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【UFN195】フランスの松濤館空手王者からMMAへ。マノン・フィオフォ「全て空手時代に培われてきた」

【写真】試合中の厳しい表情とは全く違う、穏やかな笑みをたたえるフィオフォだった (C)MMAPLANET

16日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのUFC APEXでUFN195:UFN on ESPN+53「Ladd vs Dumont」が開催される。

ホーリー・ホルム、ミーシャ・テイトという女子MMA界のレジェンドが相次いで欠場となった今大会のメインカードで、MMAが禁じられていた国──フランスから、南アフリカのEFC Worldwide、さらに中東のUAE Warriorsでフライ級王者となり、オクタゴン3戦目を向けるマノン・フィオフォが、マイラ・ブエノ・シウバと対戦する。

フランスの松濤館空手王者になること3度、五輪も目指せた逸材が歩んできた道なき道、その軌跡を振り替えてもらった。


──マノンのインタビューは6月、そして9月と予定されていたのですが、対戦相手の変更と欠場で2度とも流れてしまい、ようやく実現できて嬉しいです。

「私も話を聞いてもらえるファイトウィークを送ることができて嬉しいわ。今週末は問題なく試合が行われそうだから(笑)。過去2度のファイトウィークに本当に色んな事が起こって大変だったわ。今はファイトに集中できて、最高のシェイプで土曜日を迎えられそうよ。ホント、早く試合が始まって欲しいって感じね」

──昨年の秋までフランス政府はMMAの開催を認めてこなかったです。そのような状況でなぜMMAを志すようになったのですか。

「私は5歳の時から空手をやっていて、3度フランス王者になっているの。それからキックボクシング、ムエタイを練習するようになり、実戦を15回ほどこなした時に友人からMMAの練習をしてみないかって誘われて。練習してみると、このスポーツのことが心の底から好きになったの。

寝技の経験はなかったから、立ち技とは全く体の使い方が違って本当に大変だった。でも、それが面白くて。それとレスリングに関しては問題なかったわ。父が20年ほどレスリングの経験があって、大会で何度も勝っている人だったから。

もちろん、直ぐに修得できるモノではなかったけど、時間を掛けて一つ一つステップアップしてきたから、今ではどの局面でも問題なく戦うことができるわ。レスリングもグラップリングも、ストラキングと同じだけの力があると思っている」

──お父さんがレスラーだったのに、空手を始めたのですね。

「空手道場が家の近くにあったから。理由はホント、それだけだと思う(笑)」

──空手はフランスでは凄く人気がありますね。ところでどの流派の空手を習い、3度の国内王者に輝いているのでしょうか。

「松濤館空手よ。組手部門でチャンピオンになったの」

──ポイント空手の経験はMMAに生きていますか。

「ウイ!! 絶対的にね。フランスの松濤館空手で最も重要視されるのは、タイミング。今、MMAを戦っているけど、私のステップ、ステップからのコンビネーション……距離、角度、タイミングは全て空手時代に培われてきたモノよ」

──マノンはMMAという選択をしましたが、空手は東京五輪でついに正式種目入りしました。

「空手のことは大好きだし、あのまま続けていると私は東京五輪に出ること、チャンピオンになることも可能だったと思う。でも、空手とMMAを同時に続けることは無理よ。MMAの練習だけで1日に2度やっているから、その状態で五輪を目指していたら病気になっていたでしょうね(笑)。今はMMAで世界のトップになることを目標に戦っていて、他のことをする余裕はないけど……将来はどうなるかしらね(笑)」

──ところで松濤館空手の女子王者がMMAに転向することに関して、周囲の反応はどのようなモノだったのでしょうか。

「フランスは空手、合気道、柔道の歴史が長くて、MMAはまだ正式に認められて1年も経っていない。だから私がケージで戦うことに理解を示してくれない人達がいることは確かね。特にグラウンドで相手を殴って、チョークで首を絞めることに対して、良い印象を持たれてないわ。でも3、4年後には皆が理解しているはずよ。この素晴らしいスポーツの良さを分かってもらうのも、一朝一夕にはいかないってことね」

──そんなマノンはUFCと契約する前は南アフリカ、そしてミドルイーストでキャリアを積んできました。フランスではMMAが認められていないとしても英国をはじめ、欧州ではMMAが開催されている国も多いのになぜ、南アやUAEで戦ってきたのでしょうか。

「南アフリカで戦うようになるまで、私はIMMAFで世界チャンピオンになったの。でも、フランス国内ではパウンドのない大会、パンクラスで試合は組まれなかったし、英国のプロモーションもアマMMAで優勝しただけの私にチャンスは与えてくれなかったわ。そんな時、マネージャーが南アフリカのEFC WorldwideのリアリティTVショー(The Fighters Season 02)の話を見つけてきてくれて。IMMAF世界王者という肩書を認めてくれて、ショーに参加できて優勝できたの。

EFCでは2戦目でフライ級王者になり、キャリアを重ねようと思った時にCOVID19で国境が封鎖され、大会も行われなくなってしまって。そしてUAE Warriorsと契約して、3戦目でフライ級のベルトを巻き、UFCから声が掛ったの」

──何もレールの敷かれていないところを、歩んできたのですね。

「私はMMAを愛しているし、私が頑張ることでフランスの若い子たちに良い影響を与えることができるだろうし。そうなれば、本当に嬉しいわ」

──そのためにも土曜日の夜は、どのような試合をしたいですか。

「試合中、全ての時間をドミネイトして勝ちたい。それがKOなら最高ね。ブエノ・シウバのスタイルを考えると、手の合う相手だと思う。彼女はUFCで5試合も戦っているし、尊敬すべき対戦相手ね。彼女をKOできれば、私もトップ10と戦いとアピールできる。そういう相手と戦えてハッピーよ。

試合の序盤は空手のスタンスで、空手を使って戦うわ。そして彼女の動きが理解できれば、距離をつめて首相撲、ヒザ、エルボーと接近戦でも追い込んでいく。遠い距離でも、近い距離でも全く問題なく戦えるから」

──マノン、今日はありがとうございました。

「日本のファンにも必ずKO勝ちを届けるわ。メルシー・ボーク―」

■視聴方法(予定)
10月17日(日・日本時間)
午前5時00分~UFC FIGHT PASS

■UFN195対戦カード

<女子フェザー級/5分5R>
ノルマ・ドゥモント(ブラジル)
アスペン・ラッド(米国)

<ヘビー級/5分3R>
アンドレイ・オルロフスキー(ベラルーシ)
カルロス・フィリッピ(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
マノン・フィオフォ(フランス)
マイラ・ブエノ・シウバ(ブラジル)

<女子フライ級/5分3R>
マリヤ・アガポワ(カザフスタン)
サビーナ・マゾ(コロンビア)

<ミドル級/5分3R>
ジュリアン・マルケス(米国)
ジョーダン・ライト(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ダニー・ロバーツ(米国)
ラマザン・エミエフ(ロシア)

<女子フライ級/5分3R>
ルピタ・ゴディネス(メキシコ)
ルアナ・カロリーナ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ルドヴィット・クライン(スロバキア)
ネイト・ランドヴェール(米国)

<バンタム級/5分3R>
ブランドン・デイヴィス(米国)
バットゲレル・ダナー(モンゴル)

<女子ストロー級/5分3R>
アリアニ・カルネロッシ(ブラジル)
イステラ・ヌネス(ブラジル)

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