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【Special】月刊、青木真也のこの一番:10月─その参─ハイブラエフ✖ウェード「嘆いてもしょうがない」

【写真】ハイブラエフの強さ──をどれだけ国内にいて、海外と口にする関係者が理解しているのか (C)PFL

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。

青木が選んだ2021年10月の一番、第三弾は10月27日に行われたPFL2021Championshipからフェザー級決勝=モヴィット・ハイブラエフ✖クリス・ウェード戦について語らおう。


──青木選手が選ぶ10月の一番、最後の試合は何になるでしょうか。

「ハイブラエフ✖クリス・ウェードですね」

──青木選手がかなり注目していたPFLの最終戦でした。

「思ったよりもハイブラエフが強かったです。クリス・ウェードの打撃も押し切ってしまって。レスリングで打撃を押し切る試合って、久しぶりに見ました。ヌルマゴメドフと同じ路線ですよね」

──パンチがテイクダウンの一部に感じます。

「というか押し切っちゃう。ショーン・シャークですよね。あの打撃なしに、テイクダウンもない。チェール・ソネンの文脈です。そこにMMAっぽさがあります。僕はウェードが技術、器用さで誤魔化してしまうと思っていたのですが、偏にテイクダウンとコントロール力でウェードを圧倒しました。

1Rを圧倒し、2Rもそう。5Rあったけど3Rになった時点で、もうウェードが勝てる気はしなかったです」

──一か八かの一発逆もない?

「ハイ。バックで終結していて、危なげなく戦っています。ああなると、もうウェードはきついです」

──以前はダギ(ザイード・フセイン・アサラナリエフ)のような荒々しさとフィニッシュ力もあったのが、ファイトスタイルが少し変わってきました。

「やっぱりATTに行っているからじゃないですかね」

──ATTなのですか。てっきりダゲスタンでやっているものだと思っていました。

「確かパフンピーニャがOur WarriorってSNSでやっていて。そういうことなんだろうなって、僕は思っています」

──あの勝ち方を見ると、どこまで強いのか。楽しみです。

「とはいってもUFCってなるとクリス・ウェードは中堅だったし、そんなに甘い話ではないでしょう」

──PFLで優勝して100万ドルを手にできた。一財を得たわけですし、今後はどういう風になっていくのか。

「でも税金でドンと取られるから、そうでもないと思いますよ。半分取られて、2回勝って1億円が残ったとしてもソレだけでやっていくのは……。僕、最近思うのは、いくら持っていたら安泰っていう考えは無理で。どれだけ自分に価値がつくという考えでないと、しんどいと思います」

──2連覇してUFC行きを画策してならなかったランス・パーマーが今シーズンはまるで精彩を欠きました。ウェルター級で2連覇を達成したブラダボーイに、試合前に2連覇したあとのことを尋ねると『UFCやBellatorと統一戦をしたい』という風には言っていましたが……。

「それって実現しないですよね。UFCはまず絶対にない。そこは選手それぞれのライフスタイルによってくるでしょうね。PFLのフォーマットだから注目される。Bellatorだからプッシュしてもらえて遣り甲斐を感じるという選手もいるだろうし」

──UFCからBellatorやPFLという選手と、UFCを経ていないBellatorやPFLで戦う20代の選手のマインドセットは違うのではないかと。

「あぁ、そこは考えたことがなかったです。もうPFLではやることないなって。それなら1億円がなくても、UFCで戦いたいと。そういうのはあるかもしれないですね」

──日本の選手たちも海外=UFCだとか、RIZINとの関係でBellatorとか、あるいはアジアのONEなのか。海外と口にしても、これだけプロモーションが存在し、それぞれの立ち位置があるなかでUFCを最終目標としていても、いろいろとアプローチの方法があるので理解度を高めないといけないと感じます。

「国内で勝ってもUFCはないし、そこは抑えないといけないですよね。でも国内のフェザー級以上のチャンピオンがPFLで行っても、勝てない。そこら辺はもう憂うことすらなくなってしまいました。

UFCに行きたいとか──発言するのは分かります。ただし色々と見ていなくて、そういうのは……違いますよね。僕は一応、向うでぶっ飛ばされているし、何も知らずに海外って言われても困る……ということすら、最近は思わなくなったかもしれないです。そういうところに達観しつつあります」

──現状の青木選手と20代の日本の選手は立場が違いますしね。彼らがUFCで戦うようになれる日本のMMA界になっていくのか。

「でも、本気に言っているのかってことですよね。話が戻ってしまいますけど、PFLを見ていなくて、LFAが何か知らなくてUFCって言っているけど、僕は本気にしていないです。本気ならもっと知っているはずで。だから、そういう言葉にはまともに向き合っていない。

そこを模索しないことを嘆いてもしょうがないですよ。仮にUFCが無理でもPFLで成功するんだっていうほど格闘技が好きな人は今、どれだけいるのかなって。いないです」

──そうですか……厳しいですね。

「ハイ。そこまで好きな人間はいない。それは仕方ないです。僕はPFLは面白かったけど、当たりはずれのあるフォーマットだと思っているし、これからも面白いモノは追っていきたいです。そんなところです」

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