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【NEXUS29】フェザー級選手権試合、山本陣営の提訴にコミッションの回答は「裁定は正当。早期再戦要求」

【写真】MMAPLANETとしては最初から5分3Rで見たい試合です (C)MMAPLANET

17日(木)、NEXUSコミッショナー相原雄一氏の名の下、7日に開催されたNEXUS29で実施されたフェザー級選手権試合の裁定結果に関して、判定負けを喫した山本空良の所属ジムPODの山本喧一代表が行った提訴についての回答書がメディアにも送られてきた。

横山武司が山本を2R終了時点で2-0の判定で下し勝者=タイトル奪取となった一戦。NEXUSにとって初の後楽園ホール大会は通常通り2Rを戦い終え優劣がつかない場合は延長ラウンドが行われるラウンド規定であった一方で、会場の使用時間と試合数の関係から1、2Rで決着をつける方向で10-8判定を増やすという特別措置が取られていた。


横山と山本の試合は、1Rは足関節を仕掛ける横山の攻撃を凌いだ山本がボトムからのヒジ打ちを入れ、流血に追い込みドクターチェックが入るという展開となった。続く2Rは横山がトップでコントロールした時間が長く見られた。

両者アグレッシブに攻め、攻防が入れ替わる好勝負は結果的に19-18、19-19、20-18の2-0のマジョリティドローで横山に凱歌が挙がり、山本は王座陥落。この裁定に対し、山本代表は初回を10-9で横山につけた採点、2Rを10-8で横山とした採点を不服とし、理由の説明と再審議を求めた。

結論としてコミッションの判断は、採点は正当。試合結果は変更しない。両者の早期の再戦を求めるというものだった。

3人のジャッジの見解はそれぞれ以下の通りだ(要約)。

1Rは10-9で山本、2Rを10-8で横山=19-18で横山としたジャッジA。

「初回は積極性、エリアコントロールの横山に対し、外傷としての裂傷を負わせたダメージを評価し山本」

「2Rは大半がグラウンドの攻防となり、上から横山のパンチやエルボーの攻撃が1Rの山本の攻撃を上回っていたので10-8で横山」

1Rは10-9で山本、2Rは10-9で横山=19-19のイーブンとしたジャッジB

「初回は寝技の優勢の横山だがキャッチに至らず、ヒジ打ちをダメージと評価し10-9で山本」

「2Rは横山がグラウンドで攻勢。最終局面の腕十字をニアフィニッシュと判断し10-9で横山」

1Rを10-9で横山、2Rを10-9で横山=20-18で横山としたジャッジC

「初回は山本のヒジ打ちと横山のパウンドの評価を同等とし、積極性、エリアコントロールで上回った横山が10-9 でラウンドを取った」

「2Rに大半を占めた寝技の攻防でテイクダウン、ポジション、腕十字で攻勢だった横山の10-9となった」

コミッションはこれらの裁定理由と試合映像を確認した結果、三者三様であったとしてもルールに逸脱したものではないと判断。とはいえタイトルマッチに関しては通常のルールで行うべきだったとして、早期の両者の再戦を山田峻平代表に要望するとのこと。

ジャッジの判断が分かれるからこそ複数性が採られ、それぞれの判断が異なるのは問題ない。気になったのはジャッジAの初回の山本の攻勢よりも、2Rの横山の攻勢の方が明確で10-8としたという判断だ。この裁定理由だとラウンド毎の判断で構成されるラウンド・バイ・ラウンド方針ではなく、試合全般を通して裁定される勝者選択方式の定義が用いられているのでないだろうか

ジャッジA型の裁定方法で統一されているのであれば、他のジャッジ──特に今回のケースでいえば初回を山本、2Rを横山としたジャッジBも1Rと2Rでどちらがより攻勢であったかという判断の下、2Rを判断しなければならない。

さらにいえば初回の裁定は既に10-9 とつけられており、そこを基準にしてしまうと──仮に2Rの横山の攻勢点よりも初回の山本の攻勢点が上回っていた場合、2Rをどのように数値化すれば良いのか。10-10ではドローになるので10-9.5で横山とし、合計19.5-19で山本の勝利となるのか。そうであれば0.5P刻みの裁定方針を採る必要が出てくる。

上記のような特別ルールが用いられることが、試合前日のルールミーティングで選手に伝えられるというのは、競技性の面で看過できない。この点はイベントの開催が決定した時点──もしくはこの方針が決まった時点で何よりも早く選手サイド、そして試合の行方を追って楽しむファンにも伝えるべきであったかと思われる(この決定がなされたのが、試合前日であれば──それも競技性が軽んじられている)。

今回の裁定は、結論が出た。何よりNEXUSが月曜日の夜であっても後楽園ホール進出を果たしことは、日本のMMA界にとって無条件で良いことだ。そのなかで見えた課題──特別措置が採られるのであれば早期の連絡&裁定方針の統一化を徹底し、通常大会の活性化と再び後楽園ホール大会の実現を願ってやまない。

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