この星の格闘技を追いかける

【ONE Revolution】クリスチャン・リーに挑戦、オク・レユン「対戦相手に対して自信は持ちません」

【写真】凄く深いことを話してくれたオク・レユン(C)MMAPLANET

24日(金・現地時間)にシンガポールはカランのシンガポール・インドアスタジアムで開催されるONE「Revolution」でクリスチャン・リーの持つONE世界ライト級王座にオク・レユンが挑戦する。

HEATでライト級チャンピオンになり、パンデミック後は母国のDouble GFCで王座を獲得した。とはいえ、ONE初戦から半年後に王座挑戦と、その間のエディ・アルバレス撃破はオク・レユン自身が想い描いていた未来予想図ではなかった。

ONEライト級戦線を一気に駆け上がったオク・レユンに、クリスチャン・リー戦への自信のほどを尋ねた。


──来週の金曜日にクリスチャン・リーに挑戦します(※取材は16日に行われた)。今、どのような気持ちでしょうか。

「この試合はキャリアで最も重要な試合です。それでも、凄く心は落ち着いています。プレッシャーもなく、体調もこれまでで一番良い感じです。ONEと契約した時、一番下から上を目指すつもりでいました。与えられた試合で勝利し、一歩一歩ステップアップしようと。

それが初戦の相手がマラット・ガフロフで、驚きました。初戦で元世界チャンピオンに勝てたことで、ここまで一気に話が進んだのかと思います」

──HEAT時代からオク・レユン選手を見てきて、ガフロフに勝つことは十分にあると思っていました。しかし、次の試合が同じ月にエディ・アルバレスになるとは想像できなかったです。

「もちろんエディ・アルバレスがONEで戦っていることは知っていました。常に頭にあったことは確かです。いつの日か、戦うことがあればとは思っていましたが、まさかこんなに早く実現するとは……でも、自分がONEの頂点に立つには最高のオファーでした。もちろん、その機会を逃したくなかったですし、試合を戦えて、勝てたことを心から感謝しています」

──エディのネームバリューは、クリスチャン・リーを上回っています。人生が変わったということはないですか。

「エディ・アルバレスと戦う前まで、自分は無名の選手でした。人々は自分のことを知りませんでした。この試合前にサクラメントのチーム・アルファメールに練習に行ったのですが……」

──おお、そうだったのですか。

「アルファメールで5週間、練習してきました。サクラメントにいる時に、皆が自分の顔を見ても誰かは認識はしていなかったです。でも、エディ・アルバレスに勝ったということが話題になると、皆が『あぁ、あの選手だったのか。試合を見たよ』と言っていました。そして、それから凄く親切に接してくれるようになりました。顔と名前は一致していなくても、本当に多く人が自分のことを知っていることが分かりました。それが人生で一番大きな変化ですね」

──HEAT時代から凄く礼儀正しく、少しシャイだったオク・レユン選手の顔が今は自信に満ちているように感じます。

「MMAファイターとは、強さを試合で証明するものです。試合で自分の力を見せて、理解してもらうしかない。それがエディ・アルバレス戦に勝ったことで可能になったと思います。自分がベストの1人だと思えるようになりましたし、何よりも周囲の人がそう思うようになりました。この事実は、自信を与えてくれました。特にジムで練習している時に、以前より自信を持ってトレーニングできています」

──今回アルファメールに練習に行ったのは? チームMADも十分に厳しいトレーニングが行われていると思います。

「米国を尋ねるのに、常に金銭的な問題がありました。とても費用が掛かります。ただ自分はまだ若いですし、もっと色々と勉強したいです。その経験をすることは、金銭よりも価値があると思いました。ただし自分は英語が話せないですし、コミュニケーション能力がありません。そして米国のことは何も知らないので、どこのジムに行けば良いかも分かっていなかったです。

そんな時、ONEのコンペティションチームにいるマイケル・パクさんが、以前にチーム・アルファメールで練習していて、実際にMMAでも戦っていたことを知りました。パクさんがユライア・フェイバーに連絡を取ってくれて、『いつでも大歓迎する』って言ってもらえたんです。そして、渡米して最高の環境で練習ができました。

韓国も米国も練習の強度、クオリティは同じだと言い切れます。ただし、両国を比較すると韓国での練習は小さな街で行うような感じで、対して米国はまさに大国で練習するというモノでした。世界中から多くのファイターが集まっている。有している技術も、選手の数が多いので、それだけ色々な知識を得ることができました。

それとジムの規模ですね。やはりアジアのジムと比較すると、アルファメールは巨大で、一カ所で全てのトレーニングを行うことができました。韓国では色々な場所で練習しないと、全てをフォローできないです。トレーニングパートナーの数、一カ所で全てのトレーニングができる違いは絶対的です。ただし、練習の質は韓国も同じです」

──質が同じでも、量が違う。それがアルファメールの環境なのですね。世界中から集まってくる選手はハングリーではなかったですか。

「その通りですね。世界中のファイターが豊かではないです。ビッグステージ、いえビッグステージのトップでないと。米国で練習するということは、それだけ元手が掛かります。そうしている選手たちは、よりハングリーでやる気に満ち溢れていました。

米国にいた時、誰も知り合いはいなかったです。唯一の友人がMMAでした。韓国人選手が韓国にいる場合、日本人選手が日本にいるケースも、家族が近くにいてくれます。友人もいます。十分にお金がなくても、誰かが助けてくれます。助けがなくても、働くことができる。でも米国に行くと、自分たちは働くこともできない。そんな状況で強くなるためだけに米国に練習にいく選手たちは、シリアスでハングリー、覚悟が違っていました」

──そのアルファメールで、日本人選手と練習もしましたか。

「ミチノリ・タナカ選手やテルト・イシハラ選手、あとDEEPのチャンピオン(川原波輝)がいましたが、彼らはライト級の自分と比べると小さくてMMAの練習をほとんど一緒にしていません。ただ、2Rのキックボクシング・スパーをテルト選手とした時に、彼はサウスポーでホントに距離が取り辛くて、驚かされました」

──では王者クリスチャン・リーの印象を教えてください。

「クリスチャン・リーは良くバランスの取れた選手ですが、自分もそうだと思っています。どの局面でも戦える。ただ、クリスチャンはどちらかといえばレスリング、そしてグラップリング系で、自分はストライカーに近いウェルラウンダーです。スタイル的に自分には合う相手だと考えています。

彼は若く、ハングリーで毎試合成長しています。凄くアグレッシブで、前に出る選手です。ただし、先ほども言いましたが、自分には手の合う相手です」

──彼の際の無い、全てが繋がった動きは驚異ではないですか。

「確かにそうです。ただし、その連動も全て対戦相手をテイクダウンして、グラウンドに持ち込むためのものです。そこを逆算すれば、対応できます。テイクダウンを切る、テイクダウンされてもスクランブルに持ち込む。それができれば、良い結果がついてくると思っています」

──自信のほどは?

「正直にいえば対戦相手への自信は、誰と戦おうが持ち合わせていません。ただし、自分がやってきたトレーニングに自信を持っています。それだけ練習してきたので、自然と淀みなく動くことができます。特定の状況を設定して、練習を繰り返してきました。そして、常にここにいると、何が起こるのかということを頭に入れて動くようにしてきました。その状況が訪れた時、自分は凄く自信を持って戦えます。何百回、何千回と繰り返してきたことを実践すれば良いことだからです。ただし、クリスチャン・リーに対して自信は持ちません。

それは過信に繋がります。相手に対して自信があると、試合で痛い目にあいます。絶対に対戦相手を軽視することはないです。自信があるのは、自分が練習してきた状況に対してです」

──素晴らしい話です。オク・レユン選手、今日はありがとうございました。最後に韓国に次ぎ、オク・レユンを認識していた日本のファンに一言お願いします。

「日本はいつも、特別の国です。初めてチャンピオンベルトを巻いたのは日本のHEATでした。その国のことは、常に自分の心に残っています。日本は隣の国で、訪れるのも簡単です。だから試合でなく、旅行をしたいと思っていたらコロナパンデミックになってしまいました。昔から自分を応援してくれた日本の人たちをガッカリさせない試合をするため、ハードトレーニングをしてきました。最高のオク・レユンをクリスチャン・リー戦では見せます。カムサハムニダ」

■視聴方法(予定)
9月24日(金・日本時間)
午後8時00分~ ABEMA格闘チャンネル
午後8時00分~ONE Super App

■ ONE「Revolution」対戦カード

<ONE世界ライト級(※77.1キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]クリスチャン・リー(米国)
[挑戦者] オク・レユン(韓国)

<ONEキックボクシング世界バンタム級選手権試合/3分5R>
【王者】カピタン・ペッティンディーアカデミー(タイ)
【挑戦者】メヂ・ザッツプッツ(アルジェリア)

<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
[挑戦者]猿田洋祐(日本)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
マーチン・ウェン(豪州)
キム・ジェウン(韓国)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
アミール・アリアックバリ(イラン)
アナトリー・マリキン(ロシア)

<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
ヴィクトリア・リー(米国)
ヴィクトリア・ソウザ(ブラジル)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リト・アディワン(フィリピン)
ハシガトゥ(中国)

<ムエタイ・フェザー級/3分3R>
ペッダム・ペッティンディー・アカデミー(タイ)
内藤大樹(日本)

<ヘビー級(※102.01キロ)/5分3R>
マーカス・アルメイダ(ブラジル)
アンダーソン・シウバ(ブラジル)

<キックボクシング・バンタム級/3分3R>
ペッタノン・ペットフォーガス(タイ)
ジャン・チェンロン(中国)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
ジェームス・ヤン(米国)
ロエル・ロサウロ(フィリピン)

PR
PR

関連記事

Movie