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【DEEP JEWELS35】ゆりな戦へ、藤田翔子─01─「『藤田家は打撃で負けたらいけない』と」

【写真】空手ができるが故に、MMAでの戦いに悩んだ。しかし、そこを通り越せば藤田の蹴りが大きな武器になることは間違いない(C)MMAPLANET

11日(土)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS35で、藤田翔子がゆりなを相手にフライ級転向初戦を行う。

現DEEPフライ級暫定王者の藤田大和を弟に持つ藤田翔子は、極真会館全日本女子ウェイト制準優勝の実績を引っさげ、MMAに転向した。しかし、そのキャリアは決して平坦なものではなかった。勝てない、強くなりたい――そんな苦悩の日々を乗り越えられたのは、やはり弟・大和の存在が大きかった。


――藤田選手は空手を引退してから期間を経てMMAに転向しています。なぜ、MMAを始めようと思ったのでしょうか。

「なぜなんでしょう……自分でもMMAをやろうとは思っていなかったです(苦笑)。最初は大和に誘われて、Me,Weのキッククラスにお邪魔させていただいたんです。すると村田夏南子ちゃんから『蹴りを教えてください』と言われて、一緒に練習しているうちに、まんまと――(笑)」

――もしかしたら村田選手も山﨑剛代表から『藤田さんをMMAに誘おう』なんて指令を受けていたのではないですか。

「アハハハ、どうなんでしょうね(笑)。ちょうど当時、いろんな想いが重なってMMAを始めることにしました。大和がRIZINでデビューした時期でもあって。ウチは兄弟5人とも格闘技をやっているんですけど、私だけ全日本クラスのベルトを獲ったり、大会で優勝した経験がないんですよ。ずっとそれがコンプレックスで」

■ 藤田家の格闘技の実績について
長男 和典:プロボクシング元OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者
長女 典子:極真会館全日本女子優勝、同世界大会3位
次女 翔子:極真会館全日本女子ウェイト制 軽量級準優勝
次男 大和:現DEEPフライ級暫定王者、ボクシングでは高校3冠、全日本選手権優勝
三男 健児:2021年にボクシングでプロデビュー、アマチュア時代は通算10冠

――藤田選手は空手を引退後、格闘技からは離れていたのですか。

「世界大会に出たあと26歳で引退して、普通に働いていました。一般会員さん程度で空手道場に通ってはいましたけど……。でも29歳の時にもう1回、自分の可能性を確かめたいと思って。

あとは実家のドリーマージム(長男の和典さんが代表を務めているボクシングジム)も、私たちが活躍して有名にしたいなと思ったんです。そういった、いろんな想いが重なってMMAを始めました」

――ご実家のドリーマージムにはMMAクラスがあり、大和選手も幼少期に何度か寝技の練習をしたことがあったそうです。藤田選手はいかがでしたか。

「私は無いです。すごくたまーに、女性会員さんの相手を務めていたぐらいで――片手で数えられる程度ですね。Me,Weで寝技の練習を始めた時も、全然覚えていませんでした」

――すると幼少期から空手をやってきて、MMAにアジャストするのは難しくなかったのでしょうか。

「難しかったです。なぜこんなにキツい道を選んだのだろうと思いました(苦笑)。新しく覚えることばかりなので、空手時代より2倍、3倍と練習して。スパーでは安易に蹴ってしまい、その足を掴まれてテイクダウンされ、寝技では何もできない――落ち込みました」

――結果、アマチュアデビューから3連敗。しかし2020年10月に、話題を集めていたケイト・ロータス選手に勝利したことで、藤田選手に注目が集まったように思います。

「MMAを始めて、ようやく形になってきたのが、あの試合の頃ですね。自分の中では、年齢のこともあって、2年ぐらいMMAをやって辞めようとも考えていました。柔術やキックボクシングの試合に出ると、成績もよかったんです。だけどMMAになると難しくて、こんなにうまく行かないものなんだなぁと思っていました。

それが、ようやく自分の中では形になってきて、もうちょっと、もうちょっと……と思いながら。やっぱり勝ってプロになりたいという気持ちがあって。だから、山﨑さんがたくさんアマチュアの試合を経験させてくれて良かったです。ただ、ジムではイジられていましたけど(笑)」

――イジられていた……どういうことですか。

「相手は美女だと言われているから、勝負では負けるなよって。私は美女対決だと思っています、って答えていましたけど(笑)。それはともかく、あの試合で一皮むけたね、って言われますね」

――状況が好転したのは、何かキッカケがあったのでしょうか。

「まず寝技を覚えて、そしてテイクダウンをカットできるようになると、自分の打撃が生きるようになりました。あとは、やっぱり大和の存在が大きいです。私は空手から離れて、仕事をしながら夜にジムで練習する。大和は朝と夜の2部練をこなしながら、私の練習も見て厳しい意見をくれるんです。今日は動きが悪かった、とか。そうやって大和に引っ張ってもらってきました」

――その大和選手がDEEPのベルトを巻いた姿を、どのように見ていましたか。

「めちゃくちゃ嬉しかったですね。MMAで勝ったり負けたりしながらも、練習してベルトを勝ち取った瞬間――涙と震えが止まらなかったです。彼は努力家だし、そこは弟ですけど尊敬しています。私も大和や健児から『藤田家は打撃で負けたらいけない』そう言われながら、サポートしてもらっています」

<この項、続く>

■視聴方法(予定)
12月11日(土)
午後5時45分~USPWN PPV配信 & ニコニコ生放送 PPV配信

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