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【BRAVE CF58】育成路線も国際戦。ビジネス度外視、キム・テキュンの相手は元UFCロマン・ボガトフに

【写真】キャリア12勝1敗のボガトフ。キム・テキュンは9勝0敗だ(C)BRAVE CF

10日(日・現地時間)、BRAVE CFが30日(土・同)に韓国はインチョンのインチョン・サムサン・ワールド体育館で開催するBRAVE CF58のメインで、同国のエースといえるキム・テキュンがロマン・ボガトフと対戦することが発表されている。

ロシアのウクライナ侵攻に関して、対ロ経済制裁に加わる韓国はロシア側からも非友好国リストに挙げられている。とはいえ欧州、米国、日本と同様に韓国の国際企業の本音もロシアとの関係を維持したいことには変わりない。

そんななかキム・テキュンの相手がロシアのボガトフに決定──The Beast Championshipとの共同開催ながら、BRAVEの本気度が伝わってくるメインだ。


ボガトフはM-1ライト級王者からUFCに進出も、レオ・サントス戦でグラウンドでの頭部へのヒザ蹴りで2Pのマイナスを含め、アイポークなど反則もあり1度の判定負けでリリースされ、BRAVE CFを新天地に選んだ。

BRAVE CFでは昨年1月に11勝1敗(※当時)のナルザン・アキシェフ戦では初回にバッククラブからRNCを取られかけるピンチをしのぎ、テイクダウン&コントロールで逆転勝ちを収めた。第2戦は6月のアブドゥルムタリプ・ギエルベコフ戦。バーレーンのKHK MMA所属のダゲスタン人ファイターを相手に、初回に打撃に圧倒され2Rもスピニングバックフィストでダウンを喫しながら、判定勝ちを収め現時点で2連勝中だ。

キム・テキュンもアキシェフ戦で初回にフックを被弾してダウンを奪われており、そこからの逆転勝ちしているだけに実力は伯仲しているか。いずれにせよ、キム・テキュンはいかにテイクダウン狙いを切り続けることができるか。

今時珍しく、ブレイクが余り入らないBRAVE CF方式のレフェリングが韓国でも見られるのであれば、勝負の鍵はその一点に集約されるといっても過言でない。

そんなキム・テキュン✖ボガトフのフェザー級戦は、バッバ・ジェンキンスの返上したベルトを巡り、年内には対戦もあり得ると見られていた。その両者が、タイトルを賭けることなくインチョンで相対する──望外な一戦ともいえる。

実のところBRAVE CFではキム・テキュンの対戦相手に日本人ファイターとも交渉していたが、複数回マルチイヤー契約がまとまらず今回は実現しなかった。BRAVE CFに必要なのはBRAVE CF内におけるストーリー創りで、王者がUFCへ──というフィーダーショー的な参戦を求めてない。それだけに日本人ファイターの参戦は実現しなかったが、キム・テキュン✖ボガトフは彼らのポリシーに則したマッチアップといえる。

この他、韓国から出場がアナウンスされていた4選手のカードも明らかとなっている。元Road FCミドル級王者のラ・インジェは南アフリカのミズワディレ・ハロンワと戦う。

2020年11月のドミニク・ショーバー戦以来、1年5カ月振りの実戦復帰となるハロンワはキャリア6勝1敗、唯一敗北を喫した相手は現UFCのカムザット・チマエフだ。チマエフのテイクダウン&コントロールに屈したが、ハロンワはワンツーからスピニングバックフィストでのKO勝ちもあるアグレッシブなストライカーだ。

スピニングバックフィストで勝利した際には、回転弾を受けた相手の意識が跳び、足がふらつく状態から倒れるまでの1秒もない間に2発、3発と追撃のパンチを入れている。勝負時を逃さないハロンワ、その殺傷能力の高さはラ・インジェにとっても非常に怖い相手となるだろう。

大ベテラン=イム・ジュンスは、同じ韓国からヘビー級の新鋭キム・ミョンワンと戦う。39歳、26戦目のイム・ジュンスに対し、キム・ミョンワンは24歳で戦績4勝1敗と、世代交代マッチの様相を呈している。

昨年6月にDouble GFCで女子アトム級王座決定戦に出場したホン・イェリンは、バリ在住のシンガポール人ファイター=、ジリアン・ゴーと戦う。この対戦も一度は日本の老舗プロモーションでベルトを巻いていたベテラン人選手に声が掛けられたが、経験値が違うという理由で見送りに。経験の差が論じられるのはK-MMAの慣わしとは考えにくく、BRAVE CF本体の意向と思われる。

「ネームバリュー、戦績は問わない。BRAVE CFが育てる」と言うモハメド・シャヒドBRAVE CFの方針に則したケースでは、キャリア3勝0敗1分のチョン・ヨンスが、サウジアラビア人ファイターで4勝0敗のアブドゥラ・アルクァフタニと戦うフェザー級マッチ。そしてロ2戦目のチャン・ユンソンの2勝0敗のフランス人選手アクセル・ソラと戦う(※ソラはIMMAFなどアマで19勝5敗のキャリアがある)77キロ契約戦、この2試合などは育成路線と捉えることができる。

この他、既報の通りマルチン・バンデル✖ルイス・フィリッピ・ディアズ、ミハイル・コートルツァ✖マチェク・ギエルシェウスキ、ロランド・ディ✖オ・テホクが組まれるBRAVE CFにとって初の韓国大会。

タイトルを巡る戦い、育成路線ともに国際戦が組まれており──いかにもーレーン王国が司るMMAイベント、ビジネス度外視、新しいMMAワールドの構築を目指す戦い模様が繰り広げられそうだ。

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