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【ONE130】平田樹と対戦、策士? ジヒン・ラズワン「彼女はエキサイティングな打ち合いはできない」

【写真】ZOOM取材でも、最後にこのキメ。平田樹は相当にイラつくだろう(C)MMAPLANET

26日(土・現地時間)、シンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE130「ONE X」で、平田樹と対戦するジヒン・ラズワン。

猫耳のヘッドフォンに象徴される可愛い子ちゃんキャラにイライラを隠せない平田に対し、彼女は相当なやり手、策士かもしれない──もしくは、自己ちゅうで勘違いをしているのか。

確実に平田をイラつかせる言葉をジヒン・ラズワンは言葉にし続けた。


──9日後に平田樹選手との試合が迫ってきました(※取材は3月17日に行われた)。今の調子はいかがですか。

「もう準備はできているわ。ONEの10周年記念大会だし、アドレナリンが充満していて早々に仕上がっている感じね」

──ところで2月の山口V.V芽生選手との試合ですが、裁定が日本では問題視されました。つまり芽生選手の勝利ではなかったかと。私もそう思っていますし、平田選手もそう言っています。勝ち名乗りを受けるまで、ジヒン自身は裁定がどうなると思っていましたか。

「正直に言うと、私は勝っていると思っていたわ。いくら彼女がグラウンドでコントロールをしていても、結果的に私はエスケープできた。決して彼女がポジションをドミネイトできていたわけじゃないし、グラップリングマッチだったらメイが勝っていたでしょうけど、あの試合はMMAで私の方が打撃でダメージを与えていたから。

ジャッジは私の打撃、エスケープとメイのコントロールを総合的に判断して、私を勝者に選んだと思っている」

──エスケープが評価の対象になるのですかね。そこは私も再確認が必要です。

「いずれにせよ、彼女の方が私よりダメージを受けていたことは確かよ」

──う~ん、手数はジヒンの方が多かったことは絶対です。でもダメージはどうでしょうか……。ダメージがあれば、あんな風にテイクダウンできないのかと。

「実際、私は試合後も顔に傷がなかったわけで。2Rに右を被弾して、バランスを崩したけどあれはノックアウトじゃなかったわ。メイはノックアウトと感じているようだけど。私は彼女の攻撃からエスケープできて、ダメージはなかった。エスケープすることは大変だったし、でもデキた。私が判定勝ちした試合よ」

──裁定が論議の対象となった時に混同されがちですが、勝ったジヒンが非難されているわけでは決してないです。選手はベストを尽くして戦った。負けた選手が不満を感じた時、勝因を列挙すれば相手選手を非難するような形に見えてしまいますが。我々も自己裁定と違う時、そのズレをすり合わすために疑問点を確認している次第で。

「それは分かっているわ。あの結果は番狂わせだったし、多くの人が驚いたはず。でもファイトはファイト、私たち2人ともベストを尽くして戦ったから。それをジャッジがああいう風に判断した。それがファイトだから」

──ともあれ、芽生選手と互角の試合で判定勝ちした。その点はどのように思っていますか。自信になりましたか。

「彼女は私にとってレジェンドだし、このスポーツで多くのことを成し遂げてきた選手よ。ただ私はどの試合だって自分を信じて、自信をもって戦っているわ。それだけハードトレーニングをしているし、練習仲間、コーチ、自分を信じないと戦えないから。メイに勝ったから自信がついたわけでなく、自分に自信がないとメイと戦えなかった」

──素晴らしい考え方ですね。芽生選手との試合が2月11日、3月26日の平田選手との試合はいつ頃決まったのですか。

「もともとメイと戦った大会で、最初の相手はイツキだったし。その試合は実現しなくて……そうね、メイとの試合から2週間、3週間後かな。また話があって、合意したのは。10周年記念大会に出られることは、とてもエキサイティングなことよ」

──では平田選手の印象を教えてください。

「才能豊かで、とても強い。常に相手にダメージを与えようと戦っている選手ね」

──先日、日本で行われた記者会見にリモート参加しました。いかがでしたか。

「う~ん、日本語で進行していて私は何が起こっているのか理解できなかったから(笑)。でも参加できて良かったわ。ここまで日本でもONE Xが注目されているんだって感じられたから」

──なるほど(笑)。確かに平田選手が過激な言葉を吐いても、司会者が訳さないくださいというリードをしていましたからね。自分は『いや、通訳してよ』って思っていましたけど(笑)。

「アハハハハ。スポーツマンシップに基づいて、試合前にはダーティーワードは使うべきじゃないわ。どれだけ自信があっても、対戦相手をけなすべきじゃない」

──あの会見後の個別インタビューで、平田選手はジヒンと芽生選手との試合は「裁定はおかしいけど、試合はフィニッシュをするように戦わないといけない」という風に言っていました。つまり彼女はジヒンをフィニッシュすると。

「フフフ。彼女は私を極めることはできないわ。色んな人が判定になると、色んなことを言うけど──私はファイトキャンプでやってきたことを、試合でやり切ることができる。そうやって自信をもって戦うことができるから。

彼女の位置取り、パンチを打つタイミング、寝技になった時のコントロールの仕方。全てキャンプで頭に入れたから、彼女は自分が思うように戦うことはできない。決してイツキの思い通りにはならないわよ。

私はこれまでジナ・イニオンとデニス・ザンボアンガに負けたけど、フィニッシュされていないし。絶対に勝つなんて言えないけど、自分がどういう風に戦えるのかは理解しているつもりよ。イツキは私をフィニッシュできない」

──平田選手と戦ううえでジヒンのアドバンテージは何でしょうか。

「私の方がウェルラウダ―ということかな。打撃もできるし、グラウンドでも戦える。そうね、私は打撃だけで勝てるし、グラウンドだけでも勝てる。でも、イツキは投げて、背中をつかせないと勝てない。打撃も単発だし。彼女はスタンドでエキサイティングな打撃の交換はできないから」

──……。平田選手は会場にファンがいることがエネルギーになる選手です。今回、2年振りに多くのファンが戻ってくることをどのように思っていますか。

「ファンの前で戦って声援が聞こえてくると、よりワクワクするのは分かるわ。でも、観客のことよりもファイトに集中しないと。そういうことを考えること自体、戦うことにプレッシャーを感じている証拠ね。彼女はファンの支持を多く得ていることで、そこを考えないといけなくなっている。だからファンの存在も良し悪しかと思うわ」

──では会場にいる、いないに関わらずファンにどのような試合を見せたいですか。

「ベストを尽くすこと。全力で勝ちに行って、ジャッジが私を勝者にするのではなくて、私が勝っているからジャッジが私を選ぶ。そういう試合をするわ。2人とも相手の顔を殴りたいわけだし、きっとエキサイティングな試合になると思うわ」

──日本人選手と戦うジヒンですが、その日本のファンに一言頂けますか。

「コンニチワ。日本のファンの皆、ONEをサポートしてくれてありがとう。もちろん、皆がイツキ・ヒラタを応援することは分かっているわ。でも、とにかく私はベストを尽くすから、そこを見てね」

■放送予定
3月26日(土・日本時間)
午後1時30分~ ABEMA格闘チャンネル
午後9時00分~ABEMA PPV ONLINE LIVE

■ONE130 「ONE X」対戦カード

<ONE世界女子アトム級(※52.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アンジェラ・リー(米国)
[挑戦者]スタンプ・フェアテックス(タイ)

<フリースタイル・フライ級(※61.2キロ)/3分4R>
ロッタン・シットムアンノン(タイ)
デメトリウス・ジョンソン(米国)

<ONE世界フライ級 (※61.2キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]アドリアーノ・モライシュ(ブラジル)
[挑戦者] 若松佑弥(日本)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
秋山成勲(日本)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ウェイン・パー(豪州)

<ONEキックボクシング世界フェザー級選手権試合/3分5R>
[王者]スーパーボン・シンハマウィーン(タイ)
[挑戦者]マラット・グレゴリアン(アルメニア)

<ムエタイ世界バンタム級選手権試合/3分5R>
[王者] ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
[挑戦者] フィリッピ・ロボ(ブラジル)

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
【王者】カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
【挑戦者】秋元皓貴(日本)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ハム・ソヒ(韓国)
デニス・ザンボアンガ(フィリピン)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
平田樹(日本)
ジヒン・ラズワン(マレーシア)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キジュ・ジェウン(韓国)
タン・カイ(中国)

<キック・フェザー級ワールドGP決勝/3分5R>
チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン)
シッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)

<グラップリング・ミドル級 (※93.0キロ)/15分1R>
ライニア・デリダー(オランダ)
アンドレ・ガルバォン(ブラジル)

<ムエタイ・ライト級/3分3R>
ニキー・ホルツケン(オランダ)
シムサット・クリンミー(タイ)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ジャレミー・ミアド(フィリピン)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
スティーブン・ローマン(フィリピン)
佐藤将光(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
アミール・カーン(シンガポール)
高橋遼伍(日本)

<ヘビー級(※70.3キロ)/5分3R>
カン・ジウォン(韓国)
ポール・エリオット(英国)

<グラップリング女子アトム級(※52.2キロ)/12分1R>
山口V.V芽生(日本)
ダニエラ・ケリー(米国)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
澤田龍人(日本)
仙三(日本)

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