【Road to ONE02】宮田和幸との金網組技戦に挑む田中路教─02─「頭が柔らかくなった、素晴らしい時間」
【写真】パウンドを頭にいれないグラップリングが田中に何をもたらすのか (C)MMAPLANET
4月12日(日)に東京都港区のニューピアホールで開催されるRoad to ONE02で、宮田和幸とグラップリングマッチを戦う田中路教インタビュー後編。
グラップリングとMMAは別物であり、MMAグラップリングと純粋グラップリングも別物。ただし、MMAにおいて純粋グラップリングの技術や動きで試合を制することもできる。そのうえで、MMAファイターは純粋グラップリングに時間を割くことや、打撃のないグラップリングを頭の軸にそえて戦い、練習に取り組むことはできない。
だからこそ人生初のグラップリングファイトに向けて、この時間がMMAファイター=田中路教にとって貴重な刻となっていた。
<田中路教インタビューPart.01はコチラから>
──自身のMMAを立て直すために、昨年3月のウラジミール・レオンティブ戦は結果的に良い機会になった感じでしょうか。
「自分の現状が理解できた試合でした。そこは良かったと思っています」
──あの試合は、あれだけドミネイトしながら極め切れなかった。そういう部分で試合後から矯正したことがありましたか。
「取れなかったことに関しては、すぐに試合後に嶋田(裕太)君に聞きました。ただ、あの試合ではフィニッシュできなかったことではなく、根本的な部分が足りていないと感じていました。あの試合から今までそこを改善するための時間だったと思います」
──名前が出た嶋田選手は去年の9月の終わりから米国へ行き、その前も東京の家を引き払って実家のある茨城県に戻っていました。
「今回の試合が決まってグラップリングに集中してスパーリングをしていると、嶋田君に言われたことをドンドン思い出すんです。
本当はそこを普段の練習でも意識してできれば良いのですが、なかなかMMAをやっているとグラップリング一つに集中はできない。そのなかで、今回はそれができました。そうすると『嶋田君があの時、こう言っていたな』とか、『あっ、この場面でこういう動きをすれば良いんだな』ということがあって勉強になったんです」
──MMAに専念すると、忘れがちなグラップリングの動きを思い出すと、MMAに生きるのでしょうか。
「もちろん、そうなると思います。本当は普段の練習で細かく意識できれば良いのですが、そこは僕は不器用で、苦手なの部分で。MMAが軸にあるとここまで、一つ一つ全体を深く掘っていけないんです。それが今回の試合のために凄くグラップリングに集中できたので、良い時間になったと思います」
──では、この試合でしないといけないことは?
「テイクダウンを取ることと、一本を取ることです」
──それが今日のスパーリングで見せていた、変な飛びつき三角に通じているのでしょうか(笑)。
「アハハハ。確かにアレはMMAに通じていないです(笑)。でも、この試合はパウンドなしの攻防になるので……。さっきも言ったようにこれまでグラップリングの練習をしているときも、常にパウンドがあることを意識して動いていたのが、グラップリングの試合に出るので、そこを意識すると勝つ可能性が下がってしまう。なので、飛びつき三角とか普段は出さない動きも仕掛けています」
──MMAは最適化、そして効率の良さが練習に求められると思います。ただし、何が起こるか分からないMMAで田中選手が飛びつき三角で勝つことが絶対ないとは言い切れない。だからこそ、この試合に向けての練習は良い時間になっているという言葉の裏付けだと思います。
「ハイ、頭を柔らかくすることができました。一つに絞られた練習をすることで、こういう動きがあるんだっていうことを感覚としてできるようになったので。またMMAの練習に戻るとできなくなるかもしれないですが……とりあえず、こうやって一つのことに集中して、一つの目標に向かっていくことが素晴らしい時間だというのは、改めて感じています」
──このグラップリングマッチが田中選手のMMAに生きることを期待しています。
「そうですね、そうなると思います。MMAにとってプラスになるし、僕の人生にとってもプラスになると思っています。今回、グラップリングが2試合組まれているんですけど、青木さんと世羅選手のグラップリングと、僕と宮田さんのグラップリングは全然変わった形の試合になると思います。
僕自身、グラップリングの試合は初めてでどういう試合ができるのか、どういう風になるのか分からないのですが……そのなかで魅せられるものがあるんじゃないかと」
──コロナ騒動で大変な状況で、人々に格闘技を見てもらって元気になってほしい?
「う~ん、そういうのは……(苦笑)。世の中、こんな風になっていますが、僕自身は練習ができているので……それが危険かもしれないのですが、とりあえず予防も含め自分にできることをやっていきます」