【WJJC2016】World レビュー<02>ハファの一強時代=フェザー級??、ライト級はアリアンシ2強×サトシ?!
【写真】ホイラー・グレイシー、コブリーニャを抜き5度の同階級制覇を昨年成し遂げたハファ・メンデス。どこまでその記録を伸ばすことになるのか(C)MMAPLANET
6月1日(水・現地時間)から5日(日・同)にかけてカリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われる。今年度におけるタイムリミット有り&ポイント有りの各階級、そして無差別級における競技柔術世界一を決定するこの大会。今回は軽中量2階級の見所をお届けしたい。
【フェザー級】
昨年、圧倒的な実力で5度目の世界制覇を果たしたハファエル・メンデス(AOJ)が今年もエントリー。兄のギィらとともにベリンボロ等のモダン柔術の威力を世界に見せつけた革命児は、その後周囲でどれだけ技術革新が起ころうが、どんな強豪が出て来ようが他をまったく寄せ付けない強さを誇っている。競技柔術史上最も偉大な選手の一人であるこの怪物を止める選手が出てくるかどうかが、今年も焦点となる。
メンデスの対抗馬として真っ先にその名を挙げなくてはならないのは、やはり長年のライバルであるコブリーニャことフーベンス・シャーレス(アリアンシ)だろう。昨年のADCC世界大会制覇など、ノーギでは未だに頭一つ抜けた力を見せつけているコブリーニャだが、ギありの世界柔術ではメンデスにここ数年勝てず、差をつけられてしまった印象が否めない。
それでも未だに世界最高峰の実力を保持しているのはまぎれもない事実。今年37才となる英雄には、今年も健在ぶりを見せてほしいものだ。
この両巨頭の一角を崩すことが期待される一番手は、今年のヨーロピアン、アブダビ・ワールドプロの両方でパウロ・ミヤオを下したマーシオ・アンドレ(ノヴァウニオン)だ。下攻め全盛の軽量級において、上からのパワフルなプレッシャーでパウロを攻め込むことのできるアンドレは、各大会の無差別級にも精力的に参戦。フィリッピ・ペナ等の世界最高峰の重量級戦士たちと互角に渡り合う底力を見せており、世代交代実現の一番候補と言えるだろう。
さらにこの階級には、そのアンドレを今年のパン大会の準決勝でループチョークで締め落としたケイシーニョことオズワウド・モイジーニョと、サミール・シャントレのアレス勢、またメンデス兄弟の先輩にあたり、かつてコブリーニャと世界一を争ったベテランのブルーノ・フラザト、イサッキ・パイヴァ(サイキョー)らの強豪もエントリーしている。そんな激戦区に日本から挑むのが、杉江アマゾン大輔(カルペディウム・ホープ)と、塚田市太郎(ダムファイトジャパン)の両ベテランだ。杉江はライト級世界一を目指した09年以来の世界の舞台への復帰。現在の力を存分に発揮してほしい。また、何と今年49歳となる鉄人「メガトン」ことウェリントン・ディアス(グレイシー・ウマイタ)もこの世界最高峰の舞台に参戦。どのような戦いを見せてくれるのだろうか。
【ライト級】
昨年クローズアウトしたアリアンシのベテランコンビ、マイケル・ランギとルーカス・レプリの二人が今年もエントリー。特に近年は圧巻の威力を誇るニースライド・パスで強豪たちを撃破しているレプリは、今年も優勝候補筆頭と言えるだろう。さらにアリアンシからはマルセロ・ガウッシアの弟子マンシャー・ケラ、フランシスコ・イトゥラーデといった強豪も参戦、この軍団の牙城を破るのは簡単ではなさそうだ。
打倒アリアンシ勢の第一候補として期待したいのが、日本のボンサイ柔術所属のホベルト・サトシ・ソウザだ。近年はレプリの軍門に下っているサトシは、今年のアブダビプロでは決勝進出を果たしたものの、新鋭のガブリエル・アルジェスに2度スイープをもらって6-4で惜敗、優勝を逃している。そのアルジェスは上の階級に出場する今回、アリアンシ勢の厚い壁を突破して、悲願の世界制覇を実現したいところだ。
さらにこの階級には、昨年は準決勝でランギに惜敗したJTトレス(アトス)、今年のアブダビプロにおいて、不可解な判定ながらもレプリから金星を挙げたルアン・カルバーリョ(ノヴァウニオン)、今年のパン選手権決勝で強烈なアキレス腱固めで一本勝ちし、鮮烈な国際大会黒帯デビューを果たしたエドゥウィン・ナジミ(グレイシー・バッハ)ら注目選手がエントリーしている。
そして、日本からは岩崎正寛(カルペディエム)が参戦。これまで国際大会ではフェザー級で戦って岩崎としては、一階級上げての挑戦となる。近年宮田和幸との練習でレスリング力を強化する岩崎は、春にはニューヨークのマルセロ・ガウッシア道場への出稽古を敢行。ドリームチームと呼ばれる若手強豪たちの中で揉まれてニューヨーク・オープンでガウッシア道場の練習仲間の強豪マンシャー・ケラを倒して準優勝に輝き、さらに力を付けていることを証明した。世界の強豪がひしめく今大会でも、上位進出が大いに期待できるだろう。