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【Fight&Life】UFC世界ライトヘビー級王者イリー・プロハースカ「ニンジャとサムライには敵わない」

【写真】この右腕を挙げるポージングが印象深いイリーだ。英語は堪能では決していない。しかし、しっかりと自分の言葉で噛みしめるように発言してくれる──本当にナイスガイ (C)MMAPLANET

26日(金)に発売されたFight&Life#92にチェコ人初のUFC世界チャンピオンとなったイリー・プロハースカのインタビューが掲載されている。
Special thanks to Mr.Shingo Kashiwagi

6月12日にシンガポールで開催されたUFC275における歴史に残る激闘で、グローバー・テイシェイラを破ったイリーは、マーシャルアーツの本質に拘りを持つ。

そんな彼のインタビューから一部抜粋し、チェコの格闘技事情について語ったことをここでお届けしたい。


──私自身、もう四半世紀も昔にプラハを訪ねたことがあるのですが、UFCが活動を始めて2年目でした。あの時、何かMMAに通じるモノは全く目につかなかったです。

「チェコはタイボクシングがコンバットスポーツのなかでは、最も人気がある国だった。タイボクシング……ムエタイ、そしてボクシングも歴史があるよ。マーシャルアーツ……合気道、空手、柔道も同様だ。つまりマーシャルアーツが息づいている国なんだよ。

ただし、誰もが知っているというほど普及はしていない。だからこそ、一般の人たちにマーシャルアーツの本質、そこに関わる人間の生き方を知らしめ、その素晴らしさを浸透させることを目標にしてきた。それこそがチェコにおけるマーシャルアーツの地位向上だと考えている」

──日本の中高年にとって、チェコのスポーツ選手といえばパベル・ネドヴェド、トマシュ・ロシツキー、カレル・ポポルスキーというサッカー選手がその多くを占めると思います。ただし、今や日本ではUFC世界王者になったイリーこそ、一番有名なチェコ人アスリートのはずです。

「ニンジャとサムライには敵わないよ(笑)」

──ニンジャとサムライはチェコ人アスリートではないですから(笑)。

「アハハハ。そういうことだね。ただサッカーはチェコでは1番人気のあるスポーツではないよ」

──そうなのですか!!

「1番はアイスホッケーだろう。サッカーは2番だけど、この2つのスポーツの人気は他を圧倒しているよ」

──さきほどマーシャルアーツも息づいていると言われていましたが、イリーも元々は空手出身ですね。

「そうだよ。松濤館空手だ」

──伝統派空手の面々は、それぞれのスタイルのトーナメントがあると思いますが、最大の組織はWKFで東京五輪では正式種目にもなっていました。とはいえ、あのピョンピョンと跳ねて、当てるスタイルは空手の本質から遠く離れたという見方もなされています。

「ああいう空手のコンペティションには興味がない。ただし、今も空手の稽古は続けている。タイミング、テクニック、突きをMMAでも応用しているからね」

──松濤館空手のそれらの要素は、MMAでも生きると?

「そうだよ。だから、今も好んで使っているんだ」

──ところでベルトを巻いたグローバー・テイシェイラ戦ですが、まさに歴史に残る激闘を制しました。とはいえ、多くの攻撃を受けたのも事実です。その辺りはどのように考えていますか。

「勝負とは時には、テクニックの優秀性を見せるモノ。時には駆け引きの巧妙さを見せるモノでもある。そして、気持ちを見せる時もある。ウォリアー・スピリットを見せる試合が存在している。グローバーとして戦いは、この気持ちを見せる試合だった。僕としては、それがデキたので良い試合だったよ」

※チャンピオンになって何が変わったか。今後、どのようなUFCチャンピオン道を歩むつもりか。そして海外でのトレーニングについてイリー・プロハースカが語ったインタビューが掲載されたFight&Life#92は8月26日(金)より発売中です。

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