【Pancrase367】葛西和希戦へ、数奇なMMA歴を持つナチン・サット「モンゴル相撲のプロになりたいと…」
【写真】精悍過ぎる顔つきのナチン。健さん以上だ (C)PANCRASE
4日(日)、東京都港区のニューピアホールで行開催されるPancrase367。そのメインでナチン・サットが葛西和希と対戦する。
Text by Manabu Takashima
Spacial Thanks to Mr.Batnasan
ブラジルや米国、タジキスタンからイタリア、ウルグアイ、そしてモンゴルと外国勢のルートが広がりを見せるパンクラスにあって、モンゴル人ファイターとして来日が発表されたナチンは、実はロシア国籍を持つトゥバ人ファイターだった――と書いても、実際、ピンとくる人は少ないはずだ。
実際、記事を書いている人間が取材中も把握できなかったほどユニークなバックグラウンドを持つナチン。モンゴル相撲=ブフの位を名前に持つ漢は、ONE FFで確かな実績を残し初来日、パンクラスでの試合に向けて希望に満ち満ちていた。
──葛西選手と2日後に戦います(※取材は24日に行われた)。今の調子はいかがですか。
「心身ともに完璧に準備できている。カサイも僕と同じ状態でいてほしいよ」
――ナチンはモンゴル人ファイターとして紹介されていますが、コーチとはロシア語を話していると聞きました。
「僕は生まれも育ちもロシアだ。でも両親ともモンゴロイド、モンゴル人といっても良いトゥバ人で。僕が生まれ育ったトゥバ共和国はとても小さなコミュニティだったから、ロシアの中にありながらモンゴルの文化が残っていた。トゥバ相撲(フレッシュ)といって、モンゴルのブフ(モンゴル相撲)にとても似た格闘技もあったんだ」
――そうなのですか!!!
「だからロシアで生まれ育ったモンゴル人といったところだよ。ロシア語を話していたし、ロシアの大学に進学した。でも、あそこに僕に居場所はなかった。僕はずっとモンゴルで、ブフのプロになりたいと思っていたんだ。で、両親にその夢を打ち明けて、ウランバートルのアヴァルガ大学に入学した」
※アヴァルガ大はブフのアヴァルガで、ナーダムで11度の優勝を誇るバドマアニュンブー・バットエルデネ(現国会議員)が創った体育の専門大学で教師育成学科、理学療法士育成学科、スポーツコーチ育成学科がある。
そしてモンゴル初の五輪金メダリスト、柔道家のナイダン・ツブシンバヤルなど有名なアスリートを何人も輩出している名門大学。
――アヴァルガは、ブフで最上級の位……日本の相撲でいえば横綱に当たる名称ですね。実は最初から気になっていたのですが、ナチンという名もモンゴル相撲の位(鷹の意。日本の相撲でいうと平幕上位)を表す言葉ですよね。それはリングネームですか。
「アハハハハ。本名だよ。リングネームはサムライだよ(笑)」
――侍ですか!!
「そうなんだ。そして、ナチンという名はもちろんブフから付けられた。それだけでなく、英雄という意味もあるんだ」
――押忍。ロシアのトゥバで生まれ育ちモンゴルの名を持つ。そしてモンゴル語も操るわけですね。
「モンゴル語を学んだのは、アヴァルガ大に入ってからだ。だから僕のモンゴル語はネイティブではないんだ。ウランバートルでは、アヴァルガ大だけでなくモンゴル国立大で体育学の修士課程を取っている。結局、モンゴルには6年ぐらいいたよ」
――えぇ、それなのにMMAファイターに?
「実はアヴァルガ大の2年目に背中をケガした。ブフを続けるには、厳しい状態になってしまって……。そんな時にバヤルサイハン・バットバヤルに出会ったんだ」
――バットバヤル氏は黒帯柔術家で、現UFCファイターのニャムジャルガル・ウゥメンデムベレルの指導をしていた人物ではないですか。
「その通りだよ。バットバヤルが『そこまでレスリングができるのだから、ただ柔術やグラップリングだけでなく、MMAの練習も始めるべきだ。絶対にMMAの素質がある』と言ってくれたんだ。そして彼のジムで打撃、MMAを習うようになった。小さなトーナメントで優勝し、本当に1日1日と強くなっていると感じることができた」
――今はロシアで練習をしているということですが、いつ頃までウランバートルにいたのですか。
「2018年にモンゴルに行き、2019年からMMAの練習を始めた。でも2020年にバケーションでトゥバを訪れた時にコロナが起こり、モンゴルに戻ることができなくなってしまったんだ。でもトゥバでMMAの練習を続けることにした。隔離政策も終わり、モンゴルに入国できるようになったとき、僕は軍に入隊していたからすぐに離れることができなかった。
2023年になって軍を離れ、モンゴルに戻ったんだ。それから約2年間ウランバートルにいたけど、去年トゥバに戻った」
――もうONE FFで戦うようになっていましたが、ロシアに戻ったのはよりファイトの機会を得ようと思ったからですか。
「モンゴルにいても、ロシアにいても試合機会は変わらない。僕は海外でキャリアを積んでいこうと思っているから。トゥバに戻ったのは、ただ両親の傍に住むためだよ。今ではトゥバのIdeaJJで練習をしている」
――ONEではカーロス・アルバレスに勝利するなど、4勝1敗と結果を残していたのですが、パンクラスで戦うことを決めたのは?
「まず日本で、日本人選手と戦うことは僕の長年の夢だった。日本文化、日本人選手も大好きだったから。同時にONEでは1年以上、試合が組まれなかった。ずっと練習をしていても試合の機会がない。そんな時にパンクラスと縁ができて、日本で戦うことになったんだ」
――それだけの想いのある日本で戦う葛西選手の印象を教えてください。
「彼は自分に似たタイプの選手だと思う。打撃もレスリングもできるファイターだ。ただ、僕の方が速い。打撃にしても、同じようなテクニックを持っているけど、スピードに違いがある。それに彼より、僕の方がアグレッシブだ」
――では初めての日本の試合で、何を期待していますか。
「個人的にはいつもケージに入る前に、決めていることがある。それは初回、もしくは2Rに試合を終わらせるということだ。いずれにしても、今回は素晴らしい相手と戦うから本当に良い試合になるだろう」
――今後のキャリアに関しては、どのような目標を持っていますか。
「パンクラスで戦う限り、パンクラスのベルトを獲る。シンプルにそう考えているよ」
――ナチン、今日は興味深い話をありがとうございました。最後に日本のファンに一言メッセージをお願いできますか。
「会場に来て、僕だけでなく対戦相手のカサイの応援をしてほしい。素晴らしい試合を皆に見てもらえると思う」
■視聴方法(予定)
2026年10月4日(日)
午後13時15分~ U-NEXT
■Pancrase367 対戦カード
<ライト戦/5分3R>
葛西和希(日本)
ナチン・サット(モンゴル)
<ストロー級/5分3R>
氏原魁星(日本)
リッカルド・パーラ(イタリア)
<バンタム級/5分5R>
荒田大輝(日本)
笹晋久(日本)
<女子アトム級/5分3R>
沙弥子(日本)
ヒメナ・オソリオ(ウルグアイ)
<フライ級/5分3R>
小林了平(日本)
時田一生(日本)
<フェザー級/5分3R>
名田英平(日本)
沢木純也(日本)
<フェザー級2026ネオブラッドT決勝/5分3R>
宮下将(日本)
眞弓田涼介(日本)
<バンタム級2026ネオブラッドT決勝/5分3R>
山野邉嵐(日本)
渡邉泰斗(日本)
<ストロー級2026ネオブラッドT決勝/5分3R>
鎌倉朋哉(日本)
笹生誠哉(日本)
<ストロー級/5分3R>
齊藤翔太(日本)
檀原諒平(日本)
<ライト級/5分3R>
小野瑛大(日本)
下山楓人(日本)
<63キロ契約/5分3R>
濱本透斗(日本)
渋井宏行(日本)
























