【AJJC2017】フェザー級優勝、八巻祐─02─「ハマればチャンスがあるかも、試してみたい」
【写真】道着を掴んでから引き込みという部分が徹底して見られるようなったことは、立ち技が得意な八巻にとって優位になる競技実施面の変更といえる(C)MMAPLANET
8日(金)から10日(日)まで東京都足立区の東京武道館で開催されたアジア柔術選手権2017で、激戦区フェザー級を制した八巻祐インタビュー後編。
世界での活躍が見たい八巻は、一つ問題があった。
Text by Takao Matsui
<八巻祐インタビューPart.01はコチラから>
――塚田選手にも一本勝ちでしたが、厳しい試合だった?
「一本を取れたのは、残り10秒ですからね。本当に厳しい試合でした。トップからのアタックが強いことは知っていましたので、立ち技勝負なると思っていましたが、引き込んできました。フィジカルが強いので、崩されないようにするのに必死でかなりの体力を消耗してしまいました。本当に勝てて良かったです」
――さすがはトップクラスの選手。実は紙一重の勝負だったわけですね。
「塚田さんは強かったです。逆に2回戦のジェイク・スコベル選手との試合は、そこまで消耗しませんでした。先にスイープで2ポイントを先制されましたが、ワンチャンスを待つ冷静さがありました」
――パスガード、ニーオンザベリーで計5点を奪い、逆転勝ちでした。
「奇数のポイントが取れれば勝てるかなと考えていました。準決勝のマイキー・サンチェス戦も、下からの腕十字を極められそうになりましたが、テイクダウン、パスガードとポイントを重ねることができて、キムラを仕掛けてアドバンテージを奪い、最後はベースボールチョークで勝ちました」
――決勝も含めて、完璧な内容での優勝に見えました。手応えがあったのではないですか。
「正直、ありました(笑)。ルールを意識しつつ、落ち着いて試合ができたことが収穫ですね。投げる時に、場外に出ないようにとか。技を仕掛けられて防いだ時に、場外逃避にならないような動き方とか。勉強になることが多かったですね」
――八巻選手の試合は一本が多いような印象がありますが、そこもゴールに設定しているのでしょうか。
「絶対に一本を取ろうと意識してしまえば崩れてしまうと思いますが、練習では常に一本を取りに行っています。それが自然と試合に出るだけではないでしょうか。
柔道では、一本を狙いに行くのが当然で、そうしないと大きい舞台で勝てないと言われてきました。そうした考え方が、自分にも染みついているかもしれませんね」
――アジア選手権で優勝しましたので、ムンジアルへの出場権を獲得しました。今後は、世界の舞台への進出も視野に入れているのでしょうか。
「アジア選手権で優勝したらムンジアルに出られるということを、つい最近知りました(苦笑)。正直、ポイントのこととか良く分からないんです」
――そうなのですか。そこを綿密に計算するのも黒帯柔術家の印象だったのですが、スタイル同様に八巻選手は異質ですね。ムンジアルでもその雄姿が見てみたいです。
「自分のような柔道をベースにした投げとパスガードがメインのタイプは、ハマればチャンスがあるかもしれませんね。あまりいないでしょうから。そういう意味では、試してみたいなとは思っています」
――ぜひ、お願いします。
「でも、世界大会は6月とかに行われていますよね。自分は、光明学園相模原高等学校の教員なので、さすがにその時期に長期の休暇は取れないかもしれません」
――クラスも持っているのですか?
「はい。保健体育の教師でクラスも持っています。柔道部の練習に、中村大輔さんや嶋田裕太選手にも講師として来ていただいたことあります。あの時は、みんな喜びましたね。ありがとうございました。
ムンジアル……出てみたいですが、1週間くらいかかりますよね。JBJJFから推薦状でも学校側に出してくれれば、もしかしたら休暇をいただけるかもしれません(笑)」
――まさに「お願い、ハマジーニョ!」という感じですね。
「そうですね、ぜひお願いします(笑)」
■AJJC2017黒帯フェザー級の結果
【フェザー級】
優勝 八巻祐 (日本)
準優勝 世羅智茂(日本)
3位 マイケル・サンチェス(グアム)
3位大塚博明(日本)