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【TORAO26】ジョタナン・バイエス戦へ、佐々木信治─02─「勝ってケージを降りる。娘を抱っこするため」

【写真】大丈夫、父の気持ちは娘に通じる。頭で理解して、言葉にまとめられるようになった時、この時どう思ったかも咲耶ちゃんは佐々木信治に伝えるようになる。だから── (C)MMAPLANET

12月5日(日)、広島市南区のBLUE LIVE HIROSHIMAで開催される闘裸男26で、ジョタナン・バイエスと対戦する佐々木信治のインタビュー後編。

今年2月の復帰戦、そして現在の体の状態を語る佐々木。次の試合も、体格面では相手のバイエスが大きく上回るなか、佐々木はいかに戦うのか。そして、佐々木が語った今後とは――チケットは既にソールドアウトとなった12月5日、広島でササロックの最終章がスタートする。

<佐々木信治インタビューPart.01はコチラから>


――今年2月の復帰戦、グラジエイターでの植田豊戦について聞かせてください。3年ぶりの実戦でしたが、ご自身の手応えはいかがでしたか。

「試合が終わってから放心状態になりましたけど……まず試合では、全然動けなかったです。3年空いていたし、その間にケガで練習できない時期もあって」

――ただ、そんな中でもカウンターのパンチや、テイクダウンされてからの展開は、しっかり動けているようにも見えました。

「そこはもう、体が勝手に動いた感じですね。相手が動いたら左フックが出て」

――結果は、左フックのダブルダウンを奪い、パウンドでレフェリーストップを呼び込みました。最後は体に染みついた動きが出た形だったのですね。

「そんな感じです(苦笑)」

――もう一つ……試合後、ケガの状態は?

「まぁ、それを言ったところで正直――年齢も年齢ですからね。でも、僕と同年代の選手がまだ活躍しているんですよ。同い年でいえば、一度対戦したことがある中村大介選手とか。なのに自分が、年齢がどうとかは言えないです。もちろん長くやってきているので、負傷箇所は多いし、今さらケガが無いとは言いません。

2018年に負った大怪我についても、元の状態には戻っていないと思います。自分でも、もうそんなに長く選手を続けることはできないと思っていて。だから戻れるタイミングで、しかも試合数が限られているなら、闘裸男に出たかったんです。だから今回は、対戦相手がどうというより場所……闘裸男に出ることに意味があったんですよ」

――なるほど。そういうお話の次に申し訳ないですが、次の対戦相手、ジョナタン・バイエス選手の印象を教えてください。

「アハハハ。まぁ、大きい選手ですよね。プロフィールには身長が191センチと書かれていて。でも今回は、試合を受けてくれてありがたい、という気持ちが大きいです。僕の対戦相手は二転三転して、それで最終的にバイエス選手が受けてくれたんです」

――二転三転、というのは?

「僕が無理を言っていたんですよ。やり残したことの中に、バオ・インカンと再戦したいというのがあって」

――バオ・インカン、2018年5月にRoad FCで対戦して大怪我を負った試合の相手ですよね。まさか……。

「闘裸男に出られて、かつバオ・インカンと対戦できたらいいなって(笑)。ただ、やっぱり入国が難しかったみたいです」

――それは仕方ないですね。

「今回のバイエス選手は、もちろん映像も見ました。リーチが長いサウスポーで、アウトボクシングされたら嫌なんだろうな、って思います。でも実際は結構ガンガン来る選手で、気が強い選手です。フィジカル的にも、見た目は筋肉モリモリじゃないけど、組んでから相手を放り投げているシーンも見ました。外国人のフィジカルって、見た目からは分からない部分がありますからね。

自分と比べたらバイエス選手はキャリアが浅いけど、そういう選手のほうがガムシャラに向かって来るじゃないですか。そういう時、ベテランがコロッとやられることもあるので、そこは気を付けたいです」

――そんなバイエス選手を相手に、地元・広島でどんな試合を見せたいですか。

「自分が大ケガから復帰して試合をすることで、何かしら感じてくれたらと思います。大きなケガをしたら、そのまま次のステップへ行く選手も多いと思うんですよ。他にやりたいことがあるから辞めるっていう人もいるし、続けたいけどケガしたから辞めるっていう人もいますよね。それは格闘技に限らず。

僕の場合は、もうダメだろうって大半の人が思ったはずなんです。でも、そこから復帰した自分の試合を見て、何か感じてくれたら……。もし自分が逆の立場だったら、その状態から『もう一丁!』って戦う人間はカッコいいと思うんで(笑)」

――アハハハ、確かに。人間としての格好良さですね。

「そういう姿を見せたい。自分自身が、そんなカッコ良い人間になりたい。闘裸男に戻って、地元で戦うっていうのは、そういうことなんです」

――分かりました。そういえば、長女の咲耶ちゃんがキッズ修斗デビューを果たしたそうですね。

「はい、もう5歳になりました。キッズ修斗は2試合出て、1試合は腕十字、1試合はRNCで勝っています。微笑ましく見ていますよ(笑)」

――その咲耶ちゃんは、お父さんが今も試合をすることに、何と言っていますか。

「……娘は、試合してほしくないって言いますね。あの時はまだ小さかったんですけど、僕がケガをして入院している姿を覚えているみたいで。入院中は気管切開をしていたんですよ。それで今、また試合をすると言ったら『またココ(喉)に穴を開けたりするの?』とか――。勝ってほしい、試合してほしくない、その2つの気持ちが半分半分みたいです」

――佐々木選手は、心配する娘さんに何と答えたのでしょうか。

「父ちゃん頑張るけぇ、見とってな。そう言いました。娘も『うん、うん』って」

――……。

「僕は小さい頃から父親がいなくて、父親に抱っこされた記憶がゼロなんですよ。だから、娘から何歳まで抱っこしてほしいと言われるかは分からないけど、言われるかぎり抱っこしてあげたいと思っています。でもこれ以上頑張っていたら、もう娘を抱っこできない体になるかもしれないと言われて」

――えっ!?

「本当はずっとやりたいです。でも……だから、抱っこできなくなる前に引退しようと思っています。ファイターとはそういうものじゃない、って言う人もいるかもしれない。人それぞれだから、自分の考えが正しいとも思っていません」

――……ファイターとして、そして父親として決めたことを、他の人が否定する権利なんて誰にもありません。

「はい。あと何試合できるか分からない。今後何が起こるかも分かりません。でも自分は決めましたから。勝って、ケージを降りる。娘を抱っこするために――」

■視聴方法(予定)
11月14日(日)
午後4時45分~ Twit Casting LIVE

■TORAO26対戦カード

<フェザー級/5分3R>
野瀬翔平(日本)
奇天烈(日本)

<ウェルター級/5分2R>
佐々木信治(日本)
ジョナタン・バイエス(米国)

<グラップリング75キロ契約/5分2R>
田村ヒビキ(日本)
森戸新士(日本)

<フェザー級/5分2R>
神田T800 周一(日本)
キシシ(日本)

<フライ級/5分2R>
蒔田伸吾(日本)
ふじい☆ペリー(日本)

<53キロ契約/5分2R>
宝珠山桃花(日本)
和田千聖(日本)

■TORAO GIG03対戦カード

<2020年新人王決定Tストロー級1回戦/5分2R>
※当日計量により56.7キロで実施
横関タルト(日本)
わっしょい内田(日本)

<2020年新人王決定Tフェザー級1回戦/5分2R>
※当日計量により70.3キロで実施
HAMMER KATU(日本)
一水浩二(日本)

<2020年新人王決定ライト級1回戦/5分2R>
※当日計量により77.1キロで実施
スモーキー(日本)
貞永大輔(日本)

<2020年新人王決定フライ級1回戦/5分2R>
※当日計量により61.2キロで実施
水田大智(日本)
丸山幹太(日本)

<フライ級/5分2R>
麻生祐弘(日本)
畠山隆弥(日本)

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