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【DWCS S05 Ep09】CSはユニファイドをONE化させるのか。TD&コントロールのビンがムラッドに判定負け

<フェザー級/5分3R>
オリヴィエ・ムラッド(米国)
Def.2-1:29-28.29-28.28-29
シエ・ビン(中国)

サウスポーのムラッドが頭を下げ、左を伸ばして前に出る。このパンチを被弾し、ヒザ蹴りを腹に受けるビンは、下がりながら右を放つ。右を伸ばしたムラッドが姿勢を乱した際にビンが上手くテイクダウンを合わせてトップを取る。ケージに詰め、右を落とすビンに対しムラッドがケージキックから腰を切る。ビンは正対して腕十字狙いを潰し、スペースを作ると即ムラッドが立ち上がる。

左の前進に右を当て、今度はヒザを入れたビンだが、左クロスを被弾する。左からステップインを続けるムラッドが、このパンチを姿勢を乱しながら当てるが、直後に同じ攻撃を繰り返しビンが右のカウンターからダブルレッグを決めて、サイドで抑える。一瞬のクルスフィックス、サイド、最後はニーインベリーから2つパンチを落としたビン。勝利後の契約を見据えるならトップを取った時に、より積極的なパウンドが必要だろう。

2R、ビンの右に左クロスを当てたムラッドは、テイクダウン狙いを切ってヒザを入れる。離れたビンはワンツーを被弾後、右オーバーハンドからダブルレッグでテイクダウンを決める。左足を抜いたビンはハーフ&枕で抑え、小さなパンチを落とす。ブリッジでリバーサルに成功したムラッドは、スタンドに戻りビンの組みを切る。初回のような左の踏み込みがなくなったムラッドに対し、ビンがジャブを伸ばす。

残り90秒、ビンが右スーパーマンパンチから組んでシングルレッグ、ボディロックに切り替えると腰に乗せようとしたムラッドを小外掛けで倒す。テイクダウンと同時にサイドで抑え、ニーイン、すぐにサイドに戻ったビンがエルボーを落としてラウンド終了を迎えた。

3R、左を振るったムラッドが、ボディロックからテイクダウンを決める。すぐに立ち上がったムラッドはまずはスコアリングしてからダメージ重視の攻撃に出たか。左を貰ったビンが、ダブルレッグでテイクダウンを決める。パンチを入れても、これだけ下になっていると勝負の行方としては、微妙なムラッドだが、ダースやアナコンダを警戒してかスクランブルに持ち込めない。ビンはガードの中でコツコツとパンチを落とし、背中を見せて立ち上がろうとしたムラッドをボディロックで崩してスタンドに戻させない。

残り2分、腰を上げてパンチ、エルボーを落とすビンが端を振るってパウンドを落とし、シングルレッグのムラッドに対し、ついにダースを仕掛ける。骨盤を押したブリッジでスクランブルに持ち込んだムラッドがスタンドに戻る。ビンは右ミドルを当て、ワンツー。さらに右サイドキックを蹴っていく。ローに右を当てたビン、ワンツーを返したムラッドに右ハイを狙う。ムラッドもハイを返し、ここで左で前に出る動きから右ジャブを伸ばし、時間となった。

MMAとしてコントロールはビン、パンチを当てたといってもダメージがあればこのテイクダウンからコントロールはできない。ただし、コンテンダーシリーズが望むスタイルはムラッド──、まずは打撃を入れるムラッドが印象点で上回る可能性もあるが、ユニファイドとしてはビンであることは間違いが、果たして……。

ジャッジはスプリットでムラッドを支持。判定勝ちしたビンをダナ・ホワイトが契約しないというのは分かるが、これは大会主旨がユニファイドの判定基準に影響を及ぼしたジャッジと言わざるを得ない。MMAファイターとして必要なのは、テイクダウンをされずに打撃を入れること。ここまで倒されて、パンチだけを当てていった消去法ファイトが評価されるならMMAを別競技になってしまう。

勝利者インタビュー前に、携帯で家族とのやり取りを見せたムラッド。デキすぎの現代MMAショーを選手が演出しているようだ。


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