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【ONE NEXTGEN】青木真也と組み技打ち込み練習開始、平田樹「やっぱりグラウンドが好きだから」

【写真】まとう空気が変わってきた。この選手は、試合がコンスタントにある方が吹っ切れるようだ(C)MMAPLANET

29日(金・現地時間)に開催されるONE NEXTGENで女子アトム級GP準決勝でリトゥ・フォーガットと戦う平田樹が──青木真也と組み技の練習を行っている。

MMA転向から打撃を磨いてきた平田は、試合になると柔道流の腰に乗せた投げから袈裟系の抑え込み&パウンドや関節技で勝利をしてきた。しかし、この柔道流の組技からの脱却が、必要だという青木の指摘を受け、週に2度一緒に練習を行うようになった。

22日発売のFight&Life誌では青木真也✖平田樹の組技練習対談を掲載。ここでは、さらに練習を続けてきた平田に現状とフォーガット戦について尋ねた。


──木曜日にIGLOOで青木選手とマンツーマンでグラップリングの練習をして、土曜日にはTRIBEの青木クラスにも参加しているということですか、他のメンバーはどういった面子なのでしょうか。

「はい。8時45分から若松(佑弥)君、後藤丈治さん、小川徹さん、(平田)直樹、自分です」

──若松選手は君付けなのですね(笑)。

「アハハハ、確かに。丈治さん、小川さんって呼んでいるけど、若松選手は若松君ですね(笑)。若松君と丈治さんは同じREBELLIOUSのスポンサードを受けていて、何度も遊んでいますし、小川さんとは何回かご飯を一緒したことがあって、凄く気の知れたメンバーで練習できています。いつもの面子って感じで。優しいお兄さんたちばかりなので、練習も入っていきやすかったです」

──土曜日の方はどのような練習をしているのでしょうか。

「木曜日と同じで、30分ぐらいひたすら打ち込みをやって、そのあとは参加メンバーの疑問に青木さんが答えてくれる感じで研究しています。合計で90分ぐらいやっていて、凄く楽しいです」

──木曜日のマンツーマンと、土曜日のグループレッスン。違いはどこにありますか。

「皆でやっているとそれぞれの意見があって、技の幅が広いです。練習中に出た技術について直樹とまた話して、煮詰めていくような感じで。本当に面白いです」

──手応えの方は?

「こないだの土曜日に壁レスの打ち込みをして、それが一昨日のKRAZYBEEでのプロ練習でめちゃくちゃ使えました(笑)。直樹もその日に自分のジムでプロ練があって、夜に電話で話した時に『試してみたけど、ちょっと出来そう』って言っていました。2人で習うから、意見の交換も電話でできて良い感じです」

──土曜日はスパーリングの方は?

「ないです。それも木曜日と同じで。ひたすら打ち込みをやっています。パートナーもずっと直樹で、青木さんもそれをジッと見てくれて、間違っていると指摘してくれます。手本を示してくれますし、ホントにここでの練習と変わりないです。

で若松君たちが青木さんに質問し始めると、自分たちも動くのを止めてジッと聞くような感じで。皆が動画を撮っていますし、凄く勉強になります。

マンツーマンは、自分がどういう技を指導してもらっているのか、受け手をしているので分からないことがありますけど、回りを気にすることなく自分の教えて欲しいこと、どんどん質問できます。

土曜日は質問をしたい人が、他にもたくさんいるので。そこは譲り合いっていう風になっちゃうんですけど、尋ねたいことも同じようになってきますね。今日の練習も直樹が一緒に来る予定だったんですけど、ケガで暫らく無理になってしまって」

──これまでやってきた組みの練習とは違うように感じますか。

「壁レスも勉強することが多いですけど、それでもやってきたことがあるので何とかなります。ただ直樹も樹もテイクダウンの打ち込みが超下手クソなんです(笑)。直樹も、そこは注意されていました。どうしても投げようとしてしまうんですよね」

──あぁ、腰の乗せてしまうということですね。

「そうなんですよ。ダブルレッグとかシングルレッグなんて、自分が沈めば良いって言われて。自分達は沈んでいるつもりでも、全然できない。どうしても投げようとしているようで青木さんには『そんなのやらなくて良いよ。沈めば良いのに、大回りする癖がある、お前たちは』って言われました。壁レスの時も、ボディロックの時も」

──ボディロックを取って、大腰で担ぐような形になってしまう?

「ホント、そうなんです。直樹も本当にそういう癖があって、その場に座れって指摘されていました。自分ら的には座っているつもりなんですけど、どうも腰に乗せる癖があるみたいです。直樹も、その修正に手間取っていました。どうしても柔道になってしまうので。青木さんとしては、力を使っているから疲れるので、沈めば良いんだっていうことなんですけど、なかなかできなかったです。足の使い方、踏み込み方、一番難しいって直樹も言っていました」

──直樹選手が困っているのを見ると、一番勉強になるのではないですか。

「ハイ、いつも直樹に教えてもらっていたので、『直樹も知らなかったんだ』って。青木さんは自分のことを『不真面目で優等生』って言っていたんですけど、直樹は真面目で優等生だから『真面目過ぎちゃダメだ』って言われていました。

私も自分のことは真面目だと思っていたんですけど……」

──えっ?! 

「アハハハ、ダメでした。不真面目だったって分かりました。でも、本当に面白かったです」

──平田樹という選手の練習をこれまでも幾度となく取材させてもらってきましたけど、一番楽しそうに見えました。

「そうですね。やっぱりグラップリングが好きなんだなって。これまで試合のなかで、何度もあったのに仕掛けることができていなかった。それが改善できそうで。練習でも得意なところを伸ばすべきだって改めて思っています」

──そこをKRAZYBEEに持って帰って、試しているのですね。

「美憂さんとかレスラーの人が多いので、そこで如何にできるか──ですね。そこを試しているのが、今は楽しいです。この練習の成果が、そこで発揮できるか」

──時間をかけて身につけていくモノだと青木選手も言っていましたが、試合まで3週間となり、この練習をしていても試合のことが頭に過るということはないですか。

「どうしても考えてしまいますね。週に2回で、これだけできる。時間はそれほどないですけど、これだけできるようになったので。相手がやって来ることも分かっていますし、そこで習ったことが使えるか……というのは考えますね」

──とはいえ、組んできたことを切る。今日は自ずとフォーガット戦に生きることを指導してもらっていたようにも見えました。

「ホントは極めまではなくて、スプロールからがぶってバックに回るまでの予定が、切った時に何か技があるのかって尋ねられて『ダースができます』って答えて。

そこでも修正や新しいことを教えてもらえました。極まったところは形になっていたのですが、入り方ができていなかったので、入る前の打ち込みをやってフィニッシュまでの動きを完成させました」

──新しいおもちゃを手にしたように喜んでいますね。

「ハイ。明日、早速スパーリングで試してみます」

──その流れというのは、平田選手からリクエストしたのですか。

「いえ、青木さんがテイクダウンを切ったところからやるぞって。もうリトゥがやって来ることですよね。『お前から仕掛けないだろ? なら、切ってこれやっていこう』という風に教えてくれました」

──ではリトゥ・フォーガット戦、切ってダース、がぶってバックが狙いですね。

「きっと相手はやることを変えてこないだろうし、そこは狙って行きます。打撃もやりたいですけど、フィニッシュして勝ちたいです。しっかりと青木選手の指導で、打ち込みをやっていけば穴はないかと思います。そうはいっても、試合になるとうまくは行かないんですよね」

──いざとなったら、これまでの培ってきた技が出ることは十分に考えられます。そうなると組みあったなかで、リトゥを内股で投げることができるのか、と。

「青木さんからも、内股ならやって良いって言われました。首投げだとバックに回れる恐れがありますけど、内股ならその次の動きに入りやすいです。内股は小学生の頃から、高校までずっと得意技でした。朝起きて、100回打ち込みをやって学校へ行く──みたいなことをずってやってきました。大胆な大きな技しか、やりたくなかったので。

アニキは逆で足技とかが得意だったから、今でも足技を使っていて。そこでもタイプが全然違っていました」

──青木選手が準決勝を戦う選手は横一戦だと言っていましたが、どのように捉えていますか。

「優勝候補のハム・ソヒがいなくなって、誰が優勝候補か分からなくなった。ということは期待されていたのはハム・ソヒだったんだなって。でも、ここはしっかりと勝って……いずれ、ハム・ソヒとも戦いたいと思っています。

ハム・ソヒがいなくなって、想像と違うトーナメントになりましたけど、この先にベルトがあることは変わりないので。それにハム・ソヒもONEを離れるわけではないし、いずれ絶対に戦う相手だと思っています。このトーナメントは優勝してもチャンピオンじゃなくて、その先にアンジェラ・リーがいるということも、しっかりと頭に入れています。

決勝に上がってくるのは絶対にスタンプだろうし。普通に当たり前に勝って来る。やっと、スタンプと戦えますね」

──いやぁ、そのまえにリトゥがいますし(苦笑)。リトゥの一番嫌なところはどこでしょうか。

「パンチは右のオーバーハンドとしかないんで、そういうことよりもしつこさですね。潰して、絶対に足を取って来るので。あのモン・ボーにも右が当たっていたのは、テイクダウンがあるからだと思います」

──この間の試合で、一発貰ってもすぐに組みに行けました。あそこが一番良かったかと。シュンとならなかったですし、あのシーンが平田樹のキャリア、唯一のピンチだったと言えるかと。対してリトゥは、このところドロドロの根性勝負をしています。あの経験で彼女はMMAファイターとして成長できたかと。

「気持ちですよね。あの人は3Rが一番強いと思います。だから、そこまで行かせずにフィニッシュできれば一番手っ取り早いです。大丈夫です。初回で寝技に持ち込んで、フィニッシュしたいです」

──切ることができず、下になった場合というのは?

「固められた時に逃げる練習はやっているし、大丈夫だと思います。そんな心配していないです。どれだけ抑え込みが強いのか。そんなに立てないモノなのか、そこは戦ってみないと分からないです。体もぐっと詰まってガッチリしていて、でも手首や足首は細くて胴が大きいですよね。そこ踏まえて、どこがそんなに強いのか……でも、四つに組まれても大丈夫だと思うし、そんなに心配していないです。

リトゥはグラウンドの技術がないし……多分。試してもないから、本当に持っていないはず。その点、自分は持っているけど出せてないだけで」

──そんなに断言されても……(笑)。

「ここは思い切ってやってみようって。今回の試合はグラウンドの時間が長くなると思うので、色々と挑戦してみます。そこが楽しみです。やっぱりグラウンドが好きだから、思い切りやりたいです。寝技をもっと究めたくて。直樹は青木さんや北岡さんに『上手い』って褒められるんです。樹の方が先に始めたのに……イラっとしちゃいますよね。でも、今は本当に練習が楽しいですし、今年はこのまま勝ち続けます」

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