、諸石選手の場合はサッカー選手のキャリアと、ストリートファイター時代が紹介されていました。サッカー選手とストリートファイターは同時期だったのでしょうか。部活が忙しい中で、どのように両立していたのかと……。

諸石 サッカー部の中でも僕は自宅生だったので、試合が終わった休みの日とかは……すみません、ストリートファイト時代の話はナシで(苦笑)。

――アハハハ、書けない話も多そうですね。鶴屋監督と諸石選手は、お互いに初めて会った時や練習した時の印象を覚えていますか。

鶴屋 「ヤンチャな人が来たなぁ」と思いましたね(笑)。それと「ヤル気がある人だな」って印象でした。まさかその後に、格闘代理戦争に出るとは思っていなかったですけど。

諸石 ジムに入った時は「自分が最強だ!」と思っていたので、初めて怜君と組んだ時はビックリしました。「こんなに強い人がいるのか!」って。今まで触れたことのないレベルを感じましたよね。正直、地元でも格闘技経験があるっていう人と戦ったこともあるんです。当たり前だけど、怜君は次元が違いました。

――諸石選手はMMAを始めるうえで、なぜ当時のパラエストラ千葉ネットワーク(現THE BLACKBELT JAPAN)を選んだのでしょうか。

諸石 強いジムだということは当たり前ですけど、寝技の強さですよね。僕も打撃には自信があったけど、ストライカーが寝技で何もできずに負けている試合もたくさん見てきました。だからジムとしても強いし、特に寝技が強いので「ココに入ろう!」と決めました。それが今からちょうど2年前のことですね。

鶴屋 一砂君がジムに入ってきた時は、経験ないから当たり前だけど、雑な部分は多かったです。でも、ずっとサッカーをやっている人だから、運動神経は良くて。最近は打撃も格闘技のものになってきているし、寝技もできるようになってきている。格闘代理戦争の1回戦は寝技で極められてしまいましたけど、そもそも寝技を身につけるのは時間が掛かるものですからね。これから寝技をどんどんやってくれれば良い。打撃もMMAとして、どんどん綺麗になっていると思います。

――諸石選手の場合は、特に蹴りのフォームと強さが印象的です。たとえば野球はピッチャーの投げる動作とパンチを打つ動作が似ていると言われます。

鶴屋 それ、よく聞きますよね。父もそう言っています。

――ではサッカーとMMAの蹴りを比較すると、いかがでしょうか。

諸石 サッカーはボールを蹴る時、軸足の位置や踏み込みの角度で全然違います。本当にミリ単位で軌道が変わったりするんですよ。僕の場合は格闘技の蹴り方ともまた違って、サッカー独自の蹴り方と組み合わせたものかもしれないです。もともとサッカーをやっていたことで足の上げ方とか、あと脱力して蹴ることができていたとは思いますね。

――なるほど。――格闘代理戦争では、計量の後に抽選で翌日対戦カードが決まりました。抽選の前に「どの選手と対戦したい」という希望はありましたか。

前日計量後の抽選で、先にFを引いた鶴屋。Eに警戒していたナカガワが来るとは――(C)MMAPLANET

鶴屋 僕はトミー矢野とギレルメ・ナカガワが一番嫌だなと思っていました。それを引いちゃったというか、自分が引いたあとにナカガワ選手が来たので……。

諸石 アハハハ!

鶴屋 格闘代理戦争は1Rが3分しかないから、テイクダウンに入られると結構不利になるじゃないですか。

諸石 ストライカーとしては嫌ですよね。

鶴屋 1Rが5分だと、最初に寝かされても残り2分で立ち上がって一発KO――ということはあると思うんです。でも3分間で最初にグラウンドへ持ち込まれると、逃げてからKOするまでは難しくて。そう考えていると、いきなりナカガワ選手が来っちゃったという。「これ、大丈夫かなぁ」と思っていました(笑)。

諸石 僕たち選手は抽選を横で見ていました。自分としては「誰でも良いよ」と思っていましたし、ギレルメ戦が決まっても自分は「おぉ、ハイハイ」みたいな感じで。

鶴屋 もともと誰が相手になってもいいように考えてはいましたが、試合が決まってから具体的に「どういう試合をするか」みたいなことを話し合いました。プロの試合だとワンデートーナメントでもないかぎり、ああいうことは経験できないですよね。

諸石 自分としても大きな経験でした。2週間前に出場が決まって、体重調整しながら仕上げていくことも少ないので。そのぶん格闘技の厳しさも知ることができて。今考えると、あの時の自分に必要なものだったから、出場のチャンスが来たんだなと思っています。

――ギレルメ戦はわずか1R40秒で敗退。試合後は悔し涙を流していました。

鶴屋 相手は打撃ができないから、一砂君がちゃんと蹴りを当てることができればKOできる、という勝つイメージも持っていました。でも試合は一番嫌な展開でしたよね。

試合直後はもちろん、控室で涙を流す諸石の姿も映像で公開されていた。この悔しさを次戦で晴らせるか(C)MMAPLANET

諸石 今までとは違う「本当の戦い」で負けたと感じました。何もできず、自分の距離で戦えなかったことに虚しさもあって。それと自分の甘さを実感して悔しかったです。

――準決勝以降、リザーブ枠のような形で出場が継続されることはなかったのですか。

鶴屋 勝ち上がった選手の中で負傷があったりしたら、別の選手が出るという話は耳にしていました。あくまで噂レベルのものですけど。

諸石 でも僕は1回戦の翌日には、次の試合(5月26日、TORAO福岡大会でネイン・デイネッシュと対戦)が決まったんですよね。格闘代理戦争の1回戦で負けた時は悔しかったけど、いつまでも引きずっていても仕方ないし、すぐ次に向けて練習を再開しました。

鶴屋 振り返ると、とにかく一砂君は寝技を練習しまくったほうがいい。正直、僕はそんなに打撃をやらずにUFCと契約して……。

――いやいや、そんなわけはないでしょう(笑)。

寝技が向上すれば、特の蹴りもより生きるはず(C)MMAPLANET

鶴屋 全くやっていないわけじゃないけど、ある程度は――ヌルマゴだって特別強い打撃を持っているわけじゃないですし。一砂君は強い打撃を持っているから、とにかく寝技を練習しまくったら絶対に強くなると思います。

諸石 まさに怜君の言っているとおりで。格闘代理戦争が終わってから、すでにMMAということを意識して寝技の練習に取り組んでいます。

――諸石選手としては鶴屋怜推薦の試合が終わって、次はTHE BLACK JAPANの看板を背負い、TORAO32で福岡選抜との対抗戦に挑むわけですね。

鶴屋 ちょうどウチに福岡県か、その周辺の出身選手が3人いて。だから福岡選抜×THE BLACKBELT JAPANの対抗戦という形になったんだと思います。

諸石 対抗戦に出る選手は僕が長崎県出身、他の2選手(杉本静弥と梅木勇徳)も福岡県出身なんですよ(笑)。

――現在、THE BLACKBELT JAPANには日本全国から入門者が集まっているのですね。

鶴屋 最近は日本全国から、特に若い選手の入会が多いです。

諸石 自分の強いジムを探した結果、パラエストラ千葉ネットワークに辿り着きましたからね。対抗戦として行われることが決まった以上は、自分もTHE BLACKBELT JAPANを代表する気持ちで戦います。

相手のネイン・デイネッシュ選手はオールラウンダーとして全部できるうえ、一発があるという印象です。格闘代理戦争の経験を生かして次の試合はしっかり勝ちます。そして、このままプロの試合は無敗のままベルトを獲りますので、よろしくお願いします!

■視聴方法(予定)
2024年4月19日(金)
午後7時00分~ABEMA格闘チャンネル

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