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【WNO Championships】高橋サブミッション&堀内勇がWNOを深掘り─02─。ヒメネス? ミカ? 混戦ミドル級

【写真】現代グラップリングに十分に対応している一方で、オールドスクール柔術の完成度が非常に高いヒメネス(C)MIKE CALIMBAS/FLOGRAPPLING

25&26日(土&日・現地時間)にテキサス州オースチンのパーマー・イベンツセンターで開催されるWho’s Number One Championships。男子ではライト級、ミドル級とヘビー級、女子はストロー級及びヘビー級で賞金3万ドルとチャンピオンベルトを賭けた2days 8人制トーナメントが同大会では行われる。

世界のベストグラップラー、新進気鋭の若い選手が一堂に会す大会。その中から3階級を日本のグラップリングをネクストステージに引き上げようという高橋サブミッション雄己、そしてMMAPLANETでグラップリングシーンを執筆中の堀内勇氏に水先案内人となってもらった。

今回はライト級に続き、ミドル級の行方を占ってもらった。

<高橋サブミッション雄己&堀内勇、WNO Championship対談Part.01はコチラから>


──ミドル級は残念でならないですが、クレイグ・ジョーンズが欠場です。そして高橋選手、一押しのオリバー・タザが代役出場決定と。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

高橋 タザはFight&Lifeのインタビューで、好きなグラップラーにタザの名前を挙げさせてもらったんですよね。

堀内 アレ読んで、『おぉ、渋い』って思いました(笑)。そうなると、楽しみですね。

高橋 クレイグほどではないですけど、タザも高名なレッグロッカーなので代役としては凄く楽しみです。

──クレイグが本命だったかもしれないですが、マイキーのように飛びぬけた存在ではなかったです。そしてクレイグがいなくなったことで、ミドル級は読めないトーナメントになったかと思います。

高橋 トーナメント枠によって大混戦になると思いますが、中心になるのはロベルト・ヒメネスだと思います。ヒメネスは今回出場しているジョン・ブランクなんかにも、ポロっとレッグロックを取られたり、欠場になったクレイグにもヒールを取られています。触ってみないと分からない穴のようなものが、足関周囲にあるのであれば……代役のタザやブランク、タケットというオッズの低い選手にやられることもあるかと思います。

堀内 SUGでも今回、クレイグに続き欠場になったペドロ・マリーニョにもヒールを取られていますからね。

──柔術的なコントロール力、支配力もあるけど足関を取られると、それらの経験をして防御力が高まった風にも見えますが、本命ヒメネスに続く存在は?

高橋 ミカですね。

──来ました。グラップリングと柔術の未来系、ミカ・ガルバォンですね。

高橋 ハイ、ミカで妥当だと思いますが、そこも組み合わせ次第かと。それでもブランクやタケットやタザが、ミカやタイ・ルオトロ戦っても、僕はミカやタイに分があると思います。この階級は荒れて、どんな決勝戦の顔合わせも有り得る──それだけ凄く面白い階級です。

堀内 ホント、本命不明ですよね。ミカは異常に体が柔軟でタザとの試合も最後は1人ラバーガードみたいな動で凌ぎきったり、タイはベリンボロで足関節を捌ける。そういうことを考えると、あまり足関節は極まらないかもしれないです。タイとミカは、レッグロックが得意なオッズの低い選手は勝てそうです。

ただしヒメネスはそのレッグロッカーに極められるかもしれない。それでもヒメネスは体自体が大きいですし、ガードから体をずらしてバックを取るとか柔術自体が凄く上手ですよね。本当に綺麗なガード柔術家の戦い方ができる一方で、上からガンガン攻めることもできます。

実際、タイには完勝していますし。だからミカとやるとどうなるのか。ミカは本当に不思議な感じで、掴みどころがない。結果、タイとミカよりもヒメネスは柔術の自力で上回る。ホントにこの階級はジャンケンポンのようにタイプが分かれているので非常に面白いと思います。

──レッグロッカーに負ける可能性のあるヒメネスは、タイやミカには分が良い。タイやミカはレッグロッカーには遅れを取らないだろうと。まさにトーナメント枠がどうなるのか。

堀内 ミカに対しては、ヒメネスに分があるのかは分からないです。ミカは1人だけ違う生物に見えます。タザと戦った時も省エネ戦法を取り、年上のタザの方が必死に攻めていましたし。

高橋 ミカは未知数ですね。タザとの試合もヒョイヒョイとポイントを取って勝ってしまう。余裕がある無難なポイントゲームをしたという印象でした。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

堀内 僕は後半は動きが落ちているように感じたので、今回は決勝が30分という長丁場で──タイなんてスタミナのバケモノだから問題ないと思いますが、ミカはどうなのか。

高橋 だからこそ、ミカが真の姿が分かるトーナメントかもしれないです。

──ミカは攻めにしても、防御にしても反応力の高さが半端ないなと。道着ですけど、回って立つというスイープゲームを許さない。立ちそうな人間をレッスルアップから許さず、上を取るなり、バックに回るなり。野性的な動きは見ていて惚れ惚れしました。

堀内 本当に反応が良いですよね。上からの圧力もメチャクチャあって。良くある筋肉ムキムキ柔術家の圧力とは違う感じで。

──ルーカス・バルボーサとは全く違いますよね(笑)。そのミカの圧力が、このメンバーのなかで通用するのか。

堀内 他にもデンテ・リオンも、ダヴィ・ハモスにF2Wで勝って調子は上向きですし。伏兵になるのか。ただ、Road to ADCCでニッキー・ライアンに完敗している。だからニッキーの名前がここにないのは残念ですね。

(C)CLAYTON JONES/FLOGRAPPLING

高橋 なんで、ニッキーは出てこないんですか?

堀内 その圧勝したダンテ・リオン戦でケガをしちゃったんですよ。レッスルアップから倒したときに、半月板を負傷して。

高橋 いやぁ、残念です。

──クレイグ&ニッキー不在は非常に残念ですが、ミドル級は本命ロベルト・ヒメネス、対抗がタイ・ルオトロと未知数ミカ・ガルバォン。だけど、本命は下位予想の選手に取られるかもしれない。波乱含み、非常に楽しみな階級ということですね。

<この項、続く

■WNO Championships出場選手

【ヘビー級】
カイナン・デュアルチ(ブラジル)
メイソン・ファウラー(米国)
オーランド・サンチェス(米国)
カイル・ベーム(米国)
ティム・スプリッグス(米国)
ルイス・パンザ(ブラジル)
テックス・ジョンソン(米国)
ハイサム・リダ(ガーナ)

【ミドル級】
タイ・ルオトロ(米国)
ウィリアム・タケット(米国)
ロベルト・ヒメネス(米国)
ジョン・ブランク(米国)、
ダンテ・リオン(カナダ)
ミカ・ガルバォン(ブラジル)
ジェイコブ・カウチ(米国)
オリバー・タザ(カナダ)

【ライト級】
マイキー・ムスメシ(米国)
ケイド・ルオトロ(米国)
ジオ・マルチネス(米国)
ディエゴ・オリヴェイラ(ブラジル)
コール・アベート(米国)
デミアン・アンダーソン(米国)
ジョシュア・シスネロス(米国)
ガブリエル・ソウザ(ブラジル)

【女子ストロー級】
マイサ・バストス(ブラジル)
ダニエル・ケリー(米国)
ジェッサ・カーン(米国)
アマンダ・アレキン(米国)
グレース・ガンドラム(米国)
アレックス・グエン(米国)
ジェシカ・クラン(米国)
タミー・ムスメシ(米国)

【女子ヘビー級】
ギャビ・ガルシア(ブラジル)
ハファエラ・ゲイジス(ブラジル)
エリン・ハープ(米国)
アナ・カロリーナ・ヴィエイラ(ブラジル)
エリザベス・クレイ(米国)
アマンダ・ローウェン(米国)
ケンドール・リユージング(米国)
アマンダ・レヴィ(米国)

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