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【ONE FF10】ロシアの猛者パルシコフと対戦、狩野優「この2年半の戦いが何であったか証明する」

【写真】無口な狩野の代わり、長南代表が計量に関して話してくれた(C)MMAPLANET

本日24日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムでONE Friday Fight10が開催され、狩野優がイヴァン・パルシコフと対戦する。

昨年はDEEPでも戦い、目標とするステージはRIZINかと思われた狩野だが、一転ONE FFでロシア人ファイターと戦う。現状、日本にいては経験できない相手との試合は狩野のためのファイトでなく、ONEのヒエラルキーのなかでの生き残り合戦という位置づけだ。ここから先を目指すために、この戦いに集中するという狩野と師・長南亮にハイドレーション対策から、まずは話を訊いた。


──狩野選手、試合前夜にありがとうございます。無事、計量を終えフェイスオフも済ませたようですが、昨年にはチームメイトの若松佑弥選手がハイドレーション失敗を経験しており、ホッとしたところがあるのではないですか。

「ちょっと苦しめられました。いつも通りの減量をしていると、きっと失敗していたと思います」

──そうだったのですか。確か狩野選手はコロナ禍で一階級上&当日計量の経験はありますが、ハイドレーションは初めてでしたね。

「ハイ。ライト級が77キロだったり、フェザー級が70キロというのは経験していますが、ハイドレーションは初めてなので難しくて、ちょっと今回はアドバイスがないとクリアできなかったと思います」

長南亮 狩野は言葉が足らないので自分が付け足させてもらって良いですか。

──もちろんです。宜しくお願いします。

長南 彼は慎重派で、日本でも計量ではアンダーするぐらいに落としているんです。北米ユニファイドならもう1階級下の61.2キロのバンタム級でも行けるんじゃないかというぐらい、計量の前日に65.8キロを余裕で下回っています。普段の練習と摂生で、そこまで行くんです。

──なのでONE階級だとバンタム級で、フェザー級ではないのですね。

長南 ハイ。ただ、そうやって練習をして体重が落ちるモノだから1週間前からハイドレーションがオーバーしている状態で。練習後に測ると、ずっと尿比重が規定を越えてしまって。汗はたくさんでるのですが、尿はあまり出ない体質のようで。凄く濃いのが出てしまうんです。

──う~ん、難しいです。

長南 尿比重は規定はあっても、個人差があるので。水抜きする・しない以前に、普通に慎重に体重を合わせていくと小便が濃い。

──解決策としては、普段からこまめに水を飲んで、ウォーターローディングするような形だったのですか。

長南 そうですね。それと活動時間ごとに尿比重計で細かくチェックしていると、夜になる……活動をしていると尿比重は上がることが分かりました。朝は大丈夫でも、練習すると肝臓のなかのグリコーゲンが不足して尿比重は上がる。そのデータに基づいて計量に臨んだら、余裕でハイドレーションもクリアしました。

狩野は普段から食事も練習もちゃんとしているから、体重をしっかり落とすと尿比重が上がっていた。そこが掴めると、余裕でした。逆に以前の北米ユニファイドの計量の時は、食事も水分ももっと摂って体重を落とそうって言っていたんです。それがファイトウィークに入るころには、もう2キロオーバーとかの状態になっていたので。

─普段から摂生していると何かの時に修正しやすくるわけですね。ともかく、まずはハイドレーションのストレスから無事解放されましたね。

「ハイ。気持ち的にはストレスになっていましたけど、もうクリアできたので達成感もあります。もう試合は試合なんで、そこはもう大丈夫です」

──ところで狩野選手は昨年、EXFIGHTからPOUNDSTORM、そしてDEEPで2試合を戦いました。DEEP出場でてっきり目標はRIZINかと思っていたのですが、ここにきてONE FF出場は少し驚きました。

「DEEP参戦は……何だったんですかね」

──アハハハハ。

長南 中村大介がTRIBEの人間と戦いたい発言をして。ウチのチームの選手とやりたいということで、狩野もその試合は興味があると。でも、中村大介が韓国で試合をしたり、すぐに組まれなかったんですよ。50歳過ぎても現役にいると言っていても、彼が強い間に戦わせたかった。でもタイミングが合わなくて、違う相手と組まれて。それでは狩野に必要な経験を積ませることができなくなります。なら、必要な戦いをしようということでONE FFに出ることに決めました。

──DEEPでは中村選手以外には興味がなかったですか。

「なかったです。すぐに戦わせてもらえると思ったので」

──せっかく佐伯✖長南のラインが復活したのに……。

長南 でも他の選手もDEEPに出ますし。狩野にしても、彼にとって必要な試合が組まれれば、また出るかもしれないです。現状、狩野が戦いたいと思う選手がいなかった。今のチャンピオンでも勝てるでしょ?

「それはもう、気持ちは全然勝てます」

長南 気持ちかよ(笑)。

「いや、勝てます!!」

──アハハハ。言い換えると、ONE FFには今必要な試合があったというわけですね。

「そのうち、海外で国際戦を戦うことになると思っていました。先輩方が通ってきた道、活躍している団体で戦えるのは光栄なことなので」

──そして対戦相手は東南アジア系でなく、タイ在住のロシア人が来ました。

「自分が経験したことがないフィジカルの持ち主と、戦ってきたんだろうって思います。でも自分もそういう経験を積んでいかないと、この先勝てない。ここでロシア人と戦えることは、日本では経験できない貴重な機会になります。ロシア人が来るのかって、正直思いましたけど」

長南 日本で(エフェヴィガ)雄志とか、自分より大きな相手と練習してますからね。何回りか小さくても、やり合えていますからね。トレーナー目線で、パワーの差はそれほど気にしていないです。ただし何も狩野のために組まれた試合じゃない。強い者が勝ち残るという戦いですね。

──では狩野選手、イヴァン・パルシコフにどのような印象を持っていますか。

「組みとか寝技もできるんですけど、負けん気が強いというか。そういう感じですよね、フルラウンド戦い切れる。気持ちが強いです。だから、自分はソレを上回る気持ちの強さで勝負します。そういうところで勝負していかないと、勝てないです。自分の戦いを貫くことが一番大事になってきます。タフな試合になることは覚悟していますけど、一方的に勝つ……試合を通して自分が圧倒していたいです」

長南 技術面は自分が担当しているので。そこは、全部計画を立てています。一方的に勝つことを目指しながら、競り合いになっても勝つ。我々の戦いに、無暗に殴り合うというのは入っていないので。スタミナ勝負、何か必要というところで前に出て仕掛けることができるか。それが根性勝負で、決して殴り合うことではないです。

──ONE FFで戦うということは、今後の目標はONE本戦ですか。

「海外で戦うということです。自分の名前を海外で外国人と戦って浸透させる。海外で戦う、そこしか考えていなくて。そのステップアップのための試合なので、明日の試合より先のことは考えていないです」

──では最後に意気込みの方を改めてお願いします。

「日本で戦ってきた2年半が何だったのかを証明するために戦います」

■放送予定
3月24日(金・日本時間)
午後9時30分~ ABEMA格闘チャンネル

■ONE FF10 MMA対戦カード

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
狩野優(日本)
イヴァン・パルシコフ(ロシア)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
ローレンス・フィリップス(米国)
アクメド・バグスハエフ(ロシア)

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