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【RTU ASIA2022】中村倫也が、これからを語る─01─「ケジメをつけることができたとも思っていない」

【写真】大切なのはこれからで。それは全人類に共通すること (C)MMAPLANET

8月10日、EX FIGHTから中村倫也の契約解除というショッキングは発表があった。あれから1カ月、Road to UFC準決勝に向けて動き出している中村は徐々にSNS等でその活動内容を発しているが、格闘技メディアを通じて彼の言葉が伝えられることはなかった。

なぜLDH martial artsを離れたのかではなく、MMAファイターとしての現状とこれからをファンに伝えたいという取材依頼を二つ返事で了承した中村の第一声はファンに対して詫びの言葉だった。


──倫也選手、お久しぶりです。色々なことが起こりました。何があった、どうしたということはあの発表をもって、私も問いません。その一方で自己発信ではなくメディアを通して、自身の心境やこれからについて話を聞かせてほしいと思います。

「ハイ。まず本当に応援をしてくださったファンの皆さんには心配をお掛けして、またガッカリもさせてしまった人もいるでしょうし、そういう方々に対して申し訳ない気持ちでいっぱいです。それでも僕を応援してくれて、ついてきてくれる人たちには僕がこれから開いていく景色を一緒に見ていきたいので、今後も宜しくお願いしますという気持ちです。

同時に色々なことを通して2年間、成長させていただいたことに関して感謝の想いは尽きないです。そういう気持ちは間違いなく、僕の中にあります。恩を返したいという気持ちも正直、あります。でも歩む道が別になってしまったので、時間が掛かってもどうにかして……。ケジメをつけることができたとも思っていないので、そのためにも頑張っていきます。恩はいつの日か返します」

──ファンも今後に関してROAD TO UFCにこのまま出場可能なのか等、気になっていると思います。対戦カードの変更などありましたが、10月23日の準決勝に向けて、どのような体制で挑むことになっているのですか。

「UFCやUFCジャパンからは今回のことについて、何も連絡はなかったです。イリディウムからは今後も契約は継続していくという連絡を貰っていまして、これからもマネージメントをお願いしようと思っています。これからUFCで戦っていけるようになっても、イリディウムのマネージメントで活動していくことになります。もちろんRoad to UFCも継続参戦します」

──これから試合まで45日、大きく生活形態も変わったと思います。今日はここ渋谷での取材となりましたが、以前なら自宅から20分もあれば到着していたでしょう。それが埼玉の実家から来られたと伺いました。

「そうですね、今は東大宮から徒歩圏内にある実家に戻っています」

──一番心配なのは、そこです。フリーとなり試合に向けて、練習環境が整っているのか。何よりも、これまで足を運んでいた都内の練習場所など相当に遠くなってしまいます。私もかつてピュアブレッド大宮によく足を運んでいたのですが、もう電車を一本逃すと大きくスケジュールが乱れるということがありました。

「遅延も多いですしね(苦笑)。練習に関しては、こんな状況でも力を貸して下さる方がいてくれます。実家の近場だと久喜にではパーソナルで、もともとピュアブレッドにいた坂本(光弘)さんと島村レミーガ直希さんにリバーサルジム久喜WINGでミットを持ってもらって母校の専修大学、もともと仲が良くて学生時代や卒業してからも練習していた早稲田大学でレスリングをしています。

土曜日か水曜日、週一でパンクラスイズム横浜での練習は絶対に行きたいと思っています。今は(河名)マストも通っていますし、やっぱり(松嶋)こよみさんとも練習をしたいので。それと今日もこれからプライベートレッスンがあるのですが、10月はもともと風間(敏臣)選手と戦う予定だったので、トライフォースで芝本(幸司)先生、澤田(伸大)先生のパーソナルを受けています。

トライフォースで習った寝技の技術を頭に入れて、家で弟(剛士)も寝技がデキるので居間にマットを敷いて打ち込みをやって(笑)。あとは元々MMAに転向することになってから、色々とお世話になっていた鬼木(貴典)さんは顔が広いので、色々なところに連れて行ってもらって練習しています」

──ぶっちゃけて、門前払いはなかったですか。

「それはなかったです。ただ本当の本当という部分で、KRAZYBEEに移籍しようという考えもありました。子供の頃に最初にレスリングでケツを叩き合って来たアーセンが今、世間から笑い者にされて……ケガもして、苦労をしているのを時々ですけど見てきたので。アーセンも凄くやる気になっているし、一緒に世間を見返してやろうって。やっぱり、そういう血は黙っていなかったです。

だからこのタイミングでアーセンのケツを叩いて、一緒に上がっていきたい気持ちが強かった。でも、早急に動くと迷惑が掛かる人も出てくるかもしれないので、すぐに所属選手になるのではなくて、まずはフリーで活動を始めようと決めました」

──アーセン選手、平田樹選手に帯同していたNYで何日間か一緒させてもらったのですが、凄く礼儀正しい一面がありつつ、良くも悪くも世間の目を気にしていないですよね(笑)。

「アハハハハ。ハイ。僕もアーセンも、強くて自由なファイターを見て育って。それが格好良いと思ってきたので、空気を読むとかバランスが取れていないんですよね」

──アーセン選手も結果を残したいでしょうし、勝負を賭けると言っていました。

「ハイ。一緒になって、お互いもう一度一緒にケツを叩き合えば、絶対に強くなれます。なにより、心の底から楽しく格闘技ができると思います。今、KRAZYBEEが工事中なので落ち着けば、所属でなくても一緒に練習する予定です。

僕とアーセンが一緒にいると、どういう風に見られるかも分かっています。そして、この腰を据えてないように見える状態だと、周囲から厳しく見られることも。やはり色々とエネルギーを消耗して、練習量が少なくなっていた時期があったのは事実なので。もう一度、上げる必要があることも自覚しています。ただ、過去にその焦りからケガをしてきたということがあるので、その経験を糧にして……創り切ろうと思っています」

<この項、続く

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