この星の格闘技を追いかける

【PXC44】勝って兜の緒を締めよ。矢地祐介 「終わらせないと…」

2014.07.04

Yusuke Yachi

【写真】PXC戦績を2勝1敗とした矢地祐介。勝利者コールにも、この笑顔はなし。通算戦績12勝4敗、一本&KOからは4年半離れているころが、心から喜べない要因となっている (C)MMAPLANET

6月27日(金・現地時間)にグアムのUOGフィールドハウスで開催されたPXC44で、ライアン・マルヴィヒルに危なげなく勝利した矢地祐介。

しかし、勝ち名乗りを受ける時から、控え室に戻って来ても矢地の表情は晴れない。インタビューでも反省の言葉ばかりが口をつく矢地──の意識の高さが伺える言葉が連続した。

――文句なしの判定勝ち。おめでとうございます。

「ありがとうございます。取り敢えずは……」

――勝ち名乗りを受けた時もそうでしたが、今も納得しているようには見えないですね。

「やっぱり不満は残ります。『お前、またそれかよ』って言われそうで嫌なんですけど、ホントもうダメでした。ダメなら次出せよって話なんですけどね。もう、それが4、5年続いて判定地獄から抜けられないです」

――今日の試合で、取りこぼしがあったと感じているわけですか。テイクダウンもほとんど切った。倒されても、すぐに立ち上がり、試合の大半で優位なポジションを取っていました。

「もっと自分ならできるっていう想いがあったんです。戦っていても、いけるところでいけない弱さがあって……。腕十字とかも、ホント終り際にしかいけない弱さがありました」

――残り時間が1分ある状態での仕掛けは、自分は決して終了間際とは思わないです。残り10秒や5秒で仕掛けて、返されても反撃を食らわない、そして印象点を稼ぐファイターはいくらでもいます。あれは狙いに行った証だと思います。

「そう言ってもらえると、救われるのですが……、やっぱりもっと極め切るために動ける自信を練習でつけないとダメだと凄く感じています。そこは反省点でしかないです。試合を終わらせないといけない相手でした」

――フィニッシュを望むのであれば、スタンドの打撃の方がチャンスは多かったような気がします。左が全く見えていなかったように映りました。

「その通りなんです。最初の左が当たって『これ行けるぞ。見えていない』って思ったし。前回の試合が終わってから、プレッシャーを掛け、しっかりと打ち込んでKOするという練習をしてきたので、そこを試したかった。やれるとも思いました。それなのに……、言い訳になってしまうんですが、相手の打撃が下手くそ過ぎて、リズムを狂わされてしまいました。呼吸が合わなくて、全然入れなくなったんです」

――それでも危ない場面はなかったです。

「あんまり、そうやって甘やかさないでください(笑)」

――それであれば、全てのラウンドでバックやトップを取ったのに、返されたのは減点ですね(笑)。特に初回のようにエルボー一発でカットされることもありますし。ポジションを取ったらキープで終えることは必要だと感じました。

Yachi vs Mulvhill【写真】2R以降は容易くバックを取った矢地だが、初回に返されエルボーを受けて左目尻をカットした(C)MMAPLANET

「そう、確かにそうッスよね。あの一発で切れたし、怖いですよね」

――そこで10-9で相手につけるジャッジが出てくる。

「やっぱり判定だと、そういうことが起りえる。それは日本でも海外でも同じ。だから試合は決めないと。でも、もうそういうことも言いたくなくなるぐらい、判定が続いているので(笑)。もう、認めるしかないです。今の自分は、そういう程度の選手なんだって。ここから精進して。しっかりと練習します」

――PXCフェザー級王座が近づいた勝利でした。

「このままじゃ勝てない。キム・ジャンヨン選手には。僕より、ずっと強い。もっと練習が必要です」

――海外のケージで11勝4敗の相手に勝利し、かつ反省できる。矢地選手の意識の高さの表れだと思います。

「それは勿論、僕もUFCのチャンピオンになりたいし……、『分かっているなら、それだけの試合をやれよ』って言われてしまいます(笑)。初めてブーイングを浴びましたしね。スタンドでやりたいこともできなかった。圧力はなかったんです。もう、途中で諦めているテイクダウンだったし。倒す気ないのかって。そんな状況だったのに……」

――……(苦笑)。しっかり勝てたので、反省も一区切りして、勝利の美酒に酔ってください。

「そうですね。ありがとうございました!!」

PR
PR

Movie