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【Special】月刊、青木真也のこの一番:5月─その参─摩嶋一整✖田村一聖「凄く強い。高値掴みしても良い」

2019.06.03

Majima【写真】青木が絶賛した摩嶋一整(C)KEISUKE TAKAZAWA / MMAPLAET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ5月の一番、第3弾は26日に行われたPancrase305から摩嶋一整×田村一聖の一戦を語らおう。


──5月の青木真也が選ぶ、この一番。3試合目はどの試合で青木アワード受賞は誰になるのでしょうか。

「摩嶋一整✖田村一聖です」

──つまり摩嶋選手が青木アワードだと。

「ハイ。アレはヤバいですね。もともと去年のRebel FCでホドルフォ・マルケスに一本勝ちをしていたので、注目していたんです。ホドルフォはDREAMが呼んだ時に、テイクダウン・ディフェンスがメチャクチャ強いという評判でした。

そして、強かった。それが今は豪州にいて、階級も上げているから劣化はあるとは思っています。ビビアーノ・フェルナンデスと判定まで言った時の力はない。それでも普通にホドルフォをやっつけた。だから今回、田村さんとやることは何かドキドキしたんですよね」

──内容も文句なしだったと。

「田村さんはだって、ストライカーじゃないよ。寝技が強いから」

──自分もその認識を持っています。ロータス世田谷が前の場所にあった頃のYBTの練習で青木選手をパスしているのを見て驚いたことがありました。

「そう。めっちゃ強いから。本当にグラウンドが強いんです。で、この試合に関しては北岡さんと話していて、『凄いマッチアップだ、格闘技だ』って。坂本靖さんが組んでいると思うんだけど、修斗よりも修斗的で。昨日の大会ではこの試合もそうだし、坂野周平の試合なんかもとても坂本さんの目の良さが出た試合でしたよね」

──では改めて、摩嶋選手の強さを話してください。

「田村さんをしっかりと抑えて、コントロールして圧倒する。凄く強いと思います」

──田村選手がケージ際でウィザードの状態でバックを譲らないという攻防がありましたが、それでもテイクダウンからバックに回りました。

「田村さんは頑張っていました。でも、最後にツモられた。バックマウントがエビ反りで、絞めはパームトゥパーム。こういうと怒られるけど、良い時の川尻。一番脂が乗っていて勢いがあった時の川尻のようで。打撃はそれほど上手くなくても勢いがあって、クリンチが強くてコントールできる。ホント、摩島選手はあの頃の川尻のようですよ。

柔術黒帯の力がある。それこそ川尻がルイス・ブスカペに勝ったときにムリーロ・ブスタマンチが『カワジリは黒帯だ』と言っていましたが、アレと同じで摩嶋選手は寝技が強い。黒帯だと思っちゃいました」

──山口県周南市、毛利道場所属。東京や大阪のようなジムの間を越えたプロ選手が集まる練習機会もないと思います。仕事もしていますし。

「働いているですか? それで……アレだけ、怖っ!!。それであんなに強いんですか? 彼はUFCを目指しているんですよね?」

──ハイ。インタビューで明言しています。

「昨日の試合だけでも契約できると思いますよ。それこそ、ONEは高値掴みをして良いから、抑えておくべきじゃないのかって思いました。昔、大塚隆史がブラジルでハファエル・ドスアンジョスに判定負けした時に、DEEPの佐伯さんに『強いから契約した方が良いですよ』って進言して、契約した流れがあったんですけど……それと同じぐらい、高値掴みしても良いと思いました。

そうならないんだろうけど……。でも、こういう選手が日本にはまだいるんですね」

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