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【DEEP TOKYO IMPACT2023#02】鹿志村仁之介と対戦、DJ.taiki「一番向いている――いやMMAしかない」

【写真】後方にはしっかりと、あの方の写真が飾られています(C)SHOJIRO KAMEIKE

25日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP TOKYO IMPACT2023 2ndで、DJ.taikiが鹿志村仁之介と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

DJにとっては昨年5月、COROとのDEEPバンタム級暫定王座決定戦で敗れて以来、10カ月ぶりの試合となる。SNS等でCORO戦の判定や、相手の反則に対する抗議文への対応など、DJの不満が目立った。そこでDJに本音を尋ねてみると、熱すぎるほどのMMA愛が返ってきた。


――昨年5月のCORO戦から10カ月、これだけ試合間隔が空いた理由は何だったのでしょうか。

「去年の11月に行政書士の試験があったからですね。試合のオファーはあったけど、ちょうど試験と重なってしまって。試験勉強もありましたし」

――SNSでは現役引退を示唆するような発言もありました。前回の試合後にケージを去ることも頭の中にあったのですか。

「前回の試合だけじゃなく、年齢的に引退のことは常に頭にありますよ。周りの選手や同年代の選手が引退するようになってから……。今は僕より若い選手も引退するようになっていますし。そうなると自分も辞め時なのかなぁと思っちゃいますね。スポーツ選手だから、体力的な問題もあって。どうしても体力は落ちてきますから。

ただ、引退のタイミングって難しいですからね。前回のタイトルマッチで勝って、ベルトを巻いて引退するというのも考えていました。それが分かりやすいじゃないですか。ベルトを巻くっていうのは、キリが良くて。まぁ、どこで引退するかは本当に難しいです。年齢制限とかあれば、それに従いますけど。もしかしたら佐伯(繁DEEP代表)さんから『この試合で引退ね』と言われたら引退するかもしれないし。本当に難しいです。今はそのタイミングを模索している感じです」

――CORO戦の判定に関しては、DJ選手が不満を露わにしていました。

「あのジャッジは何だ、という感じですね。1Rも2Rも取ったと思っていたから、最終回は行かなかったんです。試合を見返せば見返すほど――特に30-26というジャッジは何なんだと思いますよ。内容でいえば、ボコボコにされたわけではないので、消化不良だったという気持ちはあります。だから、『あの試合で最後にするのはな……』と思っていました。本当はチャンピオンになったら引退するつもりだったけど、負けて終わるのはキリが悪くて。DEEPへ送った抗議文の対応についても納得いかないし」

――抗議文に関する一連の流れはDJ選手のブログをご覧いただくとして、これまでもDJ選手とDEEPの間にはトラブルが起こりました。ご自身でも納得のいかない結末を迎えていることもある。それでもDJ選手はMMAを続けているわけですね。

「それは、MMAに人生を懸けているからですよ。今の僕にとっては、MMAが全てで。よく若い選手が『格闘技を辞めてビジネスで成功する』とか言っているじゃないですか。あるいは格闘技でも他競技に転向することがある。でも多くの場合は成功していない。なぜかといえば、その選手は自分の向き不向きが分かっていないから。

僕自身も若い頃から、いろんなことに挑戦してきましたよ。ただ、いろいろ挑戦してきて辿りついたのがMMAだから。だんだんと『これに懸けるしかない』と思うようになってきて、今は若い時よりもMMAに懸けています。自分にはMMAが一番向いている――いや、MMAしかないんだっていう気持ちですね」

――一方、先ほどは「引退も考えている」という言葉がありました。それほど人生を懸けているMMAがなくなった人生を想像できますか。

「別に引退しても完全にMMAから離れるわけじゃないですからね。自分の得意なところを生かして生活していくなら、やっぱり指導もしていくことになりますよ。他に何か人より秀でたものがあるわけじゃないし」

――今はMMAと並行して様々な資格を取得されたり、TOIECにチャレンジしたりしていますよね。正直なところ、SNSを通じてCORO戦以降の活動を見ていると、このまま引退するのか……とも感じていました。

「あぁ、TOIECについては英語でMMAを指導することも考えているからです。やっぱりMMAといえば米国じゃないですか。だから渡米して向こうのジムへ行く時に、少しでも英語に馴染めていたほうが良いですよね」

――DJ選手も2013年にMMAから離れ、語学留学として渡米していた時期がありました。

「あとは日本で指導をするにしても、選手を米国へ送り出す時に自分が英語を話せたほうが、選手のためになると思うので。『英語が嫌だから米国へ行かない』というのは、もったいないですよ。行けるなら行ったほうが良いし、そのために英語を話せたほうが良いから」

――何か新しいことを始めたとしても、すべてはMMAのため……。

「そうです。100パーセント、MMAのためです」

――なるほど。それを聞いて何か安心しました。選手としての話に戻ると、復帰にあたってバンタム級で戦うかフェザー級に転向するかで悩んでいたそうですね。

「それは常に考えてきました。正直、バンタムとフェザーの中間があれば一番良いです。約5キロ刻みで階級が設けられているから、やっぱり不利な選手は出て来ますよね。自分はフェザーではフレームが小さいし、バンタムだと減量の問題がある。どちらの階級でもベストコンディションで戦えているとは思っていないです。2019年にフェザー級で試合をして、やっぱりフレーム的に難しいと思って、もう一度バンタム級まで落としているという感じです」

――今回の復帰戦をフェザー級で行う可能性もあったのですか。

「プロモーターからフェザー級のオファーがあれば、フェザーで出ていました。僕としては、どちらでも良いと伝えています。するとバンタム級でのオファーが来たので。今回がノンタイトル戦というのも大きいです。タイトルマッチと違って、500グラムオーバーまでは認められますからね」

――もう一つ、SNSでは「土屋トレーナーのために復帰する」という発言がありました。この土屋トレーナーについて教えていただけますか。

「土屋治紀さんといって、元プロボクサーのトレーナーです。土屋トレーナーが喜んでくれるから、僕は試合で勝ちたい。今はもう自分のためというより、喜んでくれる人のためにMMAをやっています。僕が人を喜ばせることができるのは、MMAだけですから。

もともと僕が打撃のジムに通っていて、そこで土屋さんがトレーナーをやっていたんですよ。それが2019年ぐらいの話ですね。土屋トレーナーは僕のことを、しっかりと見てくれて。2021年に土屋さんがジムを辞めて、一緒に練習する場所がなくなったので、今は公園で練習しています」

<この項、続く

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