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【GLORY03】死角の見当たらないペトロシアン、一番の敵は自らの拳

2012.10.30

Final8

【写真】GLORY70キロの頂点を懸けて戦う8人のファイター達 (C) BEN PONTIER/GLORY

3日(土・現地時間)、イタリアはローマのパラマット・マティカで開催されるGLORY03 ROME「Final8」では、5月25日にイリミネーション・マッチが行われたGLOLY WORLD SERIES 70kg Tournamentの準々決勝から準決勝、8人制ワンナイト・トーナメントが行われる。

来年度からは12月2日の日本大会でとり行われるヘビー級トーナメント同様にGrand Slam、16人トーナメントが開催される70キロという階級は、世界中に強豪がひしめくキックボクシング版黄金の階級だ。2009年&2010年と一番最近のK-1 WORLD MAXを2連覇しているジョルジオ・ペトロシアンは、同大会でも大本命であることは間違いない。

トーナメントは水物、何が起こるのか分からないのが格闘技界の定説だが、魔物が潜むといわれたワンナイト・トーナメントも、GLORYのスポーティブな枠順の決定方法により、ペトロシアンが有利に勝ち上がる状況が整った。

選択の順序を決める抽選の後は、選手の意志が大きく反映したK-1方式のトーナメント枠の決定ではなく、予めシードの4選手が振り分けられるというGLORYの有り方では、初戦から優勝候補同士の対戦という顔合わせは見られない。結果、ペトロシアンの対戦相手はカイ・ホーレンバックというMMAでも戦う米国人が準々決勝の相手となっている。

MMA大国の米国だが、ビジネスとして成り立っていないキックのレベルは決して高くない。1回戦では同じ米国人のマイケル・コーリーを46秒で下したホーレンバック、その僅かな試合タイムでは実力を見極めることは難しいが、ペトロシアンがこれまで戦っていた名立たる対戦相手と比較すれば、このルールでの完成度は決して高くないだろう。

相手との間合いを第一に考え、左のカウンターやヒザでポイントを稼ぐ印象の強いペトロシアン、ガードを固めて「目には目を。歯には歯を」的なダッチ・キックボクシング・スタイルよりも、1日に3試合戦うトーナメント戦に向いていることも明らかだ。そんなダッチ・スタイルの旗手ロビン・ファン・ロスマーレンかアルバート・クラウスが勝ち上がってくる公算の高い逆サイド、そして同じサイドのジェムシ・ベキリのようなラッシング・スタイルの相手よりも、そのベキリと戦う元カラテ家のダビッド・キリアの方が、間合い勝負となると嫌な相手かもしれない。

とはいっても、間合いを取る相手にはしっかりと手数で攻勢点を握るファイトを初戦のファイビオ・ピンカ相手に見せつけたペトロシアンだけに、母国イタリアでの開催という追い風を加えて、死角はないといえるだろう。そんなペトロシアンが気を付けないといけないのは、自らの負傷だ。2009年のK-1 MAX Final、準決勝で右の拳を骨折した彼は、年末の魔裟斗戦、翌2010年の佐藤嘉洋戦を回避している。

加えて、昨年9月のIT’S SHOWTIME 70kgトーナメントは右拳の負傷で欠場と、ペトロシアンはある意味、両方の拳がアキレス腱化しており、ペトロシアンのGLORYにおける70キロ制覇の道、一番の敵は自らの拳といえるだろう。

■Glory03 GWS 70kg Tournament 組み合わせ

<GWS70キロT決勝/3分3R>
ジョルジオ・ペトロシアン(イタリア)
カイ・ホーレンバック(米国)

<GWS70キロT準決勝/3分3R>
シェムシ・ベキリ(スイス)
ダビッド・キリア(グルジア)

<GWS70キロT準決勝/3分3R>
ロビン・ファン・ロスマーレン(オランダ)
ティム・トーマス(英国)

<GWS70キロT準々決勝/3分3R>
アルバート・クラウス(オランダ)
サニー・ダルベック(スウェーデン)

<GWS70キロT補欠戦/3分3R>
佐藤嘉洋(日本)
ジャバル・アスケロフ(ロシア)

<GWS70キロT補欠選/3分3R>
ファビオ・ピンカ(フランス)
アレッサンドロ・カンパーニャ(イタリア)

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