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【UFN199】オクタゴン初陣、バルセロス戦前のビクター・ヘンリー「日本の皆の心を僕はUFCに持ち込む」

【写真】ビクターからは溢れんばかりの日本への想いが伝わってきた (C)MMAPLANET

18日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXで開催されるUFN199:UFN on ESPN+57「Lewis vs Daukaus」にビクター・ヘンリーが出場し、ハオーニ・バルセロスと対戦する。

キャリア25戦のうち、日本で12度戦ってきたビクター。2014年のGRANDSLAM旗揚げ戦の所英男戦から、パンクラス、DEEP、そしてRIZINを舞台に上田将勝、中島太一、石渡伸太郎、アラン・ヤマニハ、大塚隆史、元谷友貴、金原正徳とJ-MMA界のトップ・バンタム級ファイターと激闘を繰り広げてきたビクターのUFC出場には、外国人選手が戦えないコロナ禍の日本の状況があった。

そこに届いたUFCのオファー、ビクター・ヘンリーは日本総合格闘技界を代表してオクタゴンに足を踏み入れる。


──ビクター、お久しぶりです。

「Long time no see you、、、Too long time……。本当に久しぶり、久しぶり過ぎるよ。ありがとう、僕のことを取り上げてくれて」

──いえいえ、当然のことです。それにしても突然のUFC出場には、正直驚きました。

「日本で起こっていること……日本の実情が全てだよ。日本で戦うことが困難な状態がずっと続いてきた。今も続いている。日本では米国人ファイターが戦えない状況が当たり前になってしまった。それでも僕は戦い続けないといけない。そんな時にUFCがチャンスをくれた。だから今、ここにいるんだ」

──日本でもDEEPの佐伯代表は『隔離措置がなくなればビクターを呼びたい』と、いつも言っていました。RIZINのバンタム級GPのルースターに当然のようにビクターはリストされていたでしょう。ただし、パンデミックがそれを許さなかったです。

「サエキサンが日本で戦う機会を与えてくれたことは、本当に感謝している。でもパンデミックが起こり、隔離措置が取られる限り日本では戦えない──本当に辛かった。家に戻れない、そんな気持ちだったよ」

──11月に労働ビザを持っている外国人は短期の隔離で来日することが可能になった途端に、オミクロン株が発生し新規の入国が認めらなくなるなど、かつてない厳格な水際対策を日本政府を採ることになりました。ただ、それ以前にVJTにチリ人選手が来日したり、RIZINも大晦日には海外の選手を招聘する予定だったでしょうし、またビクターが日本に来られるという期待もあったのですが……。

「大晦日に関して、僕のところには何か連絡があったわけではなかった。僕は日本で成功し、それを日本のファンが見続けてくれたファイターだ。でもソファに座って、ただ待つだけというわけにはいかない。何か行動を起こす必要があるんだ。皆、1年間そういう状態で待ち続けたからね。でも、もう動かないと。それでも、いつだって僕にとって日本がホームだというのは変わりないよ」

──Parus FC、LXFで試合をしたことが、ビクターが日本で戦いたいという意思表示をしているのだと感じていました。

「その通りだよ。だからUFCと契約したからといって、僕はルーツを忘れることにはならない。日本での経験、日本で養った技術、そして日本の皆の心を僕はUFCに持ち込む」

──ビクターがどれだけ日本を愛していようが、世界最大のプロモーションで戦うチャンスを得たことはファイターとして絶対的に良いことです。UFCからオファーがあった時、どのような気持ちになりましたか。

「ちょうど、腹がいっぱいになるまでヤキニクを食べていたんだ(笑)。『2週間で体重を落とせるか』ってことだった。答えは『Let’s do it』、それしかないよ。しっかりと体重を落として戦う。それが闘魂ってものだろう。

『8週間必要だ』とか『準備期間がない』ってオファーを断るのは、好きじゃない。僕は世界中で、いつでも戦ってきた。それが日本で学んだ気構えだよ。戦う機会を得れば、そこに行って戦う。それだけのことじゃないか。UFCからオファーがあった。なら、戦う。日本のMMAファン、日本のMMA界とともにね」

──日本のファンもUFCで戦うビクターを応援し続けるはずです。UFC初陣に専念しないといけないビクターですが、一つこの試合と関係ない質問をさせてください。

「構わないよ」

──RIZINバンタム級GPはフォローしてきましたか。

「もちろん。バンタム級の戦いは常に注意を払っている。いつ僕と戦うことになるか分からないからね。バンタム級GPも、誰が勝ち残るのか注意して見てきた。ホリグチのBellatorの試合も視たよ。タイミングが合致すれば、誰とだって戦うことになる。

ホリグチが契約期間を終えて、またUFCと契約するかなんて分からない。でも、バンタム級のコレといった選手の試合は常にチェックしている。カイ、彼のことも見てきた。力をつけている。オギクボの試合もね。彼らとはUFCで戦うこともあるかもしれないだろうね」

──ではGPで、誰が優勝すると思っていますか。

「ナオキ・イノウエだ。彼はどの局面でも戦える。ソウゴウカクトウカとして、たくさんの勝ち方ができて、より完成度が高い。カイはパワフルだ。KOできる力がある。ただ、レスリングと柔術はどうなんだろう? オギクボも強い。でもカイと戦った時に見えた課題を克服できているのか。

イノウエは武器が多く、リーチも長い。素晴らしい柔術ゲーム、キャッチレスリングの技術を備えている。イノウエが本命だよ」

──なるほど。ありがとうございます。とはいえ土曜日に戦うハオーニ・バルセロスは井上選手に負けないウェルラウンディット・ファイターです。

「ハオーニはパワフルだよ。フェザー級から落としてきた選手だからね。試合の時は相当大きくなっているだろう。ボクシングでプレッシャーを掛けて、ベースのレスリングも強い。ただ、グラウンドに持ち込んできたら僕にとっては都合が良いよ。ただし、僕はイージーファイトなんてしたくないんだ。

ハオーニが全能力を使って、僕と戦うことを望んでいる。僕と相対したハオーニは、きっと驚くだろう。彼だけじゃない、次の試合で世界を驚かせる」

──北米MMAファイターとは違ったファイト・フィロソフィーを持つビクターだからこそ、UFCでの戦いが楽しみです。

「任せてくれ。いつだってしてきたように、見ている人が驚く戦いをする。多くのファイターが、ただ勝つためにたかっている。そんなのは本当の意味で、ファイトじゃない。日本の戦い方を見せるよ」

──ビクター、ありがとうございました。ずっとビクターを見てきた日本のファンに一言お願いします。

「皆のことが恋しい。ホント、皆を愛している。日本に戻る日が楽しみでならないし、ゴーゴーカレーが食べたくてしょうがないよ!!」

■視聴方法(予定)
12月19日(日・日本時間)
午前6時00分~UFC FIGHT PASS

■UFN199対戦カード

<ヘビー級/5分5R>
デリック・ルイス(米国)
クリストファー・ダカウス(米国)

<ウェルター級/5分3R>
スティーブン・トンプソン(米国)
ベラル・モハメッド(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
アマンダ・レモス(ブラジル)
アンジェラ・ヒル(米国)

<バンタム級/5分3R>
ハファエル・アスンソン(ブラジル)
リッキー・シモン(米国)

<ライト級/5分3R>
ディエゴ・フェヘイラ(ブラジル)
マテウス・ガムロ(ポーランド)

<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス(米国)
カブ・スワンソン(米国)

<ミドル級/5分3R>
ジェラウド・マーシャート(米国)
ダスティン・ストーツフス(米国)

<バンタム級/5分3R>
ハオーニ・バルセロス(ブラジル)
ビクター・ヘンリー(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ジャスティン・タファ(米国)
ハリー・ハンサカー(米国)

<女子フライ級/5分3R>
シジャラ・ユーバンクス(米国)
メリッサ・ガト(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
シャルル・ジョーダン(カナダ)
アンドレ・イーウェル(米国)

<女子フェザー級/5分3R>
ラケル・ペニントン(米国)
メイシー・シェエソン(米国)

<ヘビー級/5分3R>
ドンテイル・メイス(米国)
ジョシュ・パリジャン(米国)

<ライト級/5分3R>
マット・セイレス(米国)
ジョーダン・ラヴィット(米国)

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