【UFN171】水曜日のUFC、注目はグライディングMMAレイ・ボーグ✖ハイプMMAリッキー・シモン!!
【写真】とにかく動き回るシモンをボーグは、封じ込めることができるか (C)LFA
8日間でUFC3連戦。第2弾= UFN171:UFN on ESPN+29「Smith vs Teixeira」が、13日(水・現地時間)にフロリダ州ジャクソンビルのヴィスター・ベテランズ・メモリアル・アリーナで引き続き開催される。
UFCのイベントは格でいえばPPVショー、ESPN中継大会、そしてESPN+配信大会と格付けが存在しているが、今回はESPN+大会でニューノーマル時代にあって、UFC的には日常を取り戻すべきイベントという見方もできる。
またズッファではWEC時代にVersus(現NBC Sports Network)大会を水曜日に開いていたことはあるが、この曜日に行うこと自体がコロナ以前ではまずなかった選択だろう。そんな水曜日のUFCで組まれたバンタム級のレイ・ボーグ✖リッキー・シモンは、MMAの変化を感じさせるという点で注目される。
フライ級では世界王座に挑み、デメトリウス・ジョンソンの伝説となるバックスープレック十字で敗れたボーグは、今回から2度目のバンタム級転向を計り、シモンとの対戦を迎える。シモンはコンテンダーシリーズ勝利からLFAを選択、バンタム級王座を獲得してUFCとの契約を勝ち取った。オクタゴンでは3連勝後にユライア・フェイバーに敗れ、ロブ・フォントにはファイト・オブ・ザ・ナイト獲得も判定負けし、2連敗でボーグと戦うこととなった。
ボーグのMMAはやや遠めの距離で打撃と組みを融合させ、テイクダウンを仕掛けコントロールするというモノ。一発でテイクダウンできなければケージに押し込み、尻もちをつかせては立たせないようトライし、立ち上がる際にバックに回る。詰めて、組んで、抑えて削る。ここからフィニッシュに持ち込んだのは、UFCでは7つの勝利のうち最初の2試合のみ。キムラとRNCによる2つの一本勝ちも、ベストファイト・オブ・ザ・ナイト獲得はない──ボーグのグライディングMMAを顕著に表しているといえるだろう。
一方のシモンもMMAキャリアの序盤には4連続TKO勝ちをし、KOTC、Titan FC時代に肩固めとRNC、UFCではギロチンで一本勝ちがあるもの、決してフィニッシャーというわけではなく、ボーグと同様に消耗戦を勝ち切るというファイターだ。ただし、シモンのMMAはボーグのグライディングとは正反対、動き続け、相手も自分も止まらない。相手が動きを止めれば勝利を手にし、自分が止まれば試合を落とす。その結果、UFCでもファイト・オブ・ザ・ナイトで2度ボーナスを手にしている。
ややサイドに開いたワイドスタンス、胸も開き気味のシモンは、下半身と上半身が連動していないような動きで、圧力をかけては近距離でアッパー、フック、オーバーハンドを左右から繰り出す。イクダウンも豪快なリフトアップ系が多く、落としても特にコントロールに拘るわけではないのが特徴だ。相手がスクランブルを狙うなら、すぐにスタンドに意識を切り替え、立ち上がらない対戦相手にはトップでスペースを空けて抑え、パンチを入れる。
よって相手は殴られながらも、スタンドに戻る機会が巡ってくる。このように相手を動かせ、自分も動きながら、接近戦で打撃を入れるのがシモンの戦い方だ。何よりも打撃戦で、距離が近いこともあり、相手の攻撃を被弾することが少なくない。殴り、殴られる消耗戦で勝ち切るスタイルが、ユライアには一発を効かされ、フォント戦ではよりダメージを受ける結果となった。
同じ削るファイトでも、詰めて、相手の自分の思うように反応させるボーグと、シモンのそれはまるで違う。コンテンダーシリーズ時代のファイターという一言で括るのは乱暴だが、UFC首脳はコンテンダーシリーズでグライディングで勝ったと契約することはまずない。そんな時代のMMAはコンテンダーシリーズやLFAで攻撃>防御のガチャガチャMMAを生み、シモンはさらに一歩踏み込み反撃上等のハイプMMAを戦う。
結果として心身ともに消耗する両者の戦い、新型コロナウィルス感染者の感染拡大とシャットダウンという期間が、彼らの信条とする戦いにどのような影響を与えるのか。UFC249を見ても、出場選手のコンディションは非コロナの時代とは明らかに差があった。
戦い方は対極でも、自らの体も苛めることは変わりない両者。初回から普段のような動きができるのか、あるいは60パーセントから70パーセントぐらいの動きで、3R全般を見ているのか。とにかく仕上がりが大きくモノをいう異文化MMAのぶつかり合いとなる。
■UFN171対戦カード
<ライトヘビー級/5分5R>
アンソニー・スミス(米国)
グローバー・テイシェイラ(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
オヴァンス・サンプレー(ハイチ)
ベン・ロズウェル(米国)
<ライト級/5分3R>
ドリュー・トバー(米国)
アレキサンダー・フェルナンデス(米国)
<バンタム級/5分3R>
レイ・ボーグ(米国)
リッキー・シモン(米国)
<ミドル級/5分3R>
カール・ロバーソン(米国)
マーヴィン・ヴェットーリ(イタリア)
<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
フィリッピ・リンス(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
マイケル・ジョンソン(米国)
チアゴ・モイゼス(ブラジル)
<女子バンタム級/5分3R>
シジャラー・ユーバンクス(米国)
サラ・モラス(カナダ)
<バンタム級/5分3R>
ハンター・アジャー(米国)
ブライアン・ケレハー(米国)
<ヘビー級/5分3R>
チェイス・シャーマン(米国)
イケ・ビジャヌエバ(米国)