【The Fight Must Go On】全ての人のためになる「女子のための柔道の教科書」=読者ファーストの手引書
【写真】女子のため──と謳われているが、今さらながら聞けないという当然として流されている柔道の知識を学ぶの最適の1冊だ
国内外のMMA大会の中止及び延期、さらには格闘技ジムの休館など、停滞ムードの真っただ中です。個人的にも大会の延期と中止のニュースばかりを書かざるをえない時期だからこそ、目まぐるしい日々の出来事、情報が氾濫する通常のMMA界では発することができなかったMMAに纏わる色々なコトを発信していければと思います。
こんな時だからこそ The Fight Must Go On──第8弾は必読の技術書紹介第2回として「女子のための柔道の教科書」を紹介したい。
「女子のための柔道の教科書」は2012年に土屋書店から出版された、柔道の技術書だ。女子のため──というタイトルがつけられているが基本姿勢、受け身、投げ、固め技、打ち込み&乱取り、基礎トレーニング練習メニューと項目が分かれ、逆や絞め以外の柔道のエッセンスが散りばめられた技術書だ。
ボクシング&レスリングが軸の現代MMAにあって、柔道の技はそれほど頻繁に見られるものではない。そして道着がないために、首を固めたり、ワキを差した状態で使用され、柔道オリジナルの動きには見えないことも少なくない。
結果、今どう崩した? どんな風に投げた?と首を傾げることもしばしば。そんな時、この1冊を持っていれば崩し、足の運び方など技の理を解説してくれているので非常に参考になる。
何より同著の優れた点は雑誌や本創りを生業にしているとより理解できるが、非常に丁寧に創られていることが挙げられる。投げ技、固め技にしても、背景が写り込んだ写真と切り抜き写真を使い分け、要点のアップ写真、囲みでの説明に吹き出しなど、非常に見やすい創りになっている。見やすい創りとは、理解しやすさに通じている。
著者には木村昌彦氏、故・斎藤仁氏、松岡義之氏、ロンドン五輪女子代表監督で後にパワハラ問題で監督を辞したものの指導力に定評のあった園田隆二氏、世界柔道4連覇の園田教子氏、2005年世界柔道無差別級優勝の薪谷翠氏、アテネ&北京五輪連覇の谷本歩氏という錚々たる面々の名が並んでいる。
上記の著者の柔道に関する深い知識を、平たく読み解けるよう読者ファーストで創られた「女子のための柔道の教科書」は名著が多い柔道の技術書のなかでも、最高の一冊といえる。