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【LFA117】強敵ディアス戦へ、田中路教─02─「自分の戦い方をUFCの流行りに迎合させる必要はない」

【写真】川原波輝への感謝の気持ちが、田中をより強くする(C)MICHINORI TANAKA

5日(金・現地時間)、カリフォルニア州ヴァイセイリアのヴァイセイリア・コンベンションセンターで開催されるLFA117「Dias vs Tanaka」で、LFA初陣をヒカルド・ディアスと戦う田中路教インタビュー後編。

単身サクラメントに移り住み、周囲の日本人選手とも一定の距離を取っているようにも見えた田中。そのストイックな姿勢は、まさに孤高という言葉がふさわしい存在であった。だからこそ孤高が、孤独にならないのかと案じられたが──思えば彼が今、サクラメントにいること自体、田中路教を陰ながらサポートしてきた人々の存在があってこそ、その事実を彼自身が誰よりも理解していた。

センチメンタルな想いは木っ端みじんに吹き飛ばされる、圧倒的なリアルを前にして田中の心境を引き続き尋ねた。

<田中路教インタビューPart.01はコチラから>


──川原選手とマンツーでの練習……、安心材料を得ることができました。

「波輝君自身が凄い量の練習をこなしています。それなのに僕に合わせて『いつでも都合の良い時間を言ってください』という風にしてくれて。相手の映像もチェックして、癖とか動きを掴んで、対策練習で相手を真似てくれていますし。感謝の限りです。

僕自身、色々とあってそういう状況にある選手に何もしてあげることができないことも経験しています。でも波輝君は、そういうことが一切ないんです。凄いなって思います。ここまでやってもらったことを、僕も彼に返していかないといけない。そこに関しても、自分がやったから、今度はお前が返してくれっていうのも彼にはないんですよ」

──慈愛の人じゃないですか!!

「だからこそ、まずはここで結果を残すこと。そうすれば、僕も彼に堂々とアドバイスできることもあるだろうし。勝って、ご飯でも行って色々と話したいですね。彼はもっともっと強くなれる選手です」

──ユライア、川原選手と創り上げきて戦うヒカルド・ディアス。日本にいると戦えない相手ですし、相当の力の持ち主だと思われます。

「アグレッシブで、決定力もある選手ですね。危険な選手だとは思いますが、僕自身が目指している場所が場所なので、ここで手こずるわけにはいかないというのはあります。スタイル的には右のオーバーハンドのカウンターが強い選手で、遠い距離で攻撃を散らしてきますよね。

組みや寝技もできるけど、本来は遠い距離が得意で近づいてきたところにカウンターを入れる。なのでオーバーハンド、カウンターは気をつけたいと思っています」

──コンテンダーシリーズ、LFAもそうですが、防御より攻撃は当然として、攻撃も精度よりアグレッシブネスとフィニッシュ狙いが評価されるという節があるのは気になりますか。

「気にしないです。僕がやることは変わらない。いつも通り戦います。自分に合ったスタイル、組んで倒す。色々なところが伸びていますが、根幹は変わらないので。膠着した試合はやってはいけないとは思っていますけど、強さに関係なく自分のファイティング・スタイルが求められるものでないなら、仕方ないです」

──これだけUFCに拘って生きてきたのに?

「UFCを目指していますが、自分の戦い方をUFCの流行りに迎合させる必要はないと思っています。それで弾かれるなら、全然弾かれてもしょうがないです。だって無理に変えるべきところじゃないし、変えられるようなモノでもない。そんなことを意識して戦うと、マイナスになるだけですから」

──もう、やってもらうしかないです。

「はい、やるしかないです。2年8カ月、前回の試合でダメだったところをミッチリと克服してきました。ただ、本当の意味で克服するのは試合の時です。あそこから立て直すのに、時間をじっくりと掛けてきました。それとユライアですね。ユライアは当日入りして、サポートしてくれるのですが、やはり僕の試合を一番見ていてほしい存在でもあります」

──時差の関係もあり、LFAから修斗、そしてVTJと3連続でABEMAでの中継になります。国内でも世界を目指すという選手たちが、田中選手の後に控えているのですが、そういう選手たちに違いを見せたいという気持ちはありますか。

「ないですね」

──アハハハハ。

「そんなのないですよ。皆、頑張っているし。僕と堀内君がLFAに出ていて、こうやってABEMAで放送をしてくださるので、僕らが結果を残すことでLFAに出たいと他の日本人選手も思ってくれるようになってほしいですしね。そういう選手たちがLFAで戦う時に、ABEMAで中継し続けてもらえるように良い勝ち方をしていかないといけないと思っています」

──大人になりましたね、ホントに。堀内選手のLFAでのタイトル戦がABEMAで中継されて以来、選手の口からもLFAという言葉を聞く機会は増えました。ただし、どういう行程を経て田中選手や堀内選手がLFAで戦うための状況を創ったのかは、知られていません。

「本気で目指していくと、そこは分かってくると思います。だから、そういう風に言ってくれる人が増えてくること自体、良いことです。僕の場合はコロナもあってビザの取得に時間が掛かりましたけど、これからはそんなこともないでしょうし。それでもLFAで戦うためのハードルというのは存在しますし、ビザの費用や米国での練習費用がどれだけ掛かるのか、そういうことを発信していければ良いと思います」

──全ては次世代のため、ですか!!

「次世代のため……う~ん、僕がこれだけ苦労してきたので、他の人にその苦労をしてほしくないというのはあるかもしれないです。ここに来るために、色々な人が僕を支えてくれました。そういう人たちへの感謝の気持ちは常に持っています。ただし、そこの気持ちが強くなり過ぎていた時期がありました。

それでも……この2年8カ月、なんで自分は格闘技をやっているのか。なぜMMAで一番を目指しているんだろうっていう部分から整理ができました。そのなかで自分のためという軸があることが今は見えています。同時に感謝があるからこそ、負けられないという気持ちを持ち続けられる。

そこがある人とない人では、結果も変わって来ると思います。他の選手を見ていても、本当にそういうことはあると思っています。だからということじゃないですけど、自分を支えてくれた人たちへの感謝の気持ちはいつもあります」

■視聴方法(予定)
11月6日(土・日本時間)
午前11時00分~UFC Fight Pass
午前11時00分~ABEMA格闘チャンネル

■LFA117対戦カード

<バンタム級/5分5R>
ヒカルド・ディアス(ブラジル)
田中路教(日本)

<フライ級/5分3R>
堀内佑馬(日本)
マーク・クライマコ(米国)

<160パウンド契約/5分3R>
エミリオ・ウィリアムス(米国)
バットスムベレル・ダグワドルジ(モンゴル)

<150ポンド契約/5分3R>
ハイダー・アミル(米国)
ホブソン・ジュニオール(ブラジル)

<175ポンド契約/5分3R>
クリスチャン・アヴァロス(米国)
ジェフリー・クレイグ(米国)

<175ポンド契約/5分3R>
アルバート・ゴンザレス(米国)
ドミニク・サマー(米国)

<フェザー級/5分3R>
ブロック・ディアス(米国)
カーロス・フィゲロア(米国)

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